妹を探そう!(その5)
翌日、私とミヤビは、王都バルモアスの中を、マツリを探すために歩き回っていた。
ナオミについては、あっけなく見つかりすでに合流している。
同じ宿屋にいた冒険者の中にいたのだ。灯台下暗しとはこのことだな。何気に検索をかけてみれば、同じ棟の1人部屋にいた男性冒険者だった。偶然を装って、朝食の際に同じ席に着き、話ながら本人と確認し合流したのだ。ちなみに、ナオミのステータスはこうだった。
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【名前】ナオミ=カワスミ
【種族】ハイエルフ族
【年齢】522歳【性別】男
【戦闘系職業】魔導剣士(レベル77)【生活系職業】吟遊詩人(レベル100)
【ギルドランク】《冒険者ギルド》BB《職人ギルド》《商人ギルド》
【称号】異世界転生者・天使の歌声・天上の奏者
【加護】世界神の加護・創造神の加護・転生神の加護・武術神の加護・魔法神の加護・歌謡神の加護
【基礎ステータス】
《体力》2,100
《武力》20,000
《魔力》100,000
《知力》45,000
《俊敏力》15,000
《忍耐力》53,000
【所持スキル】
《スキルポイント》7,399P
《基礎ステータス補完スキル》
体力上昇Lv10・知力上昇Lv10・俊敏力上昇Lv10・忍耐力上昇Lv10
視力上昇L10・聴力上昇Lv10・筋力上昇Lv10・脚力上昇Lv10・腕力上昇Lv10
記憶力上昇Lv10・跳躍力上昇Lv10
体力回復力上昇Lv10・体力使用量減少Lv10・魔力回復力上昇Lv10・魔力使用量減少Lv10
幸運度上昇Lv10・獲得経験値上昇Lv10・パーティ編成Lv1
《生活系スキル》
ラグナレシア共通言語Lv10・異世界言語(第1,409,987世界地球内言語)Lv1・ラグナレシア種族言語(ハイエルフ語)Lv10・空間把握Lv10・家事全般Lv10(炊事・洗濯・掃除)
算術Lv10・物理学Lv10・化学Lv10
歌唱Lv10・演奏Lv10・絵画Lv10
《戦闘系スキル》
剣術Lv6・槍術Lv5・棍術Lv3・弓術Lv10・杖術Lv7・投擲術Lv10
風魔法Lv7・水魔法Lv10・火魔法Lv4・地魔法Lv10
光魔法Lv3・時空間魔法Lv10・精霊魔法Lv10
《戦闘補助スキル》
気配感知Lv10・魔力感知Lv10・危険感知Lv10・気配隠匿Lv10・間諜防御Lv10・空間把握Lv10
戦略Lv10・策謀Lv10・間諜Lv10・回避Lv10・受け流しLv10・先読みLv10・呪歌Lv10・祝歌Lv10
望遠Lv10・暗視Lv10・聴き耳Lv10
脱げ足Lv5・忍び足Lv5・風景同化Lv10・早着替え(防具関連)Lv1
挑発Lv1・不意打ちLv10・蹴撃Lv10・兜割りLv1・武器破壊Lv10
疾走Lv10・跳躍Lv10・縮地Lv10・立体機動Lv10・怪力Lv10・悪路走破Lv10・閃駆Lv10
罠作成Lv10・威圧Lv10
《耐性スキル》
物理耐性Lv10・魔法耐性Lv10・苦痛耐性Lv10・爆裂耐性Lv10・即死耐性Lv10
精神耐性Lv10・恐怖耐性Lv10・罵倒耐性Lv10・隷属耐性Lv5
毒耐性Lv10・腐敗耐性Lv10・悪臭耐性Lv10・麻痺耐性Lv10・石化耐性Lv10
病気耐性Lv10
《生産系スキル》
楽譜作成Lv10・作詞Lv10・作曲Lv10・編曲Lv10・楽器制作Lv10
《商業系スキル》
詐欺Lv3・交渉Lv10・値切りLv7・弁明Lv4・相場Lv10・値切りLv10
無表情Lv10・社交辞令Lv10
《特殊スキル》
スキル操作Lv5・空間保管庫Lv10
