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私の彼は、  作者: みんなしずか
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上司の左遷

初投稿です。右も左もわからない初心者ですが、ぼちぼち頑張ります。

どうかあたたかい目で、よろしくおねがいします。


私の同棲している彼は、契約社員だ。

幹部みたいなお偉い役職などではなく、ごく普通の社員。どちらかといえば末端。

下っ端は身体を張る仕事を任されがちで、いつもボロボロになって帰ってくる。

休日出勤当たり前のブラック企業だが、いいところはもちろんある。

ほぼ毎日、定時で帰ってこれる。夜に、急な呼び出しもない。給料もそこそこ。

制服は各自に支給されており、何年かに一度デザインを変えるという気分転換も実施されている。

彼は「自分は世界の歯車だ」なんて言ってはいるが、

世のためと必死に働いている姿はなんだかキラキラしているし、かっこいいと思う。



あ。彼が帰ってきた。

彼は、いつも通りボロボロになった制服を脱ぎ、お風呂へ向かう。

その間に、私は彼の制服の下洗い、食事の準備をし、お風呂上がりの彼と一緒に夕食を食べる。


食事中、お互いの話をする。

「また上司が左遷された」少し沈んだような声。

彼の上司にあたる役職には、昇進も左遷も多いらしい。

今日、あるプロジェクトを進めていると、ライバル企業が複数人でやってきて、

上司を大勢の前でボコボコに負かしたらしい。プライドをずたずたにされた上司は再起不能。

その上司は、仕事こそ厳しかったが、相談に乗ってくれたり、彼ら下っ端と呼ばれる者たちにも

よく気を配っていてくれ、カリスマ性もあったらしく彼はすごく慕っていた。

なおさらショックなんだろうな…。ライバル企業はなんてことするんだ。


彼の企業は、いつも違うアプローチを考え、プロジェクトの実行をしてきたのに、

ライバル企業はこちらのあげ足を取るという毎回同じな戦法をとって計画を横取っているらしい。

そんな向上心のかけらもない相手にも、正面から向き合って、

いろいろな計画を吟味し試行錯誤している彼らがどれだけ努力しているのか、

いつか、ライバル企業をコテンパンにしてやると息巻いている彼らがなんと前向きで実直なのか、

彼と恋人なのを差し引いても、彼の職場の方がライバル企業より好感が持てる。

私はそう思うことを話す。

慰めにもなっていないだろうが、こんなことしか私にはできないのが悔しい。

彼は「ありがとう。また頑張る。」と少し眉を下げながら笑った。


休日の朝。

彼が用意してくれた朝食を一緒に食べていると、彼のスマホが鳴る。

新しい上司からの呼び出しなのだろう。制服に着替えだした。

確かに、休日に呼び出されたり、ボロボロになって帰ってくるし、私としてはとても心配だ。

だけど、

制服に着替え、「行ってきます」という彼の顔はもうキラキラしていた。

私は そんな彼を誇りに思っているしこれからも支えたい。


いってらっしゃい、この世の中のために頑張ってね。

手をふりながら笑顔で見送る。

そして彼の全身黒い制服姿で走る背中をみながら、

今日の夕食は彼の好きなものでいっぱいにしようと決めた。


私の彼は、戦隊ヒーローの敵(契約)末端戦闘員(社員)


最後まで読んでくださって、ありがとうごさいます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後に、まさかの職業というどんでん返しが、面白かったです! [一言] 次の作品も、楽しみです!
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