戦力強化と勇者の修行
通常空間に戻った私たちは、キョウスケたちの純粋な戦力を見るために、パーティ戦を行うことにした。
キョウスケたちの制裁中は、いたって普通の服装をしていた私たち8人。しかし今の服装は、先日決めた戦闘コスチュームと専用武器を持っています。
改めて全員の服装を確認すれば…。
私事アスカは、白色の着物に赤い袴姿の正統派巫女装束に水晶鋼製鉄扇。
ナオミは、白色の詰襟学生服に、黒曜鋼製の防具と黒色のマントに水晶鋼製の長剣。
ミヤビは、ピンク色の和服に赤い袴、紫の帯。膝まである編み上げのブーツに黒曜鋼製の防具に水晶鋼製の日本刀。
マツリは、正統派メイド服に水晶鋼製の大楯と戦棍。
エリザは、黒色のセーラーブレザーに膝丈の白色のプリーツスカート。白色の帽子付きに仕込みレイピアを内蔵した水晶鋼製の長杖
カズハは、黒色のインナーにピンクの上着姿の忍者装束に黒曜鋼と術式付与蜘蛛の糸で作った弓。
ミズホは、術式付与蜘蛛の糸で縫製されたドレスアーマーに、黒曜鋼製の部分鎧に水晶鋼製の千鳥十文字槍を右手に持ち、腰には水晶鋼製の長剣を下げている。
アカネは、黒色のインナーに黒色の上着姿の忍者装束に水晶鋼製の戦鎚だ。
「じゃあ、《パーティ名》狐とエルフの落し児VS《パーティ名》勇者の戦慄でパーティ戦をしよう。こちらはフルメンバーの8人で行くからね。そこんところよろしく。
戦闘範囲は、この闘技場および、ここから視認できる場所…、つまり観客席までの範囲。戦闘範囲全体に不死結界を張っておくから、仮に相手を殺すようなダメージを与えた場合は、死亡とみなしその後の戦闘には参加できなくするため、それぞれの後ろに設置する檻の中に強制転移されるから。
闘技場の施設を壊さない限りは、何をしてもOKということで。
試合の合図は、約10分後に鳴る時報代わりの鐘の音が合図。試合終了は、相手のパーティメンバー全員が戦闘不能になった時。つまり、全員檻の中に強制転移された時ね。」
”ゴーーン、ゴーーン”
鐘が鳴り響いた瞬間、マツリがキョウスケたちを睨みつけます。マツリの威圧をもろに食らったキョウスケたちは、その場から1歩も動くことができずに冷や汗を滝のように流し始めました。そこにミヤビたち前衛部隊が斬りかかり、あっけなく勝負がついてしまいました。
「マツリちゃんや?」
「なに?お姉ちゃん?」
「最大出力で威圧の魔眼を放っちゃだめだよ。せめて8割程度に抑えなさい。」
「時々は最大出力で放たないと、性能が鈍っちゃうじゃない?『勇者』なんて大層な二つ名名乗っているんだから、このくらいで動けなくなるとは思わなかったんだよ!」
「それはそうだけど、恭介たちはまだまだヘタレだからね。8割でも動けないかもしれないんだよ。」
「…確かにそうだね、お姉ちゃん。制裁の時の威圧が、大体7割くらいだったからね。」
「そろそろ第2回戦と行きましょうか?キ・ョ・ウ・ス・ケ。」
私の黒い笑みに、少し恐怖を覚える勇者様御一行。
こうして、昼の鐘が鳴るまでキョウスケたちを苛めた私たち。
「君たちの弱点が解ったよ。」
「俺たちの弱点?」
昼食を食べながら、そんなことを切り出す私。
ちなみに昼食は、サーシャとアケミが闘技場まで運んできてくれました。
「そう。キョウスケたち全員に言えることだけど、スキルレベルに依存した戦闘になっている処が大きな弱点だね。
これから挑むダンジョンには、『技能封じ』とか、『魔術封じ』と呼ばれる階層が存在するからね。今のままだと、その階層を突破することは無理だよ。」
「この世界は、スキルがありレベルが存在する所謂ゲームみたいな世界だろ?」
キョウスケが、私の言ったことに反論をする。
「それであっているけれど、スキルに縛られない部分も存在しているんだよ。例えば、『裁縫』というスキルがあるのだけれども、このスキルを持っていない人でも、プロ並みに裁縫が出来る人もいるんだよ。
生産関連や商業関連のスキルではたくさん事例があるけれど、戦闘関連連でもそうゆう事例が転がっているからね。魔法に関しては、スキルがないとそもそも発動自体しないけれどね。」
そういいながら、食後のお茶をすする私。
「アスカ…。なんでそんなに、スキルについて詳しいんだ?」
今更…私にとっては今更な質問をぶつけるキョウスケ。
アッ!そういえば技能神の代行者は、私のパーティメンバー以外は誰も知らないことだったよね。今更ながらばらしますか。そう結論を出した私は、流れるような感じでキョウスケたちに話す。
「そんなの当り前だよキ・ョ・ウ・ス・ケ。今現在スキルの管理は私がしているのだからね。ちなみに、神様に頼まれて、エリザを弄れるようにしたのもわ・た・し。」
「”ブーーー!!”ア、アスカさん、それってどうゆう事ですか?」
飲んでいたお茶を、盛大に吹き出して私に質問をするエリザ。吹き出したお茶は、ちょうど反対側に座っていたキャナルにかかった。私は、まったりとお茶をすすった後に、にっこりと笑ってエリザにというか、私たち神の代行者4人の事を知らない全員に説明する。
「で、話を最初に戻しますが。
午後からの訓練では、ここにいる全員にとあるスキルを強制的に付与します。
そのスキルの名は、『戦闘スキル封じLV5』。
このスキルの特徴は、私が設定したレベルまで達しないと、スキルの効果がなくならないことです。今回は戦闘関連のスキルのみ封じてあるので、基礎ステータスを上昇させるスキルは生きています。
それでは張り切って、訓練を再開しましょう。」
こうして、戦闘スキルの補助がない状態で、午後の訓練が始まりました。
私とキョウスケは、剣を持って対峙している。私は普段は魔法使いであり、メイン武器も鉄扇なんですが、こう見えて剣というか刀なんですが、プロ並みの腕なんですよ。
打ち合いを初めて約10分。ステータス的には互角な私とキョウスケなんだが、ここにきて基礎的な技術の差で私が押している。さらに10分後、私がキョウスケの首筋に刀を当てて試合が終了した。
「やはりスキル任せのごり押し剣術でしたか。もう一度基礎からしっかりとやろうね。キ・ョ・ウ・ス・ケ。」
「そうだな、アスカ。地球で真面目に剣術の修行をしていなかったのが、ここにきて仇になるとは思わなかった。」
私の言葉に同意したキョウスケは、私の指導の下、一から剣の修行を再開するのだった。それにつられて、他の勇者メンバーも、最低限の自己防衛として一緒に剣の修行をすることになった。
全員が、『戦闘スキル封じLV5』が指定する技術レベルに達したのは、二日後の昼だった。
全員が、『戦闘スキル封じLV5』の効果がなくなった午後、ダンジョン攻略のための対策会議をすることになった。現在は、アケミが見つけてきてくれた迷宮都市内の家のリビングにいる。
やっぱり地元民にこういう仕事を任せるのがいいなあと、全員が実感している。ダンジョンからの距離、市場からの距離、ギルドからの距離等、とてもベストな場所を見つけてきてくれた。家の大きさも、8人が暮らすことを考えればベストな広さだ。
「まずは、ダンジョンの構造だけれども、これについては、地元民であり、王宮に来るまではちょくちょく潜った経験があるアケミからお願いします。」
私から引き継いだアケミが、ダンジョンの構造を説明していく。
「ここカイベルト大迷宮は、基本10個の階層があり、それを10階層ごとに繰り返していきます。繰り返される階層は、【第1階層】洞窟型迷路フィールド・【第2階層】樹林型迷路フィールド・【第3階層】蟻の巣型迷路フィールド・【第4階層】空間歪曲型迷路フィールド・【第5階層】草原型フィールド・【第6階層】荒野型フィールド・【第7階層】湿地帯型フィールド・【第8階層】海原型フィールド・【第9階層】特殊形態型フィールド・【第10階層】ボスフィールドとなっています。また、それぞれの階層に適した魔物やモンスターがいます。
ちなみに私が到達している階層は、70階層です。なので70階層までの事ならば、ある程度ならば説明できます。」
こうして私たちは、アケミにダンジョン内の事を聞いていった。
その中でうれしい誤算が、ボスを倒すと、ボスが守る扉の先に入口につながるポータルがあるという事だ。どういう仕組みなのかは解明されていないが、これを使うには、倒したボスからPOPされる、転売負荷のとあるアイテムが必要らしい。
つまり10階層ごとに、一度地上への帰還が許されるのだ。確かこの機能?は、王都バルモアス近郊にある昇格試験ダンジョンにもついていた。
そして翌日。
私たち『狐とエルフの落し児』と、キョウスケたち『勇者の戦慄』の合計13人は、ダンジョンへと続く大扉の前まで歩いてきた。
いよいよダンジョン攻略の始まりだ。




