勇者御一行に与えられたクエスト②
俺たちは今、『世界樹の森』と呼ばれる広大な森の入り口に来ている。この森で最初のクエスト『世界樹の森に棲む精霊の加護を受ける』を行うのだ。
しかし、文章にすればいたく簡単なように思えるが、実際行おうとすると、すごく大変なことがわかる。なんせこの『世界樹の森』大きさでいえば東西約150㎞、南北約200㎞もあるのだ。さらに、高低差が最大で約400m近くもある森なのだ。そこに生い茂っている木々は、太陽の光さえ遮っている場所もあり、さらには、獣道すら存在していない場所もある。単純に、この森に棲む精霊を探し出して『加護をください』で終わるわけはないと思う。精霊から、何らかのクエストがあるだろうと皆で相談してあったりする。
森の境界から1歩中に踏み込んだ瞬間、周りの空気が変わった。視覚と聴覚以外の気配を探る行為が、一切できなくなったのだ。さらに、盛の中に入った瞬間、新たなクエストが発行される。
===============
【神(代行者)からのクエスト】▽△
《クエスト挑戦者》勇者パーティ5人に対して
《クエスト期間》世界樹にたどり着くまで
《クエスト内容》世界樹の森に生えている木々のうち、魔法の属性色の色をした木の実があるのでそれを1つづつ収穫すること
《達成報酬》スキル『言語の支配者Lv10』取得(パーティメンバー全員)
《承諾》Y(承諾のサインは、このクエストを読んだ瞬間とする)
《クエスト発行者》技能神(代行者)
===============
「魔法の属性色って何だ?」
素朴な疑問を俺は投げかけた。今までそんな話、聞いたことがない。
「魔法の属性色ってあれじゃない。
ファンタジーな設定にはよくあるでしょ?
光は白色で闇が黒色とかというもの。この世界ではたしか、金色が時空間属性・紫色が重力属性・茶色が精霊属性・白色が光属性・黒色が闇属性・緑色が風属性・青色が水属性・赤色が火属性・黄色が地属性だったかしら。」
魔法特化のアヤカが答える。
「ということは、その9色の色に実っている実を集めればいいんだな。それと、制限時間が、『世界樹にたどり着くまで』だから、なるべく早く迅速に集めていかなければいけないな。」
こうして、森を彷徨う事約1時間、俺たちの目の前には、それらしき木の実が実っていた。その間、結構な数の魔物と戦闘をして、全員がそれぞれ2~5個のスキルを新たに手に入れた。
「…これは予想できたか?」
「…いや。そもそもこのサイズが木に実っているのはおかしいだろう?」
「…まあ、そうなんだが。そもそもここは俺たちからすれば、ファンタジーな世界だ。この大きさの木の実があったところで、なんも不思議なことではない。しかしだ。あれをかいくぐって実をもがないと話にならんぞ。」
そこにあったのは、軽乗用車くらいの大きさに実を1つ実らせた動く木だった。それも1ダース単位の編隊が20ほどあり、キョウスケたちを囲むように動いていた。
先に戦闘で、俺はスキル『鑑定眼Lv10』を体入れていたため、早速使ってみる。
===============
【モンスター名】ガーディアンツリー(150本)
【討伐ランク】単体C集団AA(発見次第討伐可能)
【討伐報奨金】1本あたり白銀貨2枚(2000レシア)
【討伐証明部位】魔石
【素材価値】斬り倒した部分は、良質の木材であり1メートル当たり大銀貨1枚以上(500レシア)で売却可能。また、実は良質な薬の材料となるため、白銀貨1枚以上(1000レシア)で取引されている。完全体で持ち帰れば、それだけで一財産築くことが可能。
補足事項
ガーディアンツリーに実は、妖精や精霊が大好物な食べ物?なため、この実を使う事で運が良ければ餌付けすることが可能である。
===============
「こいつはガーディアンツリーというらしいぞ。」
俺は、鑑定した結果をミナに伝える。すると、この中で一番物知りなキャナルが後に続いた。
「ガーディアンツリーですか。初めてみました。
それならば、本体と実を分離すれば討伐できますね。再生能力がとても高いので、1発で分離してしまったほうがいいらしいです。」
「なるべく無傷で片づけるように。本体も実も後でいい値段で売れるから。」
「了解した。」
ガーディアンツリーの討伐が開始された。倒したガーディアンツリーは、空間保管庫の自動回収機能を使って、倒した片っ端から回収しているので、戦場となっているこの場所に、倒したガーディアンツリーが折り重なるといった心配がないのがいい。
1時間後。
ガーディアンツリーとの戦闘が終了した瞬間、脳内にメッセージが流れた。
