幼女様の正体はやっぱり〇〇でした。
『突然ですが、あなたたちは死亡しました。
直接の原因は、君たちの暮らしていた町が、原因不明の大爆発を起こしての爆死ですが…。間接的な原因は、勇者召喚に巻き込まれた結果です。
ちなみに、あなた方の暮らしていた町は、すでに地図上から消滅してしまっていますので』
俺たち20人の目の前にいる見た目幼女な物体に、死亡宣告を受けている俺たち。死亡原因は、『暮らしていた町が、原因不明の大爆発を起こしての爆死』らしい。それはもう、肉片すら残さずに消滅したみたいだ。
どんだけでかい爆発があったのかは知らないが、俺たちのいた場所が幼女曰く爆心地だったらしい。その時の映像があるなら見せてほしいと、見た目幼女な物体にお願いしてみたら、『気分を害するかもしれませんが』と言う注釈付きで見せてくれた。
「…1つ、質問があるが。」
『なんでしょう?飛鳥さん。』
そう言えば名前なんか名乗ったかな?などというどうでもいい質問をしようと思ったが、それは後でも別に構わないだろう。
それよりも、今は。
「ところで、先ほどの質問で、『間接的な原因は、勇者召喚に巻き込まれた結果』と言っていたような気がしたが、そこのところもっと詳しく説明してくれないか?それと、ある程度想像はついているが…、ここは何処で、君は誰なんだ?」
「お、お兄ちゃん…。」
その時、俺の両腕をつかみ、少し怯えた感じで呼びかける者がいた。
「なんだ?雅に茉莉。お前たちも生き残った?のか?」
俺の両腕にしがみついているのは、双子の妹たちで名前を雅、茉莉という。
ブラコン疑惑が巷ではかかっているが、本人たちはどこ吹く風といった感じだ。そして俺は、改めて周りを見渡した。そこには見知った顔が半数近く、あとは知らない赤の他人だ。
『飛鳥さん、そろそろよろしいでしょうか?』
幼女が、俺の思考を読んでか話を振ってきた。とりあえずは、今は誰がこの場にいようが関係ないだろう。
「ああ、ごめんな。こっちから話を振っておいて。」
『いいですよ。先ほどの飛鳥さんの質問の、答え合わせと行きましょう。
まずは私から。私は、【転生を司る神】です。【転生神】とでも呼んでくださって結構です。ちなみに私の両親は、【世界神】を父に持ち、【創造神】を母に持ちます。私には、数多くの兄妹がいますが、今回の件に絡んでいるのは、双子の姉妹である【召喚神】ですね。まあ、この事はどうでもいいので、頭の片隅にでも置いておいてください。
これが、名乗ってもいない飛鳥さんの名前を知っている理由の1つですね。もちろん、君たち20人全員の、名前と経歴も知っています。まずは、君たちのリーダー?みたいになっているのが、佳岡飛鳥さん。享年18歳。爆発して消滅した町の郊外に、両親と、今両サイドにいる双子の妹、雅ちゃんと茉莉ちゃん、享年15歳、あと10歳になる弟さんの6人で暮らしたいました。ちなみに、両親と弟さんも爆発の巻き添えを食らい死亡しましたが、形を保てずに輪廻の輪に行ってしまいましたね。』
「…知りたくもない情報をくれてありがとう。…つまり、つまり、生き残った?俺の家族は、この雅と茉莉の3人だけなんだな。後、俺の知り合いでここにいるのは、…幼馴染の奈穂美と数人のクラスメイトだけか。
ちなみになぜ俺たちは、生前の形を保っているんだ?」
『飛鳥さんたち20人が生前の姿のままなのは、転生するにあたって、各世界の間に存在する壁を越えれるだけの力を、ここ天界で取り入れることが出来たからです。』
転生神は、こういうと、20人全員の名前と簡単な経歴を話していく。
『…それで、今飛鳥さんたちがいる場所は、先ほども言いましたが所謂【天界】と言われている場所の入り口付近です。周りはすべて真っ白で分かりずらいとは思いますが、私の後ろには巨大な塀みたいなものがあり、いくつかの門が聳えています。
ここまではいいですか?』
幼女改め転生神が、1度話を区切り俺たちに問いかけてきた。俺は、ある程度理解はできているので頷くが、数人理解の範疇を超えているみたいで、転生神に掴みかかっている。よくあることなのか、転生神もそんなに怒っているわけでもなく、懇切丁寧に説明をしていた数分だか数時間だか知らないが、しばらく時間がかかッたが、何とかここまでの話を20人全員が理解した。
『…とにかく君たちは、勇者召喚後のゴタゴタを見事クリアーして今に至っています。
そんな君たちに、私から1つボーナスを出そうと思います。
元いた世界の時間軸に戻すことは出来ませんが、君たちには、勇者が召喚された世界と同じ時間軸に転生してもらいます。
そこで、新たな人生を刻んでいってもらいたいと思っています。
君たちが転生する世界は、【ラグナレシア】という剣と魔法が主体の世界にある惑星です。
君たちのような人間が主体ですが、亜人種や獣人族、魔族なんかも普通にいる世界です。詳しいことは、転生後に君たち自身で調べてくださいね。
そのほうが楽しいでしょ?
