妹を探そう!(その1)
「スキルの確認をしがてら、妹2人を探そうかね。この世界の何処かにいるはずなんだが…。私がこんな姿だから、妹たちもすぐには見分けがつかないだろうな。
なんか探す方法はないかなあ~~。」
そう言いながらステータス表示を眺めている。
「そう言えば、…私の名前は、そのままなんだな~。そう言えば、この収集家ってスキル、どんなスキルなんだろう。」
そう思い、スキルに鑑定をかけてみる。
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【スキル名】収集家
【スキルの説明】ラグナレシアの存在するモノならば、ありとあらゆるものを収集する為に検索をかけることが出来る。指定したアイテムをコンプリートすると、特殊スキルが1つランダムで貰える。先に述べた【空間把握】と合わせて使用すれば、存在している場所をマップ上に反映する事が出来る。
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「またやけにチートスキルだ事。このスキルで2人を探せないかな。
物は試しだ。やってみよう。」
そう思い、頭の中でスキルを使い、ミヤビとマツリの位置をマップ上に表示させてみる。
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収集家からのメッセージ
検索完了
空間把握と連動し、マップ上に検索物件A(ミヤビ=ヨシオカ)・検索物件B(マツリ=ヨシオカ)の現在地を表示します。
収集完了までの残数(0/2)
これより先、自動的に空間把握と連動しますか?
(YES/NO)
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もちろんYESを選択する。
しかし…、この感じだと、実験と称してゴンリンなんかを指定しなくてよかった。もし指定したら、何億?何兆?居るか解らないゴブリンを、すべて殲滅しなければならない。
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空間把握からのメッセージ
マップ上に検索物件A(ミヤビ=ヨシオカ)・検索物件B(マツリ=ヨシオカ)の現在地を表示します。
警告!検索物件B(マツリ=ヨシオカ)は、表示できるマップ上には存在しないため、表示できません。
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ミヤビはすぐにでも会えるが、マツリはマップ上にはいないため無理なようだ。何処にいるのかは知らないが。まあいい。とりあえず、ミヤビのところに行こう。私は、マップ上に表示されたミヤビの光点に、カーソルを合わせ、その場所に特殊空間転移で飛んだ。
そこにいたのは、15匹ほどのゴブリンに囲まれた少女。
170㎝程の身長に、栗色の髪をポニーテールに纏めている女の子だ。顔つきは、どことなく生前のミヤビに似ている。服装は、こげ茶色のジャンパースカートに、黒っぽいトレーナーといった感じだ。
そして、刃が所々欠けた今にも折れそうな剣で、ゴブリンを一生懸命牽制している。
私は少女を鑑定した。
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【名前】ミヤビ=ヨシオカ
【種族】混血亜人種(エルフと人間とのハーフ)
【年齢】115歳【性別】女
【戦闘系職業】剣士(レベル5)【生活系職業】農民(レベル100)
【ギルドランク】《冒険者ギルド》《職人ギルド》《商人ギルド》
【称号】異世界転生者・農務の先駆者
【加護】世界神の加護・創造神の加護・転生神の加護・農耕神の加護
【基礎ステータス】
《体力》4000
《武力》100
《魔力》1000
《知力》500
《俊敏力》500
《忍耐力》1300
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確かに、俺の妹のミヤビだ。どうも、他人の空間保管庫の中身までは鑑定できないみたいだな。まあ、そんなものまで鑑定出来たらそれはそれでやばいんだが。
そんなことよりも、サクッと殲滅しちゃおうかな。
私は、ミヤビの前に上空から着地を決め、そのまま右手を横薙ぎにふるった。さっくりと頭と胴体が分かれ絶命するゴブリンたち。
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空間保管庫からのメッセージ
【魔物】ゴブリンの集団を殲滅しました。
討伐証明部位を自動で回収中です。しばらくお待ちください。
(12/25)回収中
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前回は放置してきたが、今回はゴブリンの死体を、魔法の訓練を兼ねて燃やしてみる。全てが灰になったところで、改めてミヤビの方を向いた。
「大丈夫だっか?ミヤビ?」
「あなたは誰?どうして、あたしの名前を知っているの?」
…ああ、今の容姿じゃ、俺が兄だとはわからないな。
「私は、アスカ=ラングレイ=ヨシオカというの。こんなナリだけど、あなたの兄のアスカだよ。」
