滝蓮女子バスケ部・総勢6名
Q、顧問になってくれるんですよね!
A、なりません。
(なんて言える状況じゃねえな............)
ああ、輝いてるよ。キラキラおめめしてるよ、この子たち。とりあえず、俺の意思表明を............
「あ、そうだ。自己紹介しなくちゃ。私、女子バスキャプテンの2年、香流アリサです!ポジションはFです!よろしくお願いします!」
「...........お、おう.............」
身長はこの6人じゃ中の上。試合の妨げにならないようにか、ほどほどの長さにまとめてある艶のある髪。華奢ながらも何処か芯の強さを感じさせる、その少女は先制で自己紹介を放ってきた。
「ちょっと待て、俺は....」
「ほら、次!」
「おい」
「副キャプテンの鬼柱心です!!学年は2年、Cをやってます!!」
身長は6人中で一番高い。ついでに声もデカイ。なるほど、こいつとこいつがキャプテンと副キャプテン........ってそうじゃなくてだ。俺はやる気が無........
「飛澤絵馬、2年です!ポジションはSFです!」
俺はやる気...........
「同じく2年の司馬三春です!SGやってます!」
俺..........
「1年の速水刹那でっす!ポジションはPG!」
................
「1年の影染小春です。初心者です.........」
あ、こいつ俺のクラスの生徒じゃねーか。バスケ部だったんか。
「こはるー、この先生、小春のクラスの先生なんだろー?よかったなー!小春は人見知りだからな!」
「せっ、刹那ちゃん!」
すっげー頭悪そうな喋り方をするのは、速水刹那と名乗ったチビ。身長はこの中で一番ダントツに低いくせに、態度だけはデカイ。
そして顔を真っ赤にして、チビにポカポカと攻撃にならないパンチを連打するのは影染小春。1回目のホームルームでもそうだったか、内気の擬人化とも呼べる容姿をしている。こいつの初めの自己PRはそれはそれは酷いもんだった、よく覚えてるぞ。
「こら、刹那。失礼なこと言わないの」
「えっへへ、すいません」
ひとりはしゃぐ後輩を咎めるキャプテン。そして改まって俺のほうを向いた。
「今までは部員も少なかったし、監督も顧問の先生もいなくて大会に出場できなかったんです。でも今年は1年生が2人も入ってくれて、顧問の先生も来てくれることになって、私たちもやっと大会へ出られるようになったんです!本当に、ありがとうございます!」