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ナオミの話を聞くと、こちらに来てから2年、この町を拠点にいろいろと戸惑いながらも吟遊詩人と主として、冒険者として活動していたそうだ。冒険者ランクは、いつの間にかここまで上がっていたそうで、ステータスやスキルが異常に高いのは、死なない様にスキルを上げてきた結果だそうで。
ちなみに、私のことを見てこう言った。
「性別は入れ替わってしまったけれど、これからも恋人としてよろしくね。」
「…はい、こちらこそ、よろしく。」
この2年間で、お互いいろいろと悟っていた。
それはともかく、ナオミと合流できたので、あとはマツリだけだ。
ナオミと合流してから3日が経った。"マツリ"と名前に含まれている人物を片っ端から訪ねては玉砕を続け、最後に残った場所。そこは…奴隷市場だった。
「お兄ちゃん、本当に、ここにマツリがいるの?」
「ああ、最後に残ったのがここだ。」
そうミヤビに言うと、私は、ナオミと3人で、とある奴隷商館に入っていった。
「いらっしゃいませ。本日はどのような奴隷をご所望でしょうか?」
商館の入り口で控えている店員が、こう声をかけてくる。
「名前に"マツリ"とついている奴隷を探している。種族は問わない。」
「これはまた、けったいな注文をなさるお客さんだ。解りました。では、こちらの部屋で、しばらくお待ちください。ただ今揃えてまいります。」
私たちは、店員の後ろを続いて応接間のような感じの部屋に通される。その部屋で待つこと約10分。出されたお茶が少し冷えたころに、先ほどの店員が部屋の中に入ってきた。
「お待たせいたしました。
名乗りが遅れましたが、私が、当商館の主を務めておりますリザロ=オークスマンといいます。今後ともお見知りおきを。
では、お客様のご注文にありました、名前に"マツリ"とついている奴隷でございます。当商館には、残念ながら該当する奴隷は2人しかおりません。
では、…入って来い。」
店員改め、店主が指示を出すと、部屋の扉から、2人の女性が首いっぱいのごつい首輪をはめられ、鎖に繋がれて部屋に入ってくる。2人に共通していることは、何も着ておらず、後ろ手に手枷がはめられ、重りのついた足枷がはめられていることだけだ。
そして何よりも、ステータスを開示しながら私たちの前に立たされていることだ。その開示してあるステータスを順にみていく。
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【名前】マツリリーダ(奴隷落ちの際苗字を剥奪)
【種族】人間族
【年齢】22歳【性別】女
【戦闘系職業】戦闘奴隷(レベル1)【生活系職業】奉仕奴隷(レベル1)
【ギルドランク】《冒険者ギルド》《職人ギルド》《商人ギルド》
【称号】借金奴隷
【加護】
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【名前】マツリ(奴隷落ちの際苗字を剥奪)
【種族】混血亜人種(エルフと人間とのハーフ)
【年齢】122歳【性別】女
【戦闘系職業】戦闘奴隷(レベル1)【生活系職業】奉仕奴隷(レベル1)
【ギルドランク】《冒険者ギルド》《職人ギルド》《商人ギルド》
【称号】異世界転生者・借金奴隷・奴隷商リザロ=オークスマンの販売奴隷
【加護】世界神の加護・創造神の加護・転生神の加護
【基礎ステータス】
《体力》2,100
《武力》2,000
《魔力》10,000
《知力》5,000
《俊敏力》5,000
《忍耐力》3,000
【所持スキル】
《スキルポイント》10P
《基礎ステータス補完スキル》
体力上昇Lv1・知力上昇Lv1・俊敏力上昇Lv1・忍耐力上昇Lv1
体力回復力上昇Lv1・体力使用量減少Lv1・魔力回復力上昇Lv1・魔力使用量減少Lv1
《生活系スキル》
