探索の終わりとレベルアップについて
「そういえば確か、自分のレベルを上げる必要もあったんだっけ」
と、思い出したのは、「採取ポイント」を過剰火力の銃で採掘するという荒業をしてから10日後だ。他と比べて大きな部屋があるから行って見たら、その手前にあるかなり長い直線通路から見ても随分大きなメカが待ち構えていた。
流石にゴツすぎるし、いくら部屋が広いと言っても追い回されてはかなわない。と、その直線通路の端から狙撃したんだが、ここまで見せたオーバーキルっぷりに間違いはなく、その大きなメカは胴体に風穴を開けてその場に崩れ落ちた。
冷静に考えれば、明らかに弾より大きな穴が開くのはおかしいのでは? と思ったが、そこでいきなり足元に光の輪が現れて、上へ通り抜けていったと同時に『レベルアップ!』という謎の声が聞こえたのだ。
「びっくりした。せめてもうちょっと前触れが欲しい」
後派手な演出は止めてほしい。姿を隠して行動している最中だったら致命的だから。
で、なんなんだ、と思いながらメニューからヘルプを呼び出して項目が増えて無いか確認したところ、「レベルアップについて」という文章が増えていて、自分のレベルを上げる必要性を思い出していたところだ。
一応左右の通路は警戒しているが、敵の気配や反応はない。なのでそのままヘルプを読み進めていく。
「……あー、なるほど。経験値は雑魚敵を倒しても普通に入るけど、レベルアップ処理がこの、ボスを倒した時にしか発生しないのか……」
つまり1つの階層で、基本的に1度しかレベルアップのチャンスが無いって事らしい。……基本的にというか、時間が経つとボスも再び出現するみたいなんだよな。ヘルプの文章を読む限り。後、1つの階層にボスは1体しかいないとも書かれていない。
とはいえ、もうこの階層は地図が完成してしまっているし、壊せる壁も見当たらない。敵の反応も見つからない日の方が多かったし、ここは素直に進んでおくべきだろう。
もう一度ボス部屋……だったのだろう大きな部屋を覗き込むと、その場に倒れて残骸を撒き散らしている大きなメカの後ろに、上り階段が出現していた。たぶん壁が凹んで出てきたんだな。
「まぁそれはそれとして、ボス部屋は探索するけど」
最初の部屋にも特殊な松明って仕掛けがあったからな。この階層だと普通の松明になってたし、燃え尽きたら「炭の棒」になって、それを取るとどこからともなく新しい松明が現れていた。
探索する、と言ったもののまずはボスの残骸の回収だ。流石に大きいからアイテムボックスにはいるかどうかは自信が無い……が、驚いたことに周りの細かい残骸も一緒に回収された。……もしかしてこれが「アイテムボックス」がレベルアップした効果か?
一応メニューオプションの1つであるログを確認すると、ドロップ品として手に入ったのは装備だったようだ。
[精密な長手袋:装備:腕:メイン
非常に着け心地が良い二の腕までを覆う長手袋
器用な事がやりやすくなる他、見た目に反して非常に丈夫]
手袋はあまりつけないのだが、器用さが上がって腕が保護されるならつけない理由はない。クリア条件、もとい手続き完了条件にも、10か所以上の装備が必要だし。
のだが……説明文にあった通り、非常に肌触りが良かった。しかも、手袋をつける前より指が動かしやすい。器用上昇効果すごいな。
「いやむしろ、流石ボスドロップと言うべきか」
ろくに動くところも見ないで問答無用に吹っ飛ばしてしまったが、普通にボス部屋に入って戦えばちょっと絶望するぐらいに強かったのかもしれない。嫌なら部屋に入らない限り攻撃が通じないようにでもしろ、としか言いようが無いが。
さてある意味本命のボス部屋探索だが。
「壊せる壁が2ヵ所もある。……どっちから取り掛かろうか」
なお、片方は鉱物系の「採取ポイント」だったので、次の階層へは翌日向かう事になった。




