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勇者召喚に巻き込まれて異世界転生します  作者: ai-emu
【第4章】ヒキコモリな神様の代行者
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マイクロバスの旅は、とても快適です。

マイクロバスの中に、私は王女様たち御一行を案内します。中に入って来るや否や、王女様たちはとても驚きながら私にまくしたてました。

「アスカ様。外の大きさと中の広さが比例していませんが、どういったことでしょうか?なぜ、こんなにたくさん扉があるのですか?」

バスの中を探検しだした王女様は、何かを見つけるたびに、私に質問してきます。

「なんで、こんなに大きなベッドがあるのですか?」

とある部屋を覗いた王女様が発した第一声です。

「どうしてキッチンが?ここは…お風呂?その隣はトイレ?このトイレ、お城のトイレとモノが違います!!」


大きさ的には、何とかマイクロバスなんですが、中身は全くの別物です。

時空間魔法を駆使して車内の容積を拡大し、窓の数だけ10m四方の部屋があるという、ぶっちゃけていえば、家がそのまま移動しているみたいなものです。もちろん、風呂・トイレ・キッチン完備です。給水と排水、そして各部屋の照明はすべて魔道具で管理しています。

一応タイヤはついていますが、使用するのは町中などでの低速走行の時だけで、高速走行時には、地面から10㎝ほど浮上して走行します。なんせ、最高時速200㎞/hですので。

燃料はもちろん魔力です。最初の起動時だけは、運転者の魔力を消費しますが、そのあとは自然界にある魔力を取り込むため、乗員乗客の魔力は一切使用しません。また、一度始動をすると、エンジン?を止めるまでオートで防護結界を作動させるため、魔物や盗賊の襲撃に遭う心配もありません。

自走式なため、馬で曳くといったことがないので御者台はなく、代わりに前面に運転席があります。この車を運転するために『車両運転者ドライバー』というスキルをわざわざ造りました。

今回出したのはマイクロバスですが、当然いろいろなタイプを取り揃えています。座席以外は何もついていないセダン型。マイクロバスよりも小さな1BOX型。逆にこれよりも大きな大型観光バス型。行商人用に、各種サイズの違うトラック型です。

今回王都までの足として使っていただき、その後何かの拍子で受注してくれたらいいなと、打算的な考えもあります。


「どうですか?これで王都まで送らせていただきます。」

「おねがいします!!いや、この『クルマ』という乗り物、私に下さい!」

マイクロバスの説明をしながら、入り口の左手にあるリビングルームに案内する私。そして、私の問いに、元気に受け答えをしてくる王女さま。王女様の言葉に、皆苦笑をしています。

「解りました。では、そこの騎士さん。」

私は、王女様の後ろに立っていた騎士さん2人を指名しました。

「私どもに何か御用ですか?」

「あなた方に、このクルマを動かすスキルを授けましょう。」

そう言って私は、彼らのステータスに、クルマを動かすためのスキル『車両運転者ドライバー』を、最大レベルで与えました。

「これで、この乗り物を動かせれるようになったと思います。2人に同じスキルを与えているので、交代しながら走ってください。明日の早朝に出発すれば、夕方には王都に到着するでしょう。

では、これから食事を作りますので、王女様はお風呂にでも入ってきてください。」

「アスカ様、1つお願いがあります。」

「何でしょうか?」

「せっかくお風呂に入ってキレイになるのに、着替える服がありません。私の着替えは、馬車とともに灰になってしまいましたので。」

王女様は、少しハニカミながら、煤汚れ所々が切り裂かれたドレスを見つめます。

「これは、気づかずに大変失礼しました。私の服では…サイズが合わないですので、この魔道具を上げます。どうぞ受け取ってください。」

こうして私は、王女様に指輪の形をした魔道具を手渡します。

「これは?」

王女様は、私から手渡された魔道具を不思議そうに眺めます。

「その魔道具は、『天衣の羽衣』という魔道具です。装着者が思い描く衣服を、瞬時に制作し着用させる魔道具です。詳細なイメージさえあれば、どんな服装でも対応しています。

どの指でもいいのではめてください。服装を変える時には、詳細なイメージを浮かべてから指輪に向かって『メイキングドレス』と唱えてください。

最初の一回だけ、制作に術者の魔力を少し使用しますが、その後は、指輪が記憶しているので、記憶メモリーから服装を選択します。『チェンジドレス』と唱えると、指輪が記憶している服装が表示されるので、そこから選択してください。一度でも指輪に記憶すれば、成長に合わせて取り出す衣装サイズも自動で調整されます。もちろん身につけるものであれば、詳細なイメージさえあれば防具やアクセサリーなども作りだすことが可能ですよ。何処かで購入してきた服も記憶することができるので、お城に帰ったら、今まであるドレスなどを、暇に任せてどんどんデータ化して言ってっください。

作りだして保存できる服の数は、一応制限なしとなっています。

私も持っています。」

そう言いながら、私は、右手の薬指にはめている指輪を見せる。この指輪のおかげで、私のパーティメンバーは、奴隷も含めて衣服のストックがない。虫食いやサイズが合わなくなる等の心配がなくなり、とても便利な魔道具なのである。現在はまだ、私の経営しているお店で販売していないため、私が気に入った人しか使用していない魔道具でもある。

