ヘーゼルナッツ
興味を持ってくださりありがとうございます。
・更新頻度は遅め
・あくまでも個人的な価値観のお話であり、実に稚拙
・文章は下手くそです
それでもよろしければ、ゆるーくまったりお付き合い願います。
あるところに、一匹のうさぎさんがいました。
白い耳をふにゃりと垂らし、丸い尻尾を揺らした男の子でした。
ヘーゼルナッツのような優しそうな煌めきの瞳を持っている彼なのですが、意外にも都会の喧騒の中に生きていました。
車が吠えています。その音が彼の優れた耳の中でざわつき、頭の中の一部を圧迫しています。
ビルが騒いでいます。通り風がつんざめき、彼の頬を掠め、泣きそうなくらいの痛みで思わず彼は顔をしかめました。
しかし、そんな非情な世の中ですが、回るしかないのだし時は待ってなどくれないのです。
嘆く暇すらありません。それを与えると、鬼のような顔をした「世間」さんに怒られてしまうからです。
何をやっているんだ、甘えるな、弱虫め、彼はそんな怒声を何度も聞いていました。
なんせ耳が良いもので、要らないような心の声までも聞こえている気がしました。
「いつか俺は哲学にでも目覚めてしまうのではないか」
そんな錯覚に陥りもしました。
身を守るために、彼は自分の不器用さをひたすら隠しました。
自分が弱いのがいけないのだけど、自分が弱いということに罪を感じることさえも浅はかな気がしていました。
なので、それを自分自身の目に映さないために、他者の目からも遠ざけることにしたのです。
幸いにも周りのうさぎたちは優しい子ばかりでした。
彼の元へ近づき、喋り、笑い、一緒にお茶会もしました。
泣きたい時にはお泊まり会をして、悲しいけれど優しいお話の絵本を読みました。
それでも解せない何か。
彼は、優しく接してくれている周りにさえも嫌疑の心を持っていました。
何故なら彼は、「愛されている」という自覚を出来なかったからです。
出来なかった、というと何か違うかもしれない。「知らなかった」のです。
そんなこんなの世の中ですが、彼がなんと言おうと歯車は回るのです。
ぶーん
ざわざわ
かたかた
ひらひら
様々な音を立てて、彼を囲む世界は、何があっても回り続けるのでした。