マイホームを建てよう!!
昨日購入した土地に、今日は4人で見学に来ている。長年ほったらかしなっていたせいか、土地全体が草で覆われている。
「とりあえずは、草刈からかな。」
「そうだね~~。」
私の呟きに、ナオミが呟きで答えます。
さてと。
私が魔法でちゃっちゃとやってしまってもいいのですが、ここは1つ、ミヤビとマツリのランクアップの要件としようかな。ついでに先輩冒険者?として、駆け出し冒険者にも協力してあげないとね。
思い立ったら吉日とばかりに、冒険者ギルドに突入していく私とナオミ。依頼窓口において、依頼表を作成していく。
=============
《雑用依頼申込書》
【依頼内容】購入した土地の草刈り
【作業をする場所】バーランチア王国王都バルモアス市内南4区〇丁目XX番地
【作業日時】9月31日朝2つ目の鐘から昼3つ目の鐘まで(食事は各自で用意)
【募集人数】10~20人
【成功報酬】1人当たり5000レシア
【特記事項】刈り取った草の中に薬草等がある場合は、刈り取った者の所有とする
【依頼人】アスカ=ラングレイ=ヨシオカ
=============
こんなもんか。
依頼表を書くにあたり、この世界の時間の知り方を初めて知った。私やミヤビなど、転生者(たぶん召喚者も同じだろう)には、腹時計ならぬ脳内時計が存在し、1日を正確に刻んでいる。
今まではあまり気にしていなかったが、この脳内時計によると1日は30時間あるみたいだ。そして今気づいたが、この脳内時計には、カレンダー機能が付いており、それによると今日は9月30日みたいだ。そして1年は12が月あったので計算すると、1年に日数は480日となる。
一般的な時間の知り方は、1日を日の出と日没で大きく2つに区切り、昼の時間帯には日の出・正午・日没の3回と、その間に3回ずつ計9回の鐘が鳴る。夜の時間帯は日没から日付が変わるまで3回鐘が鳴るみたいだ。
閑話休題
依頼を出すには、報酬の合計金額に、ギルドの仲介手数料として報酬の5%を上乗せした金額がいる。つまり、私が出した依頼だと、5000レシア×20人分×5%だから、合計105,000レシアいることになる。
そんでもって翌日。
依頼開始時刻の30分ほど前に、購入した土地に来てみると、すべに10人ほどの冒険者が集まっていた。冒険者たちは、私たち2人を見つけるなり駆け寄ってくる。ちなみに、ミヤビとマツリも、しっかりとこの雑用依頼には参加させている為、今日は、身内ではなく他人のふりをしていると言明してあったりする。そのため、現在ミヤビとマツリは、私のもとに駆け寄ってきている冒険者の中にいたりする。
「君が依頼主か?」
「はい。私が、依頼主のアスカ=ラングレイ=ヨシオカです。今日はよろしくお願いします。」
冒険者に向けて、ぺこりと頭を下げる私。頭に生えるキツネ耳と長いエルフ耳、そして、お尻から生えている9本の尻尾を確認する冒険者たち。この見た目で私が、見た目通りの年齢ではないことを悟る。
「1つ確認だが、依頼表の特記事項に書かれていることは本当なのか?」
「はい、本当ですよ。この土地に生えているのかどうかは解りませんが、仮に希少種の薬草が生えていても、それは採取者のモノになります。しっかりと調査していないので、たとえ1本も生えていなくても、私の責任ではないのであしからず。」
「ああ、それは解っている。たとえ生えていなくても、君に文句を言うことはない。君に危害を加えたのならば、今日の報酬以上のカネがなくなるからな。」
そんな報酬の話をしていると、遠くから時刻を知らせる鐘の音が聞こえてきます。
「時間になりました。それでは始めてください。現在、この空き地にいる駆け出し冒険者は、ミヤビとマツリを含めて15人。予定よりも5人少ないですが、まあいいでしょう。
「引いた草は、ここに積んでおいてください。」
私は、草引きで引かれた草を、南側の城壁際に開けた穴に投入するように指示を出します。ここら辺は畑にする予定なので、今から引いた草で肥料を作ろと思っています。
昼休憩を挟みつつ、昼3つ目の鐘が鳴る前に作業が終了しました。すっかりきれいになった土地を見て、私はとてもうれしく思っています。
「今日はありがとうございました。まだ指定の時刻ではありませんが、すっかりきれいになったのでこれにて終了とします。修了証明書を発行しますので、こちらにお並びください。」
冒険者たちがいなくなった後、私とナオミだけが残り、土地の状態を確認します。その結果、長年ほったらかしにしてあった土地ゆえ、崖地という立地ながらもしっかりと締まっており、どこに家を建てても問題がない事が解りました。
通りから入る道路が土地の西側によっているため、大まかには、西側に店舗スペースを、東側に住居スペースを置くことになる。そして日が暮れるまで、地面に落書きをしながら1階の間取りをナオミと2人で考えていった。
その結果、まずは、通りから入る5mの通路を2mと3mに分割し、住居部分と店舗部分の出入り口に分けた。隠れた名店がコンセプトの店舗部分は、2階建ての母屋部分と、鍛冶と錬金、薬の調合などができる地下1階地上1階建ての作業棟が1つ連接する。
住居部分は、店舗に近い場所に2階建ての従業員宿舎と配置。その隣には私たちパーティメンバーが住む地下1階地上2階建ての本宅を配置。一番東側には畑と農機具などを入れておく倉庫を作る。こんな感じで決め、サクッと測量を終わらせた。図面を引くのは宿に戻ってからだ。
翌日から3日間は、マツリの訓練があるため、家の建設は中止にする。
マツリの訓練明けからは、また家づくりを再開する。今日は、家を建てる石材を確保するために、王都近郊の石切り場まで来ている。ここで建設に使う石材を確保する代わりに、町までの石在輸送の依頼をついでに受けてきている。石材の輸送費は、1トン当たり1万レシア。石材の切り出し費用は、1日当たり30万レシア。私は切り出しの際に、50㎝四方のブロックにして切り出していく。石材1トンの重さは大体50㎝四方だからだ。
まずは、大きな岩山を風属性の魔法で、ブロックで切り出ししやすいように四角く加工していく。そのあとは、1m四方のブロックに切り出していくだけだ。切り出したブロックは、そのまま空間保管庫の自動回収機能を使って格納していく。
1日かけていりだしたブロックは、200万個になってしまった。集中しだすと、周りが見えなくなる癖は、地球にいたころから全然変わっていない。私が作業していた岩山は、真四角状に切り出された空間がいくつも出来上がっていた。とりあえず、50万個ほどを建設用の石材として確保し、残りを依頼主のところに持っていく。
1日かけて石材を切り出し、加工して町まで持ってくるだけで2000億ほどの無駄銭が増えてしまった。普通なら、1500億ほどだったんだが、1m四方のブロックで納品したため、加工賃もプラスされたのだ。
少し現在の所持金を計算してみると、もともと持っていた分が1100億ほど。魔物素材の売却金が100億レシアで、今回の石材切り出しが2000億ほどだから、合計して約3200億ほどの所持金があることになる。どうしようかねえ、この所持金…。
石材加工の翌日からは、いよいよ家づくりを本格的に始める。
まずは基礎からだ。
本宅と作業棟の地下空間をまずは掘る。本宅の地下室は、10m四方高さ3mの空間に、作業棟の地下室は、10m四方高さ6mの空間にした。本宅に地下室には、井戸を1本掘っておく。その後、くり貫いた地下空間の壁と床を、石切り場から切り出してきた石材を加工して、きっちりと埋めて固定していく。そのあとは、建物の基礎を組み上げていった。ここまですべて地属性の魔法を使っている。
こうして魔法を駆使して、僅か20日ほどですべての建物を建ててしまった。
家の外観が完成すれば、次は内装および家具製作だ。外回りのエクステリア関係については、ほかの3人に任せることにした。まずは、石材むき出しの壁に、腰あたりまで今まで切り倒し、表面処理をした木材を使って腰壁を作っていく。床と天井にも材木を使って石材を覆い、木の温もりのある空間を演出していく。
内装工事が終わると、次は窓の部分を作っている。大量に保有している鋼材から、アルミサッシを作り、ガラスを填めて枠にはめて完成。カーテンをつり(もちろん厚手の遮光カーテンと薄いレースカーテンの2種類制作)、水回りを整えていく。アルミサッシにガラス窓の組み合わせは、貴族や王宮にも存在していないらしいよ(ガラスは存在しており、一般家庭にも普及している)。
水回りについては、家の地下に造った井戸から、オートで水をくみ上げる自作の魔道具を設置し、配管を設置して使用する部屋に水を送っている。例にもれずこの世界には、水道と呼ばれるものはまだ存在していないのだ。
屋敷内に設置したすべてのトイレは水洗(この世界の標準仕様は汲み取り式)だ。排水やし尿の処理は、一方通行型の固定型転移魔法陣を使用して、魔境にある腐沼に直接転移して処理をする。この世界では、最新式?の水回りだ。もちろんお風呂は、大きなヒノキ風呂を設置し、何時でも入浴できる様になっている。
後は家具を作って終了だな。
こうして、建設開始から1か月もかけずに、住める状態までにしてしまった。今日からここを拠点に新しい生活が始まるのだ。
そうそう。
まだどんな商売を始めるのかは決めていないないため