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目が覚めたら真っ白な世界だった。
どこまでも続く果てしない白い世界。
不思議と地面も見えないのに自分がこの白い世界で脚で立っている感覚がある。
「どこだここ…」
あえて声に出してみた。
うん、声は出せてるな。自分で一人納得してみる。
なんでこんなところに自分がいるのか考えてみることにする。
俺の名前はホシカワレンジ、どこにでもいる二十歳の大学生だ。
おぼろげながら自分が目覚める前の最後の記憶をたどっていく。
そう、俺は友達と海に遊びに来ていた。友達の一人が父親に買ってもらったジェットスキーを自慢たらしく披露する場だったはずだ。俺もジェットスキーなんか乗ったことないから大はしゃぎで参加したのを思い出す。
船舶免許なんてもってない俺は友達の運転するジェットスキーの後ろに乗っていた。
そう、そこで他の人が運転するジェットスキーが右手側からどんどん近づいて来て…。
うん、そこから記憶ないわ。多分事故って打ちどころ悪いか溺れたかで死んだか…。
でだ。
ここどこだほんと。
「やっと自分の置かれた立場が分かりましたか?」
「(うおおお)」
思わず叫びそうになったわ。
誰かいる。
ゆっくりと振り返るとそこには真っ白なレースのワンピースを着た綺麗なアイスブルーの髪を腰まで伸ばした美女が立っていた。歳の頃は二十歳前後。クリッとした大きな瞳に遠慮程度にくっついている小さな唇。
美女というより、美少女かな。
「どなたですか?」
「てか、ここどこです?」
立て続けに質問の声を出してしまう。
「今記憶で悟ったとおり、あなたはジェットスキーの事故で海に投げ出され溺れて死んでしまいました」
ゆっくりと目の前の少女が俺の死因を語りだす。
もう俺の中ではピンと来てるぜ。ついに俺にも来たか、例のあれが…。
自分が死んだことなんかすっかり忘れて思わず心が沸き立つ感覚を必死に抑える。
少女の言葉を遮るように言葉を発す。
「異世界転生ってヤツでしょ、知ってるよ」
一瞬驚いた表情を見せた少女はすぐに元の端正な顔立ちに戻し続ける。
「残念ながらあなたの考える異世界転生ではありません」
なんと…。
異世界転生ではないと…。
じゃなんなの一体?頭が混乱してくる。
「正確には同じ日本に転生します」
「はいぃ???」
「あなたは時空ハンターに選ばれました」
「はいいいいいいい???」