敵と難易度に合わせた戦略を取れるかどうかは別問題
最初の部屋の近くで「壁の中にある部屋」を見つける事は出来たが、弾や部品がいっぱいの宝部屋だった。ありがたいのは確かだがそうじゃない……! という感じでかなり歩き回った末に、ようやく「安全地帯」を見つける事が出来た。
部屋が大きくなっているというのは「安全地帯」にも反映されていたらしく、前が三畳一間の小さな部屋だとすれば、こちらはお手頃ホテルって感じだろうか。ホテルに泊まった事はないけど。
薄い布団はちゃんとしたベッドになっているし、冷蔵庫も扉が2段に分かれているし、コンロも二口になっている。トイレとお風呂もグレードアップしていた。これは良い。
「のは、いいとして……」
生活環境……と、言っていいのかは分からないが、「安全地帯」が快適になったのは大歓迎だ。が、それと引き換えになる要素、つまりは敵の強さがちょっと問題だった。
強さというか、大きさなんだが……胴体の真ん中を狙って撃てば問題なく吹っ飛ぶのは意外だったけど問題ない。明らかに、ただでさえ大きな弾よりさらに大きな穴が開いているけど、過剰火力が過剰火力をしているだけだ。
ただ相手が大きいって事は、上を向いて撃つ必要があるって事だ。……つまり、三脚に乗せた状態だと、上手く胴の真ん中を狙えない、という事になる。
「いや、うん。足を撃って体勢を崩したところでもう一発撃ち込めばいいんだろうけど……」
一撃で倒せるんなら、弾の節約という意味でもそっちの方がいいよな、と。つい、ここまでの道中で三脚に乗せずに撃ちまくった結果、現在、肩が非常に痛い。いくら軽く感じるようになったとはいえ、自分の身長より長い金属の塊を持ち歩いて、肩より上に持ち上げれば腕も疲れる。
しかし、そろそろ割と本気で着替えられる服が欲しいな……と思いながら靴、ベルト、手袋、ショートベスト、そして弾を差し込むようにしてセットする事で素早く取り出せるようになる「大型のピストルベルト」を外してアイテムボックスに入れ、「安全地帯」を横切るようにしてぼふん、とベッドに倒れ込む。……ちょっと顔が痛い。思ったより柔らかくなかったようだ。
いやまぁ、だからこそ最初にあの、主に弾薬という意味での隠し部屋があったのかも知れない。……が、一撃で仕留められるのにわざわざ消耗を増やす必要は、無いよね? と、思うのが正直なところで。
「流石に大きいだけあって、アイテムドロップでも5個以上の弾が手に入ったけど……」
もちろん残骸も大変大きな収入だ。主に食料及び水分という意味で。マギゴールドは……まぁまぁそこそこ、かな。金貨だからもっと価値はあるんだろうが、その数字を円にくっつけると、残念ながら微々たる小銭の域を出ていない。
だからつまり、もうちょっと弾数を使って慎重に戦ってもいいよって事のような気がするし、慎重に戦える人向きの状態になってるんだとは思うんだけど……。
「あるもので何とかしなきゃいけない今までの悪い部分が」
別名を溜め込み癖。まぁそもそもあの家にいる限り、溜め込めるようなものは何も残らないんだけど。残しておいても奪われるし。だから「今あるもの」で何とかする癖がついたんだし。
残弾がたくさんあるのはいい事だ。そして、より少ない弾数で相手を倒せるというのもいい事だ。問題は、そのいい事をしようとすると、主に肩と腕に負担がかかるっていう事で。
その為にはどうすればいいか、と、ベッドに寝転がったまま痛む肩とだるい腕を放り出した姿勢で考える事しばらく。
「……可能な限りの敵を倒して、なんならこの階層の敵を全滅させてからボスに挑もう」
ゲームと言えば大体レベル上げばかりをさせられていたから、レベルを上げればいいって発想になっちゃうんだよな。それこそ自分で弾を作れるようになれば、もうちょっと気軽に使えるようになるかもしれないんだけど、そっちの目は今のところ存在しないし。




