表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/83

73.渦巻くもの

『よりによってこのタイミングでかよ……』

『本当に病死なのか』

『どちらにしてもご高齢でしたから、遅かれ早かれこの結末に至ったでしょう』

 大公を邪魔に思う方々が何かやらかしたんじゃないのかとか、ちょっと嫌な考えが一瞬思い浮かんだんですけど、どっちにしてもデニスさんの言う通り、大局に影響はないような気がしている。

『どうなるー。モルジと和平かー』

『それも気になりますが、次の大公は一体どなたになるんでしょうね』

『都の〈民会〉がスヴャトザール公を認めれば、彼が大公に……ならないかな。流石に今の対立状況では、素直に受け入れるとは思えん。ティムール公かセミョーン公のどちらかになるだろうか』

『そこなんだけどな。どうも大公は後継を指名してなかったようで……また面倒なことになりそうだな』


 そして数日後、予想以上の面倒事になったと思い知らされる。

『ヴィードラのヴァディーム公が……謹慎を勝手に解いて、都に上って……大公位を主張して、それが認められたんだと……』

 ……ちょ、そこ、ノーマークだったんですけど!! 何その怒濤の急展開は?!


「はうぅ……展開が、読めません」

 ここ数日、井戸端会議の話題にこと欠きません。みんなに会う度こんな話ばっか。

『この国では長子相続は絶対ではないんだが、おおむねそれが守られてきた。それを説得材料に使った……としても、よく通ったな』

『その件についてですが、どうもティムール公およびセミョーン公が譲った、というところが大きいようです』

『なるほどな。弟どもが異議を唱えなきゃ確かにそうなるか』

『国の混乱を避けるために譲った……のか? ある意味的確な判断だが、根本的に間違ってる気もするんだが』

『我儘言ったもん勝ちって状態になってるもんな……』

 立候補する人が信用できないって、哀しい現状。

『で、モルジの対応はどうなるんでしょうね』

『今んとこ制圧続行予定』

「和解の方向に持っていかないんですかー……」

『敵の敵は味方にはならない、というところか』

『どっちかっていうと、父親に差別されてた恨みつらみが兄弟に向いてるんじゃねーの……なんかこう、荒んだオーラみたいのを受け取るんだけど』

 ローシャさんは情報を受け取る時に、常人より余分なものを受け取っているようなので、他の人だと考えすぎだと一笑に付してしまうことも聞き流せない。そういえば、わたしもときどき〈感情〉を受け取ってる時があるんだよね。察しのいい人なら〈力〉がなくても感じとれる程度のものだけれど、ローシャさんはそれより広範囲、直接合ってない人の思惑にも触れているみたい……あれ? てことは、もしかして……

『どうした、マイヤ』

「いえ、ちょっと用事を思い出したので、失礼します」

 いやそんな大した用事じゃありませんから、お気になさらず。レーナさんとちょっとお話してこようかと思っただけですよ。


 ヴィードラやヴァディーム公関連はレーナさんたち〈水〉の連中がわりと把握してたと思うんだよね。都も河川系統が違うけれどわかってるみたいだったし。ローシャさんは情報の入手ルートは〈風〉よりみたいだから、わたしが聞いてみよっと。

『ああ……あのへんの話ね……』

 あんまり気乗りしなさそうな顔のレーナさんをなんとか宥めて、話の先を促す。

『今いっちばん澱んでるところよ……どうもね、モルジの領主様がうまいこと染まらないから、そのぶんも流れ込んだみたい。なんかもう濁りすぎていて、あたしでも近付く気になれないかも。厳密には〈川の王〉の影響下からも離れてきてるみたいだし』

「それってどういう……」

『〈黒い精霊〉よ。負の感情を集めすぎてしまっている。その〈上〉も出てくるかもしれないくらい、規模が大きくなってきてる』

 ……今、聞いてしまったことを後悔しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