ラグナレシア共通言語Lv10・異世界言語(第1,409,987世界地球内言語)Lv1・ラグナレシア種族言語(エルフ語)Lv10・空間把握Lv2・家事全般Lv10
算術Lv10・物理学Lv1・化学Lv1・奴隷の掟Lv4
《戦闘系スキル》
剣術Lv2・槍術Lv2・棍術Lv1・弓術Lv1・投擲術Lv1
風魔法Lv1・水魔法Lv1・火魔法Lv1・地魔法Lv1
《戦闘補助スキル》
気配感知Lv1・魔力感知Lv1・危険感知Lv1・気配隠匿Lv1
脱げ足Lv2・忍び足Lv5・挑発Lv1・不意打ちLv1・蹴撃Lv1
疾走Lv1・跳躍Lv1・怪力Lv1・悪路走破Lv3・閃駆Lv1
《耐性スキル》
物理耐性Lv3・魔法耐性Lv1・苦痛耐性Lv7・精神耐性Lv10・恐怖耐性Lv10
罵倒耐性Lv10・隷属耐性Lv1・腐敗耐性Lv10・悪臭耐性Lv10・病気耐性Lv10
《生産系スキル》
職人の王者Lv10
《商業系スキル》
交渉Lv1・値切りLv1・帳簿作成Lv10・価格設定Lv10
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左の子を見た瞬間、この子が私の妹だと確信した。なぜならば、【称号】の欄に異世界転生者があり、【加護】の欄に世界神の加護・創造神の加護・転生神の加護があったからだ。
「左の子を頼む。」
私は、店主にこう言づけをする。
「左の子ですか。買取値段は、100万レシアですがよろしいですか?」
「100万か。いいだろう。」
奴隷の適正価格なんて知る由もない。奴隷に落ちてしまったマツリを手に入れるには、高かろうが安かろうが言われた値段で買うしかない。店主は、連れてきた男に指示して右側の子を部屋の外へと連れだしていく。左側の子…、マツリは、私たちの前まで連れてこられ、床に直接正座をする。
私は、白金貨10枚を机の上に出し、店主から差し出された契約書を埋めていく。
目の前で、自分が買われていく姿を目のあたりにしているマツリは、どんな気分だろうか。主人が兄、いや、今ここにいるメンバーの正体を知ったら罵るかもしれない。しかし、奴隷になってしまったマツリを手っ取り早く手に入れるには、これしか方法がないのも事実なのだ。
「では最後に、契約書に書かれている魔法陣に、主人となる方の血を1滴垂らしてください。」
店主に言われたとおりに、契約書の上のほうに書かれている魔法陣に私の血を垂らした。すると、マツリに付けられていたごつい首輪が外れ、新たに幅が1㎝程度の細い首輪が現れた。そして、開示され続けているマツリのステータスにも変化が表れている。【称号】の欄が、『異世界転生者・借金奴隷・奴隷商リザロ=オークスマンの販売奴隷』から、『異世界転生者・借金奴隷・奴隷商アスカ=ラングレイ=ヨシオカの奴隷』と変わっていたのだ。
「これで奴隷契約は完了します。」
店主はこういったこの瞬間、マツリは私の奴隷になってしまったのだ。仕方がなかったとはいえ、実の妹を奴隷にするなんて、なんて鬼畜な兄なんだろう…。とは、微塵も思っていない自分がいることに、なんだか少しイラっと来ていた。
店主は、マツリに真っ白な貫頭衣を渡す。マツリは、それをこの場で着た。着るというよりも、穴が開いている布を被り、腰あたりをひもで縛るだけだが。下着などはなく、貫頭衣1枚だけだ。貫頭衣は、膝丈よりも短く、かろうじて大事な部分が隠れているだけの長さしかない。当然、しゃがんだり風でも吹けば、大事な部分が丸見えになる。
これが、今のマツリの全財産となる。後で要確認だが、たぶん空間保管庫の中は何もないだろう。
まあ、まるっきり横が開いているが、全裸で歩くよりはいいだろう。
「じゃあ行こうか、マツリ。」
「はい。ご主人さま。」
私たちは、とりあえず奴隷になったマツリとともに、宿屋に戻った。
マツリを、奴隷から解放できればいいのだが…。
できなければ、その時にでも考えよう。