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運命の曲がり角
「ああ、俺はここにいる」
深い水の中から浮かび上がった俺の意識は、俺の体に入った。
だが、体を動かせるほどには回復しなかった。
俺は誘惑に負けて深い暗闇に落ちていった。
鐘の音が聞こえる。
目を開ける。
朝だ。
そして、ここは俺の部屋か。
どうやって帰ったかは覚えてないが、帰ってきたらしい。
階下からいい匂いが漂う。
朝飯だ。
「もう、報告には行ったのか?」
なんとなく気恥ずかしいが、クロハに尋ねる。
「まだ。食べてから行こうと思って」
それならいい。
手を動かして、食す。
相変わらず、クロハの作るご飯は美味かった。
俺はこんな日常が、幸せを作り上げているんだと思った。
チュンチュンと何処かで鳥が囀っていた。
俺の家から領主館までの道はそんなに遠くない。
だが、幾つか曲がり角がある。
それは、家から二つ目の曲がり角。
凝った装飾の塀で向こうが見えない角で、何かにぶつかった。
「きゃっ!」
俺は大したことなかったが、向こうは倒れてしまった。
「大丈夫か!?」
普通に「すみません」で通り過ぎれば良いのに、何故か俺は手を伸ばしていた。
俺は今後、この行動を恨むことになる。