強化と試し撃ちの結果と今後の方針
元々過剰火力だから、威力の比較は難しいかもしれない。射程を上げた覚えも無いし広いとはいえ閉鎖空間だから、射程がもし伸びていたとしても分からない。精度が上がった事を実感できるほど射手である私の腕前は良くない。だから強化をしたことで一番変化が分かりやすいのは、反動だ。
一応三脚に乗せた状態でアイテムボックスに入れなおし、いつもより警戒しながら探索していく。三脚に乗せた状態だと狙いにくいから、出来れば試し撃ちは「壊せる壁」、もっと言うなら「採取ポイント」を相手にしたいところなんだけど。
けどそう上手くはいかないらしく、「存在感知」の端に動く反応があった。これは知ってる。大型になった敵だ。すぐにその進行方向に回り込むようにして、出来るだけ距離を開けて、通路に三脚に乗せた銃を設置して高さを調節。割とすぐに姿が見えたので、出来るだけ真ん中を狙って、引き金を引いた。
「っっ!?」
瞬間。三脚に乗せているにもかかわらず、ドン! と強く胸から肩にかけて叩かれたような衝撃があった。予想通りと言うべきか、しっかりと反動も強化されてしまったようだ。
これは、うっかり油断して手で持って撃たなくて良かった。もしこの反動がそのまま自分に叩き込まれてたら、しばらくその場で動けなくなる……いや、しばらく呼吸できなかったか、もしくは骨の数本は折れてたかもしれない。
レベルが少々上がったくらいじゃこの反動には耐えられそうにないな……。という結論を出したところで、大きく硬いものが落ちるような音が響いた。あ、そういえば敵の事を忘れてた。
「…………ん?」
ただ、その。なんというか。……何もしてない、訳ではないんだけど。大きさが大きくなってからは、少なくとも原形を留めていた敵が、こう……スクラップの山、みたいなものになってるのは、どういう事だろう。
しかも何というか、バキバキに罅が入ったお皿を落とした時みたいな……落ちた時の勢いで壊れたというより、元々壊れかけだったものにとどめが入った、みたいな壊れ方をしている、ように見える。
なおかつ。その更に向こうへと視線を向けると、今までは「壊れる壁」以外に全く変化を見せなかった壁に、何か、めり込んでいるというか、穴が開いているというか……。
「オーバーキルが更に極まったなぁ……」
これはちょっと、強化しすぎたかもしれない。いや、途中から強化して攻撃力を上げるというより、どこまで強化できるかが楽しくなっていた部分はあるけど。まさか、部品を全部使い切るとは思ってなかったし。
きっと、威力の事を考えれば、反動も随分とマシになってるんだろう。たぶん。その威力が、やったのは自分とは言え壊れ性能ってやつだから、反動の方も跳ね上がってしまっただけで。
いやー、しかし、これは……どうしようかな。
「部品はこまめに強化するつもりだったけど、しばらく止めとこうか……」
それはそれで部品が溜まって、次の強化が大変な事になりそうだけど。というか、強化できなくなるまで強化したら、いくらレベルを上げたところで、人間に扱える武器じゃなくなる気がする。
もちろん、防具で反動を軽減したり、「スキル結晶」で防御系のスキルを手に入れる事で反動に耐えられるようにする、という方法もあるんだろう。けど、もしこの銃に強化限界ってものが無いのなら、それだっていずれ限界が来る。
この銃に強化限界があるかどうかは分からない。あったところでそれがとても高ければ同じことだ。というか、火力という意味では現状で既に十分すぎる。過剰火力が前提だとしてもやりすぎだ。
「うん。しばらく止めとこう。アイテムボックスの容量は無限なんだし、部品が増えて気になるなら、それこそ鉱物を使うスキルと道具を手に入れればいいんだし」
そうだな。他の人とのやり取りの仲介、とモリーは言っていたから期待薄ではあるけど、『招福屋』でも「スキル結晶」は取り扱っている。火力が上がった事で「採取ポイント」から採れる素材の量も絶対増えたんだから、地道に探そう。




