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静かな時間

作者: 車輪




 静かな時間がある

 その時間は特別に静かなわけではない

 コロコロと、確かに音はあった

 けれども静かだった


 目を瞑っていると、景色は黒く潰れる

 目を開けていて、何かを見ている?

 静かな時間は許してくれる

 ゆっくりと、消極的に、見えない物を

 

 風の吹く音が聞こえる

 機械の振動が響く

 静かな時間は寄り添ってくれる

 どこか遠くから、与えないことを与えてくれる

 それは些細な空気だけれど

 人はそれを食べて生きているのだ

 

 静かな時間は焦らない

 静かな時間はゆっくりと、深く、浅く

 寝息のように街を覆っている

 寝息は気付けば風となって

 寂しく冷たく、でもどこか寛容な音を奏でた


 静かな時間がある

 その時間は特別に静かなわけではない

 だからこそ

 人の息衝く音を 宇宙の音を

 静かな時間は少し、許してくれる

 

 見える何かを見ないことを

 聞こえる何かを聞かないことを

 生きる何かを生きないことを


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― 新着の感想 ―
[良い点] 言葉のセンスがすごい……。 「音はあった けれども静かだった」 こういう表現ができるところが、本当に上手いと思います。 [一言] もしかしたら、死んでしまった時の情景かなーとか思ってしま…
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