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勇者召喚に巻き込まれて異世界転生します  作者: ai-emu
【第6章】そうだ!!ダンジョンに行こう!!(準備編)
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種族変更薬の正しい処方の仕方

=種族変更薬=

それは、ラグナレシアに暮らす数多の種族にとって、夢にまで見る薬だろう。特に、支配人種と呼ばれる中で寿命が比較的短い人間族のうち、特権階級に身を置く者にとって、喉から手が出るほどほしい薬の1つかもしれない。何故ならば、魔物やモンスターも含め、ラグナレシアの地上で生きるすべての種族にその身を変えることが出来るのだから。


いま私たちの目の前には、その薬が鎮座している。


申し遅れました。

私は、エリザベスと言います。この国の第1王位継承権を持つ身ですので、特権階級に属している者の内の1人ですね。

いま私は、とても悩んでいます。

私の目の前に置かれている種族変更薬は、『エルフ薬』とアスカさんは名付けている薬です。この薬を服用すれば、私は『エルフと人間族のハーフ』と言う存在に生まれ変わるみたいです。

此処ラグナレシアにおいて、ハイエルフ族を筆頭に、寿命の長いエルフ族のハーフになれる薬です。純粋なエルフ族ではないのですが、それでも破格の寿命を手に入れることになります。

『エルフと人間族のハーフ』であるミヤビちゃんが117歳、マツリちゃんが122歳なんです。それでもまだまだ、外見年齢が私と同じくらいなのですから、単純に計算しても1000年前後の寿命があると言うことになります。

アスカさんは、今はすでに絶滅してしまった、すべての種族の中で最も寿命が長かった『九尾狐族』の血をひくため、本人曰く、あと10000年は寿命があるだろうと言うことです。まあ、知り合いがいなくなれば、どこかに引きこもって余生を過ごすと宣言されていますが、その時が来るのは1000年以上先の話なので、何ともスケールの大きなことです。


話がそれましたが、この薬を飲むにあたり、アスカさんは薬の処方と効能、副作用についてしっかりと説明してくれました。

まずは、薬の効能から。

1つ。種族変更薬は、1度の人生において1回しか服用することはできない。

1つ。2つ以上の種族変更薬を服用ことはできない。

1つ。変更された種族は元の種族に戻すことはできない。

1つ。必ずもともとの種族とのハーフと言う存在になる。

1つ。服用した時点での年齢に沿い、服用後の年齢が決まる。

1つ。もともと取得しているスキル等は引き継がれ、新たに種族特性のスキルが追加される。

次に、用法と容量についての説明を受ける。

1つ。1回につき1錠のみ服用すること。2錠以上の服用は、合成獣キメラになるので注意。

1つ。処方された種族変更薬は、外気に晒した時点から数えて1日(30時間)以内に服用すること。30時間を超えた薬を飲むと、合成獣キメラになるので注意。

1つ。服用時は、全裸になり布や革製品を体に接触させてはならない。接触したまま服用すると、それらを取り込んでしまう恐れがあるため。

1つ。服用後2日間は、聖水(薬とともに処方される水)以外口の中に入れてはならない。食料品と薬が、変な反応を起こす可能性がある。

最後に、副作用についての説明があった。

1つ。服用後30分くらい経過した後、体中に激痛が走る。これは、体内組織や骨格を、強制的に変更するために起きる現象である。

1つ。激痛は、1回目は10分ほど続き、そののち30分ほどなくなり、また10分ほど続くと言うサイクルを半日から1日(人により異なる)続く。この間、布・革製品を接触させてはならない。

1つ。激痛が収まると約1日の間、変更された身体組織や、新たに付与されたスキル等が体に馴染むまで、基礎ステータスの値すべて10以下まで下がる。

1つ。獣人系や魔物系の種族変更薬を服用すると、激痛の最中に突然獣化することがある。


この薬は、アスカさんのパーティメンバーの中で人間族であるカズハ・ミズホ・アカネに服用させるために作ったらしい。これは、3人からお願いされて、アスカさんが作った薬だからだ。もちろん、3人は処方されたすぐに服用し、今現在は3人とも『エルフと人間族のハーフ』になっている。激痛などの副作用は、その時に発見したそうだが、そもそも種族を変化させるんだから、そのくらいは受け入れなくてはいけないだろうと、改良せずにそのままにしているらしい。

