1人目
平々凡々という言葉がまさにピッタリという俺は、もう人生に飽き飽きしていた。
偏差値50の高校に通い、テストも平均点らへんをうろつくだけ。友達が少ないわけでも、多いわけでもない。何かやろうにも、今まで特にスキルを磨いてこなかった俺は何も出来ないだろう。
「そうやって何もしようとしないところが、京也の悪いところだよ。」
そう言い放ってくれるのは同じクラスの真泉優香だ。まったく、俺の信念でもある省エネ主義をあっさり否定してくれる。そんなことを言う奴には、こう言ってやるのが一番だ。
「うるせぇ。」
まぁこんなことを言われるのは、今に始まったことではない。いつものことだ。
「こんな話をするよりも、俺は早く家に帰って明日のために最低限の予習をしなくちゃならないんだよ。」
「変なとこ真面目だよねホント…。」
真面目…?似合わないな…。いつもはこんなこと言わない優香に少し驚いていた。
その時、
けたたましい音と共に、ブレーキをかける様子もなくこちらに向かってくる3tトラックがあった。
おいおい、マジかよ。こんな小説みたいな展開あるのか?
気付くのが遅かった。もう、助からないかもしれない。死ぬ間際に走馬灯が見えるなんて嘘だったのかよ。
そんな一瞬、俺が考えてることはただ1つしかなかった。
「「優香!!!」」
なんとか助かるかもしれない方向に思いっきり突き飛ばした。
最期ぐらい平々凡々な人生ではなかったな。
そう思ったのも束の間、俺の人生は終わりを告げた。
はずだった
暗くなった視界に一筋の光が射した。はっとして目を見開くと、光が集結してきているのが見える。
なんだ?なにが起こるんだ?
太くなった光の束は、とても神々しく見えた。
「貴方、異世界への転生を望むか?」
おい、光が喋ったぞ。
「え?ちょっとどういうことか…」
「転生するのかと聞いている。」
もしかして、これは新しく人生をやり直せるのか?あの、散々だった日々を。
「そんなの、もちろんイエスだ。」
「そうか、ならばお前には特別な力を授けよう。この中から選び給え。」
目の前には、3つの物体があった。
1つ目は、剣だ。紛れもなく、剣士としての力が与えられるのだろう。
2つ目は、杖だ。古めかしく、魔術を操るために適したような力が与えられるのだろう。
3つ目は、本だ。重厚な雰囲気を漂わせており、いかにも賢そうなやつが読んでそうだ。
この中なら俺は1つしか選ばないだろう。
もちろん、『剣』だ。
「俺はこれを選ぶ。」
「本当にそれでいいんだな?」
「ああ。」
そう言った瞬間、光は俺を包み込むように集まりだした。
「これから、お前の新たな『物語』の始まりを迎える。」
光は視界を白く染め、暖かく導いてくれるようだった。
そして目を覚ますと、目の前には素っ裸の男が2人いた。
そうして、たどり着いた異世界で初めて合唱した。
「「「え?」」」