転生といっても赤子からではなく、ある程度成長…そうですね。大体6歳から15歳くらいに成長させて転生してもらいます。
転生する際の年齢・種族・転生場所等は、ランダムになってしまうため、今どうこうは言えません。【ラグナレシア】で暮らしていくための能力は、君たちがここに来てから今までいる時間内で、【スキルポイント】という形で与えられています。当然、今まで地球で得た知識は、そのまま持っていくことが出来ますので、地球の知識を使って無双するのもありですね。
できるかどうかは知りませんが。
基本的なステータスについては、チートな形でランダムに与えていますので現地に着いたら確認してください。スキルポイントの使い方は、付随して送るこの本【初心者教本】の中に書いてあるので、それを参考にしてもください。
私からは以上ですね。』
転生神は、広辞林ほど分厚い本を手元に出しながらそう言った。アレを端から端まで読むのは苦労しそうだ。
ここで転生神の口調が少し変わった。なぜだろう?まあ、どうでもいいか?
『もう1つ、君たち全員に、【ラグナレシア】で暮らしていくうえで便利なスキルや装備をいくつかプレゼントしようと思う。
【ラグナレシア共通言語】・【スキル操作】・【空間把握】・【空間保管庫】、この4つのスキルを固定として与え、【鑑定眼】などの数多に存在するスキルの中からランダムでいくつか与えよう。
…あとは、当座の生活に困らないように、空間保管庫の中に、先に述べた初心者教本のほかに、流通している貨幣を、1~3か月ほど生活できる額入れておく。それから、転生した体形に合わせた衣服を5日分、生活雑貨・護身用として初心者冒険者セット、食料品を数日分入れておこう。
転生先は、人気のない森や草原だが、空間把握スキルがあるから人里に出るのも苦にはならないだろう。後、向こうの世界で、君たちが簡単に受け入れられるように、適当な身分も用意しておいたから。
そうそう、森の中に転生するから、当然、動物や魔物には十分注意してくれ。ある程度の戦闘能力も付与しておくから、数で来られても十分対応できると思う。
そろそろ時間だ。
君たちの第2の人生がよき人生であることを祝福しておこう。
では、さらばじゃ。』
転生神が話を締めくくると、俺たちは白い光に包まれた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
目を覚ますと、そこは鬱蒼と茂る森の中だった。どうも俺は、木の根っこを枕にし、地面に敷き詰められた枯葉を布団にして眠りこけていたようだ。
「ん~~~~~~」
大きく背伸びをしながら立ち上がる。
「ここは何処だ?
…そう言えば転生したんだったな。」
『転生』という言葉を合図に、朧げだった記憶が鮮明に甦ってきた。
「そう言えば、転生神の幼女ちゃんが、便利道具とスキルをくれたんだったな。
どうやって呼び出すんだろう?
たぶん、こんな時は、テンプレ的に『ステータス』!
おおっっ!!」
俺の目の替えに、反対側の景色が透けて見える画面が現れる。それを上から順番に流し読みしていく。
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【名前】アスカ=ラングレイ=ヨシオカ
【種族】混血亜人種(ハイエルフと九尾狐とのハーフ)
【年齢】1010歳【性別】女
【戦闘系職業】魔導師(レベル200)【生活系職業】魔導鍛冶師(レベル133)
【ギルドランク】《冒険者ギルド》SS《職人ギルド》A《商人ギルド》C
【称号】異世界転生者・神々の寵姫・天使の癒し・風雲の魔導鍛冶師・旧ラングレイ帝国王女
【加護】世界神の加護・創造神の加護・転生神の加護・武術神の加護・魔法神の加護・鍛冶神の加護
【基礎ステータス】
《体力》133
《武力》1,200
《魔力》∞(表示不能)
《知力》1,200
《俊敏力》1,000
《忍耐力》300
【所持スキル】
《スキルポイント》170,000P
《生活系スキル》
ラグナレシア共通言語Lv10・ラグナレシア種族言語(ハイエルフ語・エルフ語・九尾狐族語)Lv10・ライマール王国専用言語Lv5・旧ラングレイ帝国専用言語Lv10・異世界言語(第1,409,987世界地球内言語)Lv1・空間把握Lv1・家事全般Lv10(炊事・洗濯・掃除)
《戦闘系スキル》
武術の王者Lv1・魔導の王者Lv1
《生産系スキル》
職人の王者Lv1・侍女Lv1・メイドLv1・秘書Lv1
《特殊スキル》
スキル操作Lv10・空間保管庫Lv10・鑑定眼Lv10・特殊空間転移Lv10・裁定者Lv1・収集家Lv1・魔導書作成Lv1
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いろいろと突っ込みどころ満載なんだが、…とりあえず。
性別が女って、どういうことだ?
それに、王女って?