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勇者召喚に巻き込まれて異世界転生します  作者: ai-emu
【第6章】そうだ!!ダンジョンに行こう!!(準備編)
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空中移動要塞『ラングレイ』(その1)

迷宮都市に出発する日が来た。いま私たち一行は、王都外周区にある騎士団訓練場に来ている。訓練場のほぼ中央付近には、全長約500mの巨大な戦艦が、地面から10mほど離れた空中に停泊している。

これが今回、私が試しに建造した空中要塞だ。戦艦ふねの大きさは、全長500m、全幅100m、全高200m。

主砲は、戦艦の進行方向を軸として360度回転する直径100mの円筒式回転砲台が、艦橋を挟んで前方に3つ、後方に2つ、計5連並んでいる。

回転しながら攻撃をする円筒が5つ並んでいると思っていただければいいと思う。

その円筒には、6等分された場所にそれぞれ2門づつの砲台が置かれ、それが回転しながら砲撃をするため、全方位対応となっている。

唯一の死角となる艦首と艦尾には、宇宙戦艦ヤ〇トの艦首についている波〇砲改め『魔導砲』を撃ち出す空間がある。

回転式砲台につけられている主砲計10門と、艦首・艦尾にある魔導砲計2門が、この戦艦の主な攻撃手段だ。すべての砲台には、9つの魔法属性をそれぞれ単独で撃ち出せるシステムを積んでいるため、すべての魔法攻撃が可能である。

防御面では、常時展開している不可視結界により、物理的・魔法的・精神的攻撃をすべてブロックしている。もちろん、こちらの意思によって、周りから見えなくさせることも可能だ。

この船を、此処ラグナレシアのすべての節理の理において攻撃し、撃沈することは不可能である。この世界以外の理による攻撃を受ければその限りではないが、そんなことが出来るものは、この世界には存在していない。

ぶっちゃけ、勇者様御一行にプレゼントした戦艦ふねよりも高性能である。

この戦艦ふねについては、私が住んでいるここバーランチア王国に払い下げることはしないが、有事の際は無償で乗員わたしたち事貸し出しをするつもりでいる。この戦艦ふねを購入しようとすれば、それこそ国庫が破綻するのが目に見えているからだ。

魔王を倒しに行くのは勇者様くされえんたちのお仕事なので、私は一切手助けするつもりはないが、魔族軍むこうが私のいる土地に攻撃してきたときは、その限りではないと思う。


集合時間である午後2時よりも30分近く前だが、全員揃っているので早速だが戦艦ふねの中に案内することにする。

その前に、

「エリザベス様、お体のほうは大丈夫ですか?」

3日前にあった時には人間族だったエリザベス様。今はしっかりと尖った耳を持つエルフ族だ。実際には、エルフと人間のハーフなのだが、まあ、私にしてみればどちらでも構わないことだ。

「お気遣いありがとうございます。アスカさん。本調子ではありませんが、行動には差し支えございません。」

王様の肩を借りながら、こちらに歩いてくるエリザベス様。まだ少し薬の影響が残っているようだ。

「エリザベス様は仕方がありませんよ。たぶん、神々からもらったギフトが、まだ薬の効果と馴染んでいないためだと推測されます。迷宮都市に到着するまでは、戦艦ふねの中なので安全です。向こうに到着するのは、明日の朝の予定ですので、それまではゆっくりしていてくださっても問題はありませんよ。」

「お言葉に甘えて、ゆっくりさせていただきます。」

「では、時間もありませんし、さっそく戦艦ふねの中を案内いたします。まずはこちらを、右手の人差し指ににはめてください。はめた後に、指輪が体の中に消えていきますが、害となるようなことはありません。これは、この戦艦ふねの乗員たる証である指輪を第三者に盗まれないようにするための処置でもあります。」

私は、王様とエリザベス様に、この戦艦ふねに乗船するための魔導具を渡します。指輪をはめると、あら不思議。指輪が王様たちの体の中へと消えていきました。私の説明で納得したのか、指輪が消えることには少し驚いていたようですが、それ以外は普通に受け入れている2人です。なんというか、とてもたくましいですね。


戦艦ふねに乗り込むには、『転移の指輪』と言う魔導具がないと乗船することができません。魔導具で転移される場所は、艦橋の50m下にある『転移の間』と名付けている空間です。ここは、この戦艦ふねの居住区の玄関口も兼ねており、中へと入る扉と、甲板へと出る扉があるだけの部屋です。

「私の後ろをしっかりと付いてきてください。」

そう2人に告げて、私は、戦艦ふねの中へと入る扉を抜けます。その先にあるのは、直径5mほどの魔法陣が描かれた床のみ。中心部には手の形に掘られた台座があり、私は迷うことなくその台座に手を置きます。私が少し魔力を流すと、一瞬の揺らぎの後、一番高い場所にある艦橋へと入る扉の前まで一気に転移します。

「これは何だね?アスカ君」

王様が、不思議な感覚に付いて質問をしてきました。

「この戦艦ふねの中は、すべてこの転移の魔法陣によって移動します。魔法陣を起動することが出来るのは、戦艦ふねに魔力パターンを登録した者のみ。つまり、先ほど渡した『転移の指輪』を持っている者のみとなります。現状では、私のパーティメンバーと王様のみですね。

王様とエリザベス様。

その指輪を持つ者は、此処ラグナレシアの大地にいれば、何処にいようとも、この戦艦ふねに転移することができます。また、指輪を持つ者が訪れたことがある場所ならば、何処にでも転移することが可能です。ここに転移する場合は、最初に入った部屋限定になりますがね。」

