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露骨な要求は商売において大抵嫌われる

「この度は『招福屋 異世界アイカ取得用ダンジョン支部』にお越し頂きみゃしてみゃことにありがとうございますにゃあ! お客さみゃの接客はこのモリーが担当させて頂きみゃすにゃあ!」


 薄紫のエプロンをつけた、小学生ぐらいの三毛猫。……にしか見えないが、本人、本猫? 曰く、ケットシーという種族らしい。ケットシー、猫の妖精だったかな? うろ覚えだけど。

 モリーと名乗った三毛猫によれば、招福屋というのは、主にダンジョンで採れる特殊通貨を使う事で買い物をする事が出来る店舗であり、特殊通貨を集める事が本来の目的のようだ。

 集めて何に使うかは語られなかったが、そういう事だから基本的にこちらからの売却には対応していないとの事。ただし同じダンジョンに挑んでいる誰か同士の売買を仲介する事は出来るそうだ。


「にゃので、装備と「スキル結晶」だけは売却対象として取り扱いが可能とにゃっておりみゃすにゃあ!」


 そこまでをにこにこと……? 笑顔で説明してくれたモリーだが、その説明が終わるときらきらした目をじっと向けてきた。私にというか、私が抱えて持っているでっかい銃に。

 これは現状唯一の武器なので、売却という選択肢はない。という事で、さっさとアイテムボックスにしまっておく。いい加減腕も疲れてきたし、肩は既に痛い。

 にゃあ~……。と、露骨に残念そうな顔をするモリーだが、素材や消耗品の売却には応じていない、となると、確認しておくべき事は1つだな。


「えぇと……説明してもらったところ悪いんだけど、そちらから買えるものの最低価格って、どのくらい?」

「100みゃギゴールドからににゃりみゃすにゃあ!」

「なるほど。……今回は縁が無かったという事で」

「にゃあ!? みゃっ、みゃみゃみゃみゃってほしいにゃあ!」


 純粋に手持ちがない。これが10マギゴールドからとかならいくつかは買えたかも知れないが、もう一桁上だったか。これは見つけるのが早すぎたパターンだな。

 なのですっと手を上げて踵を返すと、慌てた声が追いかけてきた。


「装備にゃら買取に応じられるにゃあ! いらにゃい装備、だぶった装備はございみゃせんかにゃあ!?」

「……さっきの銃はメイン武器で替えが無いから、売らないよ?」

「みゃみゃっ……た、たぶん千みゃギゴールドぐらいにはにゃるにゃあ?」

「それじゃ」

「みゃーっ! う、うそにゃ! 1みゃんみゃギゴールドは下らにゃいにゃあ!」


 いや、だから、値段の問題じゃないんだけど……。と思ったが、やっぱり過剰火力だけあって相当なお値段になるんだな。お値段的にもこれの上位互換は無いと思うからまず売らないけど。

 が。だぶった装備ならある。……この銃に比べればもちろん比較にならないだろうが、品揃えを見ることぐらいは出来るかもしれない。もちろん欲しい物が無いという可能性も高いが、隠し部屋を見つけた時だけ取引できる、とかいう形だと、何もしないのももったいないか。

 ……と思って足を止めて振り返ったが、二足歩行で小学生サイズの三毛猫がすっごいきらきらした目で見てくる。


「……縁が無かったという事で」

「そんにゃっ!?」


 明らかにあの銃狙いで、どれだけ時間をかけてもその話しかしなさそうなので、止めておくことにした。アイテムボックスの容量は無限だし重さも感じないから、邪魔にはならないし。

 冷静に考えると、やっぱり見つけるのが早すぎたパターンだな。もうちょっと、せめて1体の敵から最低でも100マギゴールドぐらいは入手できるようになってからでないと話にならないだろう。

 まぁそれがどれくらい先の話なのかっていう話でもあるんだろうが。……このペースで、5階層ごとに難易度と入手できる報酬が上がっていくとするなら……もう、20階層ぐらいは先の話になりそうだけど。


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