私がこの『天衣の羽衣』を作ったのは、市販されていた服では、私の体型(特にしっぽ)に合わなかったからだ。そのため、1から服を作らなければいけない羽目になり、それがだんだん面倒くさくなってきて制作に至った。当初は、私1人だけが使用していたが、ミヤビやマツリに懇願されて、店で働いている奴隷たちの分も含めて制作した。この指輪のおかげで、私の家の奴隷たちは、結構おしゃれである。


これを販売してしまうと、町中の服屋がすべて廃業してしまうだろうと、販売に踏み切ることができないと思っていたりする。冒険者にとっては、発売されれば喉から手が出るほど欲しい魔道具だろう。

まあ、販売する際は、ストックできる服の数を制限するだろう。今はまだ、どれだけの数にすればいいか解らないので、販売していないだけだ。

「とりあえず、王女様に渡した天衣の羽衣ゆびわの中には、私が作りだした服がいろいろなタイプのドレスを中心に50着ほど入れてあるので、今日のところは、その中からお好きなデザインのを使用してください。もちろん、私用にしっぽの穴が開いているものではなく、ちゃんとした服ですよ。

その天衣の羽衣ゆびわは、王女様に差し上げますので、今後は、ご自分で考えたデザインの服をストックしていってください。」

「そんな便利な魔道具をわたくしに下さり、本当にありがとうございます。大切に使わせていただきます。」

ルンルン気分になった王女が、風呂場へと突撃していきました。その光景を微笑ましく見守りながら、私は夕食の準備に取り掛かります。

ちなみに王女様は、ある程度のことならばお一人でもできるみたいです。よく外遊することが多いため、自然にできるようになったのだとか。特に着ることと食べることに関しては、真っ先にできるようになったとの事。魔法が使えるのもその一環だ。


次の日の朝、予定通り走りだしたマイクロバスは、街道を時速100㎞/hほどのスピードで快走していく。車内は全く揺れず快適そのもので、走行していると自覚できる事は、窓の外を流れていく景色だけだ。時折、馬車を引く行商人や、徒歩の旅人などを抜き去っていく。交通ルールはしっかりとしているらしく、広い街道では、基本両サイドを徒歩の旅人が、中心部に行くほど足の速い馬車が行きかうようになっている。そして不思議なことに、中心部を隔てて左側通行になっている。


王女様御一行はいたく感激し、どうしてもこのクルマが欲しいと懇願されてしまった。

特に王女さま。

どんなに足回りをしっかりとしても、揺れるものはやっぱし揺れるのだ。さらにあまり速度が出ずに今回のように襲撃に遭うことすらある。さらに狭いと来たものだ。

それは、時空間魔法は上位属性のため、所持している魔法使いはあまりいないためだ。魔道具という手もあるが、そもそも空間拡張の原理がわかっていないため、製作することができないのだ。また、作り出せたとしても、今度は、重量の問題が出てくる。

そのため、室内空間が広くなれば、それだけ鈍重になり馬車を曳くための馬の数も増えてしまう。

そのため、馬車での移動は、覚悟がいるらしい。

それが、一切揺れはなく、さらに速く、寝床まで完備されている、広い室内空間を持っている乗り物だ。

「これに乗ってしまったら、もう普通の馬車には乗れない!このクルマを、お父様が購入してくださらなかったら、わたくしが外遊するときは、絶対アスカ様を護衛としてギルドに指名依頼を出させていただきます!」

これは、王女様の言である。

「本音は?」

解り切ってる答えだが、一応聞いてみる。

「アスカ様がいれば、このクルマを出してくださります。仮に出してくださらなかったら、土下座してでもお願いします。もう、お尻が痛くなる馬車には、乗りたくありません!」

「いや、土下座はさすがにまずいでしょう。」

「このクルマに一度でも乗れば、きっとお父様も二つ返事で購入を決定しますわ。」

まあ、クルマを運転できるスキル持ちもいることだし、私としては無償でプレゼントしてもよかったのだが、王家としてはいろいろな柵があるわけで。

後日、国王との謁見時にその話をすることで、鼻息の荒い王女様を諫めつつ、この場は丸く?治めた。

数度の休憩をはさみ、マイクロバスは街道を快走する。そして、閉門の鐘が鳴る前にはすでに王都に到着していた。町の中では、私に言われたとおりにゆっくりと進み、1時間くらいかけて中心に聳える王城の正門前に到着する。

「アスカ様。本日はどうもありがとうございました。しっかりとしたお礼は、また後日お渡ししますので、アスカ様のご滞在先をお教え願いますか。」

隊長さんが、こんなことを言った。王女様を助けたものに、何もお礼をしないのは王族として示しがつかないんだね。

「私は、第4区画の南端、南門へと続く大通りから東に1本中に入った場所にある『秘密の隠れ家』と言う店を営んでおります。そういうお話ならば、10日間ほどは、何処へも行かず未お待ちしております。」

「そう言っていただくとありがたいです。では、後日使者をそちらまで出しますので、対応をお願いします。」

そう言って私たちは別れた。


3日後。

王城からの使者で、私は登城する事になった。

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