そう言って私は、指輪の使い方を説明していきます。

「まずは、この戦艦ふねの艦橋へとご案内いたします。こちらへどうぞ。言い忘れていましたが、この戦艦ふねの扉は、すべて魔力認証でしか開くことはできません。各扉の横にあるこの石板に手を置いて、ほんの少しでいいですので魔力を流してください。」

目の前の扉の横にある右手の形に掘られた石板に手を置く私。すると、私の魔力に反応して扉が開いていきます。


「この戦艦ふねは、多人数で操縦することもできるし、1人だけで操縦することもできる。もちろん無人操縦も可能だ。多人数の時は、今見てもらっている通り、それぞれが1つの専門作業をことを担当する。1人の時は、一番高い位置にある艦長席のすぐ下にある席で操縦する。…。」

艦橋に付いて説明した後、私は、エリザベス様に担当させる作業を告げて、その席に案内した。

「いい忘れていたけれど、この戦艦ふねの艦長は私だから、今からエリザベス様のことは、呼び捨てか愛称の『エリザ』と呼ぶことにするけれどいい?これから一緒に行動していくから私たちは仲間だ。当然私以外のメンバーも、そう呼ばせてもらう。また、私たちにも敬称は必要ない。」

私の発した言葉を、かみしめながら反復するエリザ。すでに私の中では、呼び捨てで呼んでいる。

「私からもお願いします。アスカさん。敬称呼びは、もう長年の癖になってしまっているので、この間案で許してください。私のことはどうぞ『エリザ』と、呼び捨てで呼んでくださって結構です。」

「ありがとうエリザ。仲間内だけの時は、呼び捨てで呼ばせてもらうよ。エリザのことを知っているであろう貴族たちがいる場所では、その時の状況に合わせて敬称呼びをするかもしれないが、街中やダンジョン内では基本『エリザ』と呼ぶことにする。皆もいいな。」

「お兄ちゃんがそうするなら、あたしもそう呼ばせてもらうよ。これからよろしくね、エリザ。」

「こちらからもよろしくお願いします。え~~と、ミヤビちゃん?それとも、ミヤビさん?」

「あはは!いいよ。私のことはミヤビちゃんと呼んでもらっても。」

おおらかに笑うミヤビ。

「ボクからも、よろしくね。エリザちゃん。」

「はい!よろしくお願いします。マツリちゃん。」

挨拶を交わしながら、皆と溶け込んでいくエリザ。私と王様は、その光景を微笑ましく見つめていた。

「ありがとうございます、アスカ殿。」

「何がですか?」

「エリザのあの屈託のない笑顔を、初めて見た気がします。立場上、エリザのことを呼び捨てで呼ぶものなど、家族以外は皆無でしたから。近づく者は、大人子供関係なく腹に一物抱えていましたから、本当の仲間とか友達とかは、あの子にはいなかったですので。」

「ああ、そういうことですね。確かにエリザの立場ならそれはかなわぬ夢でしたね。

でも今は違いますよ。そのかなわなかった夢がかなったのです。これからは、ミヤビやマツリと親友になっていってくれる事を願っています。その辺は、エリザ次第だと思いますがね。エリザが壁を作ってしまえば、そういう関係になっていってしまいます。

王様の前なのに、呼び捨てで愛称呼びは、不敬にあたりますかね?」

「いや、別に私は構わないよ。アスカ殿は、エリザの仲間であり友達でもある。公式の場では問題があるだろうが、此処はエリザにとっても我が家と同じ空間だ。」

「では王様、そろそろ出発しましょう。転移の指輪があるので、迷宮都市まで空の旅を楽しんでいただいても簡単に王城ここまで戻ってこれますが、どうしますか?」

「そうだな。近衛隊長だけは連れて行ってもいいか?」

「そうですね。ではこうしましょう。王家の家族4人には、それぞれ護衛2人と侍女2人の計4人に転移の指輪を差し上げます。エリザ付きに護衛と侍女は今は船外したにいますか?」

「ああ、護衛はいないが、侍女ならばいるぞ。ということは、迷宮都市における拠点は、この戦艦ふねと言うことかね?」

「そうですね、この戦艦ふねの中は、何処よりも安全で快適ですので。迷宮都市内に拠点を構えようとは思っていません。転移の指輪があるので、ダンジョンには、直接転移することができますし。

王様も、何か命の危険があった時は、遠慮なくこの戦艦ふねに転移してきてください。そのためにご家族全員に指輪を渡すのですから。」

「その時がきたら、遠慮なく使わせてもらうよ。時間もない事だし、近衛と侍女をさっそく連れてこよう。」

私は、みんなに一言断りを入れてから、一度王様とともにこの戦艦ふねの外に転移した。そして、エリザ付きの侍女は、エリザに浸かってもらう予定の部屋で待機してもらい、再び艦橋へと赴く。私は艦長席に座り、皆に指示を出した。

「エリザ、目の前の機器の使い方は解るわね?」

「はい、始めてみますが、詳細に理解できます。何故でしょうか?」

「それは、エリザに新たに与えたスキルで理解できているんだよ。

そんなことよりも、早速出発しよう。目的地は、迷宮都市カイベルトにある騎士団訓練所。

空中移動要塞『ラングレイ』発艦!!」

私はそう宣言すると、空中移動要塞『ラングレイ』は、ゆっくりと上昇し、迷宮都市へとむけて出発した。


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