その薬を、20錠ほど私にも処方してもらえたのだ。その事をお父様たち家族全員に話し、薬を囲んでいるのである。

「どうしましょうか?お父様?」

「どうしましょうとは、何だね?エリザ?」

「アスカさんは、わたくしに対しては、飲んでも飲まなくてもどちらでもいいと仰っていました。もし飲むのならば、ダンジョンに出発する日までに種族が変わっているように飲んでおくようにと。」

お父様は、腕を組んで少し考えています。

「アスカ殿は、この薬について何か言っていたかね?」

私は、お父様の質問に、アスカさんが話していた通りに答えます。その際、アスカさんから頂いたもう1方の薬も取り出します。

先に机の上に出していた薬は、『エルフ薬』と呼ばれている薬で、服用すれば『エルフと人間族のハーフ』と言う存在になれるものです。薬の特性から、1錠1錠密封された袋に入れられており、袋には金箔が押されています。

対して、あとから取り出した薬は、『魔物薬』とアスカさんは呼んでいた薬です。こちらは、真っ黒な袋で包装さえています。この薬を飲むと、ランダムで数多の魔物の内の1つとハーフになってしまう薬です。数としては100錠ほどあります。

「アスカさんは、こう仰っておりました。

『種族変更薬は、注文さえあればいつでも作る事ができます。その際はしっかりと料金はいただきますが。料金については、1錠当たり1千万レシアを予定しています。今回については、サンプルみたいなものなので、料金はいただきません。エルフ以外の種族についても相談に乗ります。』

と。また、魔物薬については、罪人の新たな処刑方法にでも使用してくださいと仰っていました。こちらについては、新たに作る際の料金は発生しないと。

わたくしが使用しなかった場合は、好きなように処分してもらってもいいと。」

「…そうか。それで、エリザはどうしたいのだ?この薬を使って、『エルフと人間族のハーフ』になりたいのか、今のままの人間族でいたいのか?」

「わたくしは、神々のギフトのこともあるので、薬を服用したいと思っています。神々から与えられたギフトを使いこなせるように訓練するには、人間族の寿命では短すぎると感じていますので。」

「…あい解った。エリザだけ変わるのは癪に障るから、私も服用しよう。」

「そうね。私も服用しましょう。エリザやあなただけ長生きするのは、家族としてはいただけないことだからね。私もまだまだ、やりたいことがたくさんありますので。」

「…僕も、飲みます!!」

家族全員が服用することに決めたみたいです。お母様がやりたいこととは一体何でしょうか?

「では、王族全員が激痛に苛まれて政務が滞るのもなんだからな。此処は順番に飲んでいこうか。まずは、時間が切迫しているエリザ、お前からだ。

そうだなあ。薬の処方によれば、布製品を革製品を体に接触させてはいけないようだから、薬を服用する部屋は、あそこでいいだろう。」

「そうですね。あの部屋が、今回に関しては一番安全ですね。ではお父様、準備出来次第、あの部屋に篭ります。」


翌日の朝早く、私たち家族4人と、今回のことを事前に話している(私たちの会話を後ろで聞いていた)宰相と近衛騎士数人で、王城の裏庭にある池の中州に来ていた。そこには、窓1つない小さな石造りの建物がある。唯一の出入り口となる鉄扉を開けて中に入る私たち。

「まさかこんなことでここを使用するとは思わなかったな。」

「そうですな。王よ。本来此処は、犯罪を犯した王族を秘密裏に処刑する『餓え地獄の刑』で使用するための場所ですからな。」

お父様の呟きに、宰相が答えます。そうなんです。本来は、『餓え地獄の刑』と呼ばれる死刑の際に使われる建物です。10m四方ほどの小屋の中心には、1mほどの台座があり、その上に1m四方、高さ1mに囲んだ鉄格子が設置されています。

