ヒキコモリの神様の代行者になりました
ある日の朝、私は久しぶりに自分のステータスを覗いた。本当に久しぶりだ。いろいろな数値がカンストしてからは、覗くこともなく記憶の片隅にした存在していなかったものだ。
そうして覗いたステータスだが。
上から順に流し読みをしていると、なんか、いろいろな項目が増えている。
まず称号欄に、『技能神の代役』と言う称号が生えている。これに付随して、『技能神の加護』と言うのがあり、さらに何故か『アスカちゃん?専用スキル』と言う項目が追加されていた。
そして、ステータスの右上には、あの懐かしのメールマークがピコピコと点滅してる。
(こんなマーク、今までになかったよなあ?)
少し警戒心を覚えながらも、好奇心でそのマークを選択した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
拝啓
アスカ君?アスカちゃん?
どっちでもいいか!でも、今はアスカちゃんだったね。
初めまして。ボクは技能神と言います。
続柄でいえば、世界神様の弟に当たります。ちなみに、武術神や魔法神、鍛冶神なんかはボクの子供にあたる神です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
こんな一文からメールが始まった。
なにこれ?神様からの電子メール?
すごく軽いのですが…。
いつこんな機能、ステータスに追加されたの?確かついこないだまで…、前回ステータスを見たのって、いつだったっけ?
まあ。忘れているってことは、どうでもいいことなんだろ。
私は、技能神から受け取ったメールを読み進めた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
突然メールしてごめん!アスカちゃんのことは、ちょうどいい暇つぶしで時々覗いていますよ。
突然ですが、ボク…ちょっと手の離せない用事ができてしまって、少しお仕事ができなくなりました。
ちなみに手の離せない要件と言うのは、何処の世界だったかな?
まあいいや。
手の離せないこととは、数多ある世界の中の1つで展開されている世界規模のVRMMORPG『XXXXXXXX』にはまってしまって、…最近少しヒ・キ・コ・モ・リ気味なの。
ちなみにそのゲーム内でもボク、神様やってます。すごいでしょう?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
タイトルが読めない。私の持つ『異世界言語(第1,409,987世界地球内言語)Lv1』では変換できない言語らしい。まあ、タイトルなんぞはどうでもいいことなので、続きを読むことにする。しかし、ただでさえヒキコモリの癖に、VRMMORPGをするために仕事をほっぽり出してもいいのだろうか?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
それで、ボクの仕事が滞ってしまって。
そのことを、創造神様に指摘されてしまいました。
『どうしよう!仕事はしなければいけないけど、VRMMORPGでも遊びたい。仕事をすると、遊ぶ時間が無くなる…』
と、考えながらアスカちゃんのことを見てたら、ベストな考えが浮かんでしまいました。
『そうだ!アスカちゃんに、ボクの代役になってもらえばいい』と。
とてもいい考えでしょ?
と言うことで、早速アスカちゃんには、ボクから、ボクの能力を使えるように、少しばかりスキルを与えておきました。このスキルを使用して、ボクの代役をしておいてね。
ちなみに期限は無期限です。ボクが、そのVRMMORPGに飽きたら、またアスカちゃんに連絡するつもり。忘れていたら、そのまま代役を続けておいてくださいね。
アスカちゃんにプレゼントしたスキルは、《アスカちゃん?専用スキル》と言う項目の中に入れてあるから、使い方などは、アスカちゃんが持っている『鑑定眼Lv10』で確認しておいてね。
では、またお手紙書く時まで、元気でね。
追伸
そういえば、あと2か月くらい先に、勇者パーティが、アスカちゃんのところに来るから。アスカちゃんが持っている称号『風雲の魔導鍛冶師』がらみの頼み事みたいだね。勇者君たちに、何かクエストみたいなものを出したい時は、ボクからプレゼントした『神の試練発行Lv10』というスキルで発行することができるよ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「・・・・・・」
しばらく私は、無言で固まってしまった。
『そうだ!京都に行こう』みたいな乗りで、私を神の代役にしてもいいのだろうか?
…なんで神の能力がもらえるんだよ。
…神様がヒキコモってどうするんだ?ただでさえヒキコモリのくせに。
しかし、神様にメールが送れるのはすごく便利かも知れない。
それはともかく、早速与えられたスキルを、『鑑定眼Lv10』で確認してみる。
===============
【スキル名】技能製作者
【スキルの説明】ステータスの表示の書き換え・更新、スキルの新設・統合・分割ができる。このスキルで作り上げたデータは、スキル『能力一覧表示書き換え』で、全世界を対象に書き換え・創設することができる。
===============
【スキル名】能力一覧表示書き換え
【スキルの説明】新たに設定したステータスやスキルを、全世界を対象にして書き換えることができる。書き換え時間は約1日。書き換える量に応じて、魔力を供給する必要がある。
===============
【スキル名】能力一覧表示改変
【スキルの説明】任意のモノのステータスや持っているスキルを、自由に閲覧・改変できるスキル。『スキル操作』・『スキルポイント譲渡』・『スキル譲渡』を合わせた上位互換版。スキル操作・スキルポイント譲渡・スキル譲渡では、目の前にいる相手にしか効果が発揮しないのに対し、このスキルは、ラグナレシアに存在していれば、何処にいてもステータスやスキルを閲覧・改変をすることができる。持っている称号で検索するため、本名がわかっていなくても大丈夫である。
===============
【スキル名】神々との交信
【スキルの説明】この世界を管理する神々に対して電話をかけることができる。また、メールのやり取りをすることができる。基本、すべての神に対して電話やメールを出すことは可能だが、返信してくれるかどうかはその神次第であり強制できない。
電話をかける際は、相手の神の許可を得て、魔力同士をリンクさせる必要がある。
電話をかける際は1分につき魔力を1000、メールは1通につき魔力100消費する。
===============
【スキル名】世界知識閲覧
【スキルの説明】ラグナレシアに存在するありとあらゆる知識や書物、これまでの歴史等を検索することができる。機密文書すらも閲覧することができる。
===============
【スキル名】異世界知識閲覧
【スキルの説明】スキル『世界知識閲覧』の異世界版スキル。すべての世界に普及しているソーシャルネットに接続できるが、書き込み等こちらからのアクションはできない。
===============
【スキル名】神の試練発行
【スキルの説明】指定した人物・団体に対して、技能神の名において試練を与えることがでる。試練を達成した際は、指定した人物・団体に対してクエスト報酬として何かを与えなければならない。与えるものは、スキルでも物品でも指定可能。
===============
【スキル名】新世界創造
【スキルの説明】スキル『万物創造』の上位互換スキル。このスキルを使うと、任意の場所もしくは、最下層にいるダンジョンボスを討伐したことのあるダンジョンに対して、内部の書き換え及びフロアの新設をすることができる。また、スキル『神の試練発行』との併用で、内部にいる魔物やモンスターを倒すと、ドロップアイテムと落とせるように設定することも可能。
===============
…これを見る限り、技能神様。あなた、ご自身の仕事をすべて丸投げしてきましたね。
まあ、俺はいいとして、ちょっと実験でもしてみましょうか。私は、私が話したことのある神様に向けて、1通のメールを出してみた。メール1通につき魔力100消費するらしいが、無限にある魔力だ。100程度消費したところで、どうってことはない。数分後、メールを送った神様から返信が来た。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
お久しぶり!アスカちゃん。元気してた?
突然アスカちゃんからメールが来たから、びっくりしちゃった!!
技能神様のことはごめんね。あの人?あの神?…まあどっちでもいいか。
あの人はとっても軽い感じの人だから、アスカちゃんに全権を委譲しちゃたみたいだね。
まあ、大変だと思いけれど、頑張ってくれるとありがたいな。
それはいいとして、こうしてお手紙のやり取りができるようになったんだから、ボクのメル友になってくれると嬉しいな。
神様は、基本とっても暇なの。
技能神様が渡したスキルで、電話もできるみたいだね。ボクの魔力データを添付して送っておくから、気が向いたらいつでも電話してきてくれてもいいよ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
この後私は、転生神様とメル友になった。時々電話もしている。それから半年ほどで、転生神様つながりで、技能神様以外のすべての神々とメル友になってしまうのは、この時の私はまだ知らないことだ。
では早速、貰ったスキルを使って、とっても醜かったステータス表示を見やすく改変しましょうか。試行錯誤の結果できたのがこんな感じだ。
===============
【名前】アスカ=ラングレイ=ヨシオカ
【種族】混血亜人種(ハイエルフと九尾狐とのハーフ)
【年齢】1012歳【性別】女【基礎レベル】Lv∞(表示不能)
【メイン職業】魔導師【サブ職業】魔導鍛冶師
【ギルドランク】《冒険者ギルド》SS《職人ギルド》S《商人ギルド》B
【称号】▽△
【加護】▽△
【基礎ステータス】▽△
【所持スキル】▽△
【フレンド表示】▽△
===============
最初の画面で表示する項目をこれだけにしてみた。【戦闘系職業】と【生活系職業】と言う項目を廃止して、新たに【メイン職業】と【サブ職業】と言う項目にした。そして、職業レベルを廃止し、新たに【基礎レベル】という項目を追加してみる。
【称号】・【加護】・【基礎ステータス】・【所持スキル】の後ろについている『▽△』は、対の画面があることを示しており、『▽』を選択すれば画面が開き、『△』を選択すれば画面が閉じるようにした。
【所持スキル】を開くと、《基礎ステータス補完スキル》・《生活系スキル》・《戦闘系スキル》・《戦闘補助スキル》・《耐性スキル》・《生産系スキル》・《商業系スキル》・《特殊スキル》の項目が表示され、その横にある『▽△』でスキルを表示するようにした。また表示するスキルの順番も、取得ポイントが低い順に改めてある。
最後の【フレンド表示】と言う項目は、ステータスやスキルの中で、他人に見せてもいいものだけをリストアップしておくための場所だ。ただし、【称号】の欄で、盗賊や殺人などの重犯罪者が取得する称号があった場合は、強制的にリストに上がるように設定してある。
これを、スキル『能力一覧表示書き換え』を使って全世界にアップデートした。
新しく表示が変更されるのは3日後の朝になるが、いきなり表示方法が変わるため、世界中が混乱すること必至だ。まあ、時期になれるだろう。
ついでに、スキルの内容もいろいろと整理して見ようかな。あとは、貰った能力も使ってみないとね。
私は少し、黒い笑みを浮かべるのだった。




