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42.反射神経を要するもの

『メドヴェージ以降は、北東に突き進むようにしてフォークスまで帰る。その上での注意点なんだが――』

 ひとつには、南の交易要所でもあるこの都で、できればフォークスに持ち帰る品を選んでおきたいこと。とはいっても、〈魔法の鞄〉を駆使してもあまり多い荷物を運べるわけではない。乗り合い馬車の荷物制限は厳しいことが多く、別料金で済めばまだいいほうで、受け付けてくれない時なんてのもあるそうだ。カラノークぐらいまでいけば宿に荷物を預けておいて、馬車をフォークスから持ってくるなんてのもありなんだけど。

 現状ではかさばりにくく保存がきき、どこでも相応に需要のある香辛料や、やはり需要がそれなりに見込め重すぎない織物などを〈鞄〉におさめておくくらいで。物流と値段を見極めつつ買う物を考えていかないといけない。

 もうひとつ深刻な問題としては、夏も近づく季節と農村の多い東部の旅という組み合わせが、非常に治安が悪くなるだろうと予想されること。追い剥ぎや先日話題に上がった奴隷狩りなどが要注意事項に挙がっている。

『だから、北東に行く行商人の手伝い兼護衛の口がないか探すんだ。移動ペースが落ちるとかいろいろ問題はあるけど、治安が悪くて物流が滞るのを放っておきたくないのは俺達も同じだし。一番の問題は俺達を信用してもらわなきゃやってけないってとこだけど、そこはなんとか先方にその気になってもらうしかないんだよな。で、俺やエーディクは何度かやったことあるんだけど――』

 ローシャさんがわたしのほうを見て一息つき、その後をエーディクさんが続ける。

『マイヤは自分の身を守ることだけに専念すればいい。とりあえず何ができそうなのか、今から確認していこう。護衛の話があるかどうかに関係なく必要だからな』


『まずは、事前に危険が迫っていないか知ることだけど。〈殺気を掴む〉のはきっとできるんじゃないのかな。これはその時にならないとわからないと思うけど、狙いをつけられてる時は気分が悪い感じで、仕掛ける直前には刺されるような痛みを感じたり……俺の場合だけどね』

『俺も似たようなものだが……それから次は矢の対策だな。これは、俺の場合は剣に〈力〉を込めて切り払うとたいてい叩き落とせるんだが、マイヤには厳しいかもな。他にも硬い〈壁〉のようなイメージで防ぐこともあるが、一点に集中する力が強くないと矢の貫通力に負けかねないので、どうにも動きがとれない時以外は勧められない。どちらかというと空気の流れを変えて〈反らす〉ほうが楽だろうが』

『俺はどっちかっていうとそっち。ただ、マイヤちゃん〈風〉はそこまで読めてないみたいだし……』

「うーん……冬だったら〈氷の壁〉みたいなものなら作れるかもって思ってたんですが、今の季節ではあまり自信ないんですよね。他には……」

『どっちかっていうと、弓を射る相手の心に〈迷い〉を起こすほうがいいかもしれないわ。けっこうな割合で当たらなくなるものよ。でもこれは、相手が射ろうとする直前のタイミングでないと駄目だから、間に合わなかったらその近くにあるもの何でも〈凍らせて〉盾になるようにしたほうがいいかもね。一から壁を作るんじゃなく、その場にあるものの固さを増すわけよ。これなら季節外れでもそこまで負担は高くないんじゃない』

『あとは、至近距離で襲われた時の話だが』

『相手の動きを封じるのは、〈地崩し〉して足をよろめかせる、草があれば〈絡みつき〉、川の側なら〈引き摺り込む手〉……くらいかな。水辺だとかなり有利になりそうだけど、そうでないときは……』

『〈貼り付く霜〉みたいなイメージで動きを止められるかも。〈迷い〉は、至近距離だとあまり相手の心が揺らがないかもしれないわ。〈昏倒〉させるくらい思いっきり力をぶつけないと……相手の後ろ頭を殴りつけるようなイメージね』

『何て言えばいいんだろうなぁ。なんとなく「これなら防げる!」みたいな直感が強いやつでやるといいよ』


『それで、さらに危険な複数に囲まれた場合の対処だが……そこまでいくと相当に危険な状況なんだが』

『昼間ならエーディクの〈目眩まし〉がけっこう効くんだよな。俺の〈突風〉はどこでもそれなりなんだけど、決定打にはなりにくくて……』

『いつだったか、俺が〈地崩し〉した直後のお前の〈突風〉で土煙が上がって、相手の目を潰したはいいがこっちの視界も悪くなって動きづらくなったことがあったな。気をつけろよ』

『まあ、できれば距離を詰められないうちに〈目眩まし〉や〈突風〉で足止めしておいて、弓矢で一人でも多く仕留めるべきなんだよな』

『マイヤなら〈目眩〉を起こせるかもよ。光で目が灼けるのとは違う理屈だけど』

『……ふむ、精神に響くというのはなかなか多彩だな。その発想に至るまでが難しそうだが』

 あの、三人とも、今までよりずっと議論が白熱してる?!

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