本来は、その鉄格子の中に罪人となった王族を入れ、死ぬまで放置すると言う処刑に使われる建物です。どんなに叫んでも、外には声が漏れることもありません。

「ではお父様。早速始めたいと思います。」

「我々は外で待機しておりましょうか。では、エリザベス様。翌日にお会いしましょう。」

宰相以下、家族以外の男性が建物の外に出たのを確認してから、私は身に着けているモノをすべて脱ぎ、本来は罪人を閉じ込める檻の中へと入ります。

私付きの侍女が、全裸の私の手足に、鋼鉄でできた武骨な枷をはめていきます。床に鎖で固定されている枷をはめていき、最後に天井を構成している鉄格子から鎖で繋がれている首枷をはめました。それぞれの鎖に鍵がはめられ外せなくさせた後、私の後ろ側にある扉が閉められます。

これは、多くの魔力を保持している私が、無意識に魔力を暴走させないための処置です。

この手枷足枷首枷は、魔力封じの魔導具となっているからです。この枷で固定されると、体内にある魔力を限界まで吸収してしまい、魔法を放つことができなくなります。それは、無尽蔵に魔力を保有している私ですら例外ではありません。また、入り口の鉄扉が閉じられれば、部屋の中を漂っている魔力すらなくなってしまうのです。


枷をはめられた後、檻の中に入る扉も閉められて鍵がかけられます。檻に入る入り口は、建物の入り口の反対側。1m四方と小さいため、檻の中で立ち上がることはできず、座った状態で過ごすことになります。唯一の光は、入り口である鉄扉にあけられている覗き穴のみ。覗き穴から見る私は、正面を向いた状態で固定されています。

「では姫様、明日の朝にお迎えに参ります。お薬と聖水は、一段低い場所に設置してある台の上に置いておきます。入口の扉が閉められた後にお飲みください。」

次女がそう言いながら、目の前の木の台の上に薬と聖水の入った木桶を置き、私を1人放置して建物を出ていきました。布に触れてはいけないのですから、侍女が着ている服に触れないように、1人放置することに皆で決めていたのです。

鈍い音をたてながら扉が閉められ、鍵をかける音が部屋の中に響きます。唯一の光源である覗き穴から延びる光の帯が、丁度目の前に置かれている木の台を照らしています。私は、光に照らされた薬を口に含み、木酌で掬った聖水で飲み込みます。木酌を再び台の上に置き、鉄格子に背中を預けてその時を待ちます。

10分後。

全身を引き千切るような激痛が、突然私を襲いました。

「ギャーーーーーー!!!!!」

あらんかぎりの大きな声を出して、激痛にのたうち回る私。

永遠とも思える10分間が過ぎ、暫しの静寂が建物を支配します。私は再び起こる激痛を前に、意識を手放していたみたいです。

「ギャーーーーーー!!!!!」

再び起こった激痛で、意識を揺り戻した私は、また叫び小さな空間の中をのたうち回ります。

昼も夜も絶え間なく襲う激痛が収まり、意識を手放していた私。覗き穴から漏れる朝日が私を照らし、その眩しさで目を覚まします。激痛によってか、それとも薬の副作用によってかは知らないが、全く力の入らない手で木酌を持ち、掬った聖水を何度も飲みながら、喉の渇きを潤していきます。

はっきりと意識が覚醒した後、私は、鉄格子越しに聖水の入った木桶を覗きこみます。薄暗くてよくわかりませんが、私の顔には、しっかりと尖っている長い耳が。ミヤビちゃんやマツリちゃんと同じように尖った耳は、どことなく丸みを帯びています。両の手で耳を触りました。耳を伝う感覚で、確かに私の耳だと実感できます。

それからしばらくして、入り口の鉄扉が開きました。

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