===============
【クエスト完了通知】
ガーディアンツリーを見事討伐し、指定された実の回収を確認しました。
達成報酬であるスキル『言語の支配者Lv10』を習得しました。
ガーディアンツリーを討伐したため、世界樹への道が解放されました。
===============
こんなメッセージが流れた後、俺たちに目の前の森が大きく左右に分かれた。はるか遠くには、やけに巨大な大木が天を貫いている。あれがおそらく世界樹だろう。例にもれず、この世界の世界樹も天をも貫く巨木らしい。
俺たちは、世界樹へ向けて、森を歩き出した。
結構歩いたのだが、なかなか世界樹のもとにたどり着かない。どれくらい歩いたのかはすでに図っていないが、生い茂る木々の先から覗く空が黄昏時に染まっていた。そんな時、目の前にいきなり古代ギリシア風の神殿?みたいな建物が現れた。
「今日はとりあえず、あの建物で夜を明かそう。」
そういいながら俺は、建物に足を踏み入れた。
建物の中に入ると、勝手に壁に取り付けられている証明に火が灯り、部屋の中を明るく照らし出した。
「この実はいったい何なんだろうな。」
そういいながら俺は、空間保管庫の中からガーディアンツリーの実を1つ取り出した。とてもきれいな緑色をしている実だ。
「・・・・・・」
しばらくその身を弄っていると、何処からともなく声が聞こえてくる。
「なんか声が聞こえるが、お前たち何かお俺に話しかけたか?」
「いや、私のも聞こえてきます。この声の主はいったい…。」
俺は、不思議な声のありかを探ったが、ほかの4人からも、同じような答えが返ってくる。走行しているうちに、っさやくような声だったのがいつしか大合唱になっていく。よくよく見てみれば、俺が取り出した巨大な身の回りを、なんかふわふわした緑色の物体が飛んでいた。そして、何かが肩を叩いた気配がしたので、振り向いてみたら…。
そこには床を這うほど長い緑色の髪を見った見た目15歳くらいの少女が佇んでいた。
いきなり現れた少女に、皆目が点になっている。
「俺は、キョウスケ=アーレル=キサラギ=クレアレドと言う者だ。君の名前はなんというんだい?」
何とか再起動を果たした俺は、まず名前を聞いた。
《今代の剣の勇者はなかなかの紳士だね。…いや、嫁が2人いるから、下の方はそうでもないかな。
私は、風の大精霊シルフィード。今あの『風の宝珠』の周りにいる子たちを纏めている存在だよ。》
目の前の少女は、『風の大精霊シルフィード』と名乗った。これは驚いたな。精霊には合わないと池中ttが、いきなり大精霊に会えるとは夢にも思っていなかった。
「それでシルフィード。あの子たちは、いったい何がしたいのかな?」
《私とお話しできるとはすごいね。…。『言語の支配者』持ちか。ソレなら納得。》
「それはどういうことだい?」
《ああ、私たちとお話しするにはね。『精霊語』と言うスキルがないといけないの。あなたたちが持っている『言語の支配者』というスキルはね。ここラグナレシアに存在しているありとあらゆる言語、過去には存在していたけれど、今は喪失してしまっている言語ですらも読み書きすることができるスキルなの。技能神様の代行者が、ぐちゃぐちゃで読みにくかったご自分のステータスを見やすくする時、言語系のスキルを纏めて上位互換スキルにしたのが、この『言語の支配者』というスキルなの
そうそう、最初に質問に戻るけど、あの子たちは、風の宝珠が食べたいのだけど、所有者があなただから許可がないと食べられないの。どうする?》
「風の宝珠と言うのか、あの実の名称は。…別に1つくらいなら構わないぞ。たくさんあるからな。何なら全色そろっているが、どうする?シルフィード。」
何処で聞いていたのか、俺の言葉を聞きつけると、部屋の中には色とりどりの光が乱舞した。そして、俺たちの周りには、9体の大精霊が集まっていた。俺はその光景にに苦笑しながら、9色すべての実を、1つづつ空間保管庫の中から取り出し適当に並べた。
そしていつしか、精霊たちの大宴会が始まった。
===============
【クエスト完了通知】
世界樹の森に棲む精霊の加護を受けたことを確認しました。
称号欄に『大精霊(9体)の加護』が追加されました。
『精霊魔法』使用条件をクリアーしました。
成功報酬として、『世界樹の実』を手に入れました。
===============
精霊たちの大宴会を楽しんでいると、クエスト完了通知が届いた。
ストックが切れたため、更新が不規則になります。あすからず…




