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勇者召喚に巻き込まれて異世界転生します  作者: ai-emu
【第4章】ヒキコモリな神様の代行者
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王家にクルマを納車しました

王家に自立走行型魔道馬車クルマを納車する日、数日前に手紙でその事を伝え昨日王家からの許可を得た。納車は王家の都合で午後からとなっている。

そして午後、展示会を行った鍛錬場で、私はカード化されたクルマを国王様に手渡した。国からは、1回目納車の際に、すべての車の代金を一括で渡されている。あまりのも巨額なため、今まで使い道のなかった鉱石や、加工技術の喪失している素材などが、それこそ10年単位で倉庫に山積みされているらしいので、それらを1トンあたり1万レシアで現金の代わりとして貰っている。

まあ、私にしても王家にしても、体のいい倉庫整理をしたまでだ。

すでに使い切れないほど持っているので、私もあまり現金はいらない。鉱石やら素材屋らは、これから先に作る物の材料になるかもしれないので、あればあるだけ困ることはないと思っている。他国の王家に売りつけることがあれば、同じことをすると思う。

貴族たちには、領地の特産品での支払いも認めた。ただしレートは卸値の9掛けにしてあるが。


こうして現金の代わりに買い取ったものの中に、『重力石』と呼ばれる鉱石が100トンくらいあった。それも天然ものだ。一番大きな塊は、10m四方ほどの鉱石で、これだけでも数百億の価値がある。五百年ほど前に、国内にあるダンジョンで掘り出された鉱石は、今日まで何に使用するのか解らなかったらしい。また、加工する技術もないため、今まで王城の倉庫で埃を被っていたのだ。

「この重力石とやらは、どんな効果がある石なのだ?」

国王様がそれとなしに聞いてきたので、私は用途を答えた。

「この重力石は、このままでは何の意味もありませんが、少し手を加えてやると、重力をコントロールできるようになります。魔法の属性の中に『重力属性』がありますよね。この属性と同じ事が、属性を持っていない者にでもできるようになります。石の大きさにもよりますが、拳大程度の大きさで、大型のガレオン船程度なら宙に浮かせることが可能ですね。」

私の説明に、目を輝かせる国王様や騎士団関係者たち。

「何なら一つ、見本として1艘製作しましょうか?今回の納品がすべて終了した後になりますが。」

「空飛ぶ船か。今まで魔法使いしかできなかった、空の旅ができるようになるとはな。アスカ殿、空飛ぶガレオン船、製作をお願いしてもよろしいですかな?」

「この国だけ軍事力が突出するのは、隣国にとっては脅威になるでしょうが。…私専用の船もほしいと思っていたところですので、ついでに製作しておきます。」

こうして、新たに空飛ぶガレオン船を制作して納品することに相成りました。国に納品するのはたぶん軍船形状になると思うが。

そうだなあ。今回貰った素材をうまく使えば、宇宙にだって飛び出すことは可能だが、そこまではしなくてもいいだろう。形状としては、あのアニメに出てくるあの船になるだろうが。

製作費はそもそも重力石で元が取れているので、普通の大型ガレオン船程度の価格を貰っておくことにした。


話はそれたが、2回目の今回は、リムジンが1台、マイクロバスが2台、大型バスが、王族移動用として1台、騎士団と軍隊移動用として10台。10トン車タイプが10台だ。残りのバス30台と、トレーラー10台は、とりあえず貴族たちの納車が済んだ後ということになった。当座は、これだけの車両があれば軍の運用は何とかなるのと、いつまでも待たせていては申し訳ないからね。

貴族たちが乗りだしたら、大商人あたりが注文に来るかもしれないが。その時はその時で考えよう。


さて、そんなことよりも、カード化されたクルマを、王様とエリザベル様、あとは、騎士団と軍の隊長格の人が具現化している。ちなみに、クルマの運転席側のミラーについているボタンを押すことでカード化することができる。逆にカードから車にするのには、専用の魔方陣を描いた上にカードを置けば、数秒で具現化するように設定してある。魔方陣は、地面に直接描いてもいいし、魔方陣が描かれた紙を用意しておいてもいい。

どちらにしても1回きりの使用なので、紙に描かれているものは、100枚セット1万レシアで私の店で一応売っている。自分自身で紙に描く場合は、紙の値段とインク代くらいで収まるが。魔方陣は少し複雑な文様なので、少し描くのに手間がかかるため、王家にしろ貴族にしろ、紙に描かれた魔方陣を購入する話で落ち着いている。


1台づつ具現化した車を検分する王家の皆様。


まずは大型バスから行くようだ。

車体中央付近にある入り口を入ると、時空間魔法で広がった室内空間がお目見えする。左手に侍従たちの寝泊まりする部屋が並び、正面に2階へと続く階段がある。右手にある扉を開けるとトイレ・風呂・脱衣所・キッチン、あと荷物置き場がある。侍従たちの部屋は、2人部屋となっており、左右にそれぞれ10部屋づつある。部屋の大きさは5m×10mで、扉を潜ると奥にベッドが2つ並び、手前の左右には簡易のシャワールームとトイレ、パウダールームがある。この部屋で身支度をするための使用で、王家側から要望されたことの1つである。

入口を右に曲がると、廊下をはさんで右側にトイレが2つに10m四方の風呂場と脱衣所が1つ、左手にはキッチンと荷物置き場が作られている。

階段を上がって2階には、国王様、王妃様、王女様、王子様が寝泊まりする4部屋と、ゲストルームが4部屋。展望型の広いリビングルームと、それぞれの部屋に隣接している侍女さんたちの控室の計18部屋の構成である。各部屋の大きさはリビングルームが20m四方、寝室が10m四方。寝室とゲストルームは同じ造りで、セミダブルサイズのベッドと、壁際に大きな鏡と化粧台、机が設置されている。天上版や照明器具、壁紙などの細かい仕様は、各部屋ごとに異なっている。

リビングルームは、前面展望になっており、走行中は、前方と左右の景色を楽しむことができる。窓を飾るカーテンには、『蚕蜘蛛』という、世界樹の枝に巣を春蜘蛛の糸を編み込んだレースのカーテンをかけてある。

部屋の壁には、暖かさを持たせるために、ハンターツリーを使用した木材で各種調度品とともに作られている。複雑な模様が描かれた絨毯の上には、黒檀製の1枚板のテーブルが鎮座し、それを囲むように大地竜アースドラゴンの革が張られたソファーが置かれている。天上には、一際豪華なシャンデリアを筆頭に、趣向を凝らした照明器具とシーリングファンが括り付けられている。

侍女の控室は、5m×10mで簡易のキッチンと小さな机と椅子のセットが置かれているだけだ。

王家が使用する乗り物として一際豪華に仕上げるように注文されたため、頑張って内装も仕上げたため、こんな感じに仕上がってしまった。あまりにも高価で貴重な素材を、ふんだんに使用したため、車両の価格がとんでもない金額になってしまったのはここだけの秘密だ。私にしてみれば、体のいい在庫処分なのだが。

これに続くマイクロバスも、ただ部屋数が減るだけで基本コンセプトが同じなため、金額がとんでもない事になった。リムジンにしても同様だ。

1か月後に国内各地の視察があるため、早速このバスが使用されるらしい。


余談だが…。

国王様と王妃様が、どうしても欲しいと懇願されている魔道具がある。

『天衣の羽衣』だ。

話を聞くに、エリザベス様が、国王様と王妃様の前で、『天衣の羽衣』を使って数百着にも及ぶファッションショウを開かれたらしい。その際2人の目の前で一瞬で着替えて言ったため、どんな絡繰りかと問えば、私からもらった『天衣の羽衣』を使用したと告白したそうだ。これを聞いて2人もどうしてもほしくなり、今日の納車時に懇願してきたのだ。

王女様だけ持っていて、国王様と王妃様は持っていないのは少しあれだったので、王族3人にプレゼントした。


さてと、これからの予定としては、貴族様たちに順次クルマを納車していき、そのあとは、ミヤビたち4人で、この国最大のダンジョンにでも潜りに行こうかな。

あっ!そうそう。

技能神の手紙には2か月後と書いてあったが、勇者になった親友たち。私が与えたクエストを消化しているみたいで、王都バルモアスに到着するのが2か月ほど遅れているらしい。今回の自立走行型魔道馬車クルマの納車がひと段落したころにでもやってくるだろう。

しかし、我ながら無茶ぶりな試練を考え付いたものだ。

クエストをクリアーするには、まずはあそこの場所を特定しないといけないからな。私は何処にあるのか知っているが、今ここで暮らしている人たちは全く知らないだろう。

クエストの順番を考えていけば、あそこの場所の特定は簡単だろう。幸い、パーティメンバーの中に、召喚された国の王女様がいるようだから、何とかなるだろう。

先日に、それとなくヒントを与えておいたからな。

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