攻略と戦力とそれ以外の問題点
とりあえず「機構整備」はその場で取得し、ボス部屋を探索して2ヵ所の「採取ポイント」と弾薬がたくさんある隠し部屋を見つけて、7階層目へ移動した。しかし、装備が手に入らないな。どっちかというと欲しいのは着替えだけど。
もちろん真っ先に「安全地帯」を探し出して中を確認したが、6階層目と同じ内装だった。スキルで変わる事が無い、というのは確定でいいだろう。「裁縫」で分かっていた事だけど。
……しかしその「裁縫」もどうしたものか。道具が無いから出来ない、のはまぁ当然として、その道具をどこで手に入れるんだって話なんだが。
「アイテムボックスに放り込んだ鉱物から針や鋏が出来ていたり……しないか」
そもそも素材となる布や糸が無いから、針や鋏だけがあってもどうしようもないというのは確かなんだけど。最悪はだぶった装備を素材にするとしても、装備を素材に変えるには別のスキルが必要、とかいう可能性もあるし。
そこから7階層目、8階層目と進んだが、あのモリーがいたお店も出てこなくて平和なものだ。進展あるいは変化が無いともいうが。素材から変化した部品が溜まっていくな。
ボスからのドロップは装備品が2つ。「重量のリストバンド」と「怪力の指輪」であり、最後の部分が「メイン」ではなく「サブ」となっていた。部位はどっちも腕。
「重ねて着けられるのが「サブ」特性なのか」
ただ、リストバンドの方に気になる説明文があった。相変わらず簡単な説明だが、その前半部分が「重量を変化させて筋力を鍛えられる装備」というもので……これを見る限り、レベルアップの時に、ここまでの行動で何か変化がある、と言えるだろう。
メニューがあってオプションはあっても、ステータスはないからな。まぁ数字が出たところで、実際は体の動かし方なんかで出せる能力は変わってくるんだけど。
まぁそれでいくと、このでっかい銃を持ち歩けるようになったのと、撃った時の反動を耐えられるようになったのは、そこまで苦労していたお陰なのかも知れない。
「しかし、服が出ない」
そろそろズボンぐらいは出てほしいんだけどな。……肌着や服の類が100マギゴールド以上するとは思いたくないんだけど、もしかしてあのお店、そういう生活雑貨というか、戦いに使うのではないものっていうのは置いてないんだろうか。だとすると利用する理由がさらに減るんだけど。
なんて思いながら9階層目。変わらず「安全地帯」を探し、「壊せる壁」を見つけた端から壊してみたところで
「…………」
「にゃあ! よ、よかったにゃぁ~みゃた会えたにゃ、あぁぁ無視して出ていかにゃいで下さいにゃあ!」
「安全地帯」より先に、モリーがいる木箱が積まれた部屋を見つけて、うっかりそのまま踵を返して出ていきかけた。
「先輩にものすごく怒られたのにゃあ! 商品を見てもらいもせずにお客を逃がすとは商売人として最低ってすっごく怒られたのにゃあ! だからせめて商品を見て行って下さいにゃあー!」
というか、後ろからあわあわした泣きかけの声が聞こえなければ出て行っていた。机にお腹を乗せてこっちに両手を伸ばす、かなり全力の姿勢だ。……手の平に肉球があるあたり、猫なんだよなぁ。
「……お客を逃がすって時点で既に話に付き合う気が削がれるんだけど?」
「にゃ、にゃあ。でっ、でもでも次に出ていかれたらお給料にゃくにゃっちゃうのにゃあ! せめて商品だけでも見ていってほしいのにゃあ!」
「先立つものが無いからどっちにしろ買い物は出来ないんだよなぁ。あの武器を売る気は一切ないし」
「今度はちゃんとお手頃価格の商品を用意してきたにゃあ! 1みゃギゴールドからお取引できるにゃあ!」
「じゃああの、最低100マギゴールドからって言ったのは何だったの」
「お客さみゃの武器からすると、それぐらいでないと釣りあわにゃいかにゃと思ったのにゃあ」
「…………もしかして、現在位置が分かってないの?」
「わ、分かってるにゃあ。ダンジョン初心者さんが来る場所にゃあ」
あ、これは分かってなかったな。というのが分かったのは、あの戸籍上の妹が知らなかったことを「知っていた」と誤魔化すときとそっくりだったからだ。たぶん「先輩」にそこも含めてかなり怒られたんだろう。
ダンジョン初心者が来る場所、という認識も微妙に違うと思うのだが、買い物自体はしてもいいかなという気分になっている。何故かというと、8階層目のボスはいいところを撃ち抜けたのか、残骸がそこそこまとまったマギゴールドになったからだ。それでも、数字を円にすると小銭の域を出ていないが。
「……とりあえず、50マギゴールド以下の商品を見せてほしい」
「はいにゃあ!」
それに、本当にそろそろ服の替えが欲しい。出来れば休む時と戦う時で服も変えたいし、お風呂に入るならタオルも欲しい。……ほんと、トイレの紙は備え付けが自動補充される仕様で良かった。