「えっ!お兄ちゃんなの?」
「ああ。俺…、いや、私は、ミヤビの本物のお兄ちゃんだ。今はミヤビよりも見た目年下で、しかも性別が女なんだがな。」
自嘲気味にそうミヤビに伝えると、ミヤビはじ~~と私の方を見ていた。
「お兄ちゃん、いや、アスカちゃん。」
「な、なんだ?」
私をというよりは、私の後ろに生えている9本の尻尾を見ていたようだ。
「お兄ちゃん。その、お尻に生えている尻尾…。モフモフさせて!いや、モフモフさせろーーーー!!」
ミヤビは、そんな宣言をすると、いきなり私の尻尾めがけて突撃してきた。
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収集家からのメッセージ
検索物件A(ミヤビ=ヨシオカ)を収集する事に成功しました。
収集完了までの残数(1/2)
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そんなメッセージが私の頭の中に聞こえてきたが、今はそれどころではない。私は、尻尾を抱きかかえて森の中を逃げ惑うが、あえなくミヤビに捕獲されてしまう。
30分後…
やけにツヤツヤな顔のミヤビと…
ぐったりと地面に四つん這いになった私がそこにはいた。ふと自分のステータスを覗くと…。
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【名前】アスカ=ラングレイ=ヨシオカ
【種族】混血亜人種(ハイエルフと九尾狐とのハーフ)
【年齢】1010歳【性別】女
【戦闘系職業】魔導師(レベル200)【生活系職業】魔導鍛冶師(レベル133)
【ギルドランク】《冒険者ギルド》SS《職人ギルド》A《商人ギルド》C
【称号】異世界転生者・神々の寵姫・天使の癒し・風雲の魔導鍛冶師・旧ラングレイ帝国王女・殲滅幼姫・愛玩動物(NEW)
【加護】世界神の加護・創造神の加護・転生神の加護・武術神の加護・魔法神の加護・鍛冶神の加護
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《耐性スキル》
物理耐性Lv10・魔法耐性Lv10・苦痛耐性Lv10・爆裂耐性Lv10・即死耐性Lv10
精神耐性Lv10・恐怖耐性Lv10・罵倒耐性Lv10・隷属耐性Lv10
毒耐性Lv10・腐敗耐性Lv10・悪臭耐性Lv10・麻痺耐性Lv10・石化耐性Lv10
病気耐性Lv10・酒精耐性Lv1・愛獣属性耐性Lv5(NEW)
《生産系スキル》
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称号増えてるし…『愛玩動物』ってなんだ?
体力…、思い切り減少してるし…。
忍耐力…限界値がやけに上がったなあ。
それに…、なんかスキルが増えているし。『愛獣属性耐性』ってなんだ?
そんなことを考えていたら、勝手にスキルが鑑定されてしまった。
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【スキル名】愛獣属性耐性
【スキルの説明】このスキルは、【スキル名】愛獣属性を持つ者に弄られると、自身を防衛するために勝手に取得する耐性スキルである。
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こんなバカげたことでも、スキルって、取得できるんだなあ。
さらに30分後…
何とか復活を果たした私。今は、木にもたれ掛かって座るミヤビの膝の上で抱っこされている。
「それで、アスカちゃん。どうしてあたしのことが解ったの?それから、ここまでどうやってきたの?ゴブリンだっけ、あたしを襲っていたのは?あれに襲われる前は、確かあたしだけだったんだけど。」
私は、ミヤビの膝の上で、一服するために湯のみと急須、そしてお茶の葉を出した(この3つは、何故か空間保管庫の中に入っていた。お茶はなんと緑茶♥)。そして水魔法と火魔法を使って熱湯を作り、お茶を入れる。
ズズズズ…
ん~~、おいしい!
「アスカちゃん。」
「何?」
「いろいろ突っ込みどころ満載なんだけど…、とりあえずお茶、あたしにもちょうだい。喉がカラカラなんだよ。」
「ミヤビも自分で作れ…、そういやあ、ミヤビには、水属性と火属性がなかったな。…ほら。」
ズズズズ…
「ん~~、おいしい!いきかえる~~~。」
奪い取るように飲んだお茶で、喉を潤すミヤビ。お茶を飲んで落ち着いたところで、改めてミヤビから質問された。
「それで、アスカちゃん。どうしてあたしのことが解ったの?それから、ここまでどうやってきたの?ゴブリンだっけ、あたしを襲っていたのは?あれに襲われる前は、確かあたしだけだったんだけど。」
私は、これまでの経緯を詳細に話した。
「お兄ちゃん、いや、アスカちゃん、なんかいろいろとずるい!!あたしにも少し分けて!」
「分けるって言ってもなあ。ミヤビもスキルポイントがあるだろう?それでスキルを取得すればいいだろうが!」
「…お兄ちゃん。」
「なんだ?」
「スキルポイントって、なに?」
「はっ!?」
私は、ミヤビのそんな発言に、素っ頓狂な声を上げるしかなかった。