第1話 パンドラボックスと黒い翼の勇者
「パンドラボックス」
古代ギリシャ神話パンドラが持つ箱である。
神々が地上に住まう時代
同じく魔物も共存していた
パンドラボックスには
勇者が封印した魔物の王が
入っているという…
現在、その箱の所在は
明らかになっておらず
箱の中身を知るものは
法王と一部の神官だけである
いつの話か
代替わりした若き法王は
その中身を知った時に
気絶したというほど
その箱の危険性と重要性は
計り知れないものであった
愚かな者が
箱に触れることがないように
今は無き大陸に
1つだけ不気味に立つ神殿の奥に
鎮座しているのだ
大陸の東西南北には
それぞれ門があり
結界を張っている
気が遠くなる年月
それは確かに眠っていたのだ
あの日が来るまでは…
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時は遥か昔まで遡る
涙を流しながら
箱の前に立つのは
勇者である
その勇者は黒い髪、黒い目
そして黒い翼を持ち
頭上には金色に輝く角が1本
ペガサスが長い年月をかけ
人型に転生したものである
普通は銀色の髪に銀色の目
輝く白銀の翼を持つのだが
生まれつき黒い個体のこの者は
悪魔の子と忌み嫌われて
天界と魔界の間に追放されたのである
追放された赤子は生きようと必死だった
そんな赤子を拾った魔物がいた
北の門の門番ロタである
彼の母は、魔物の女王ルサファリカ
後に彼女が勇者の義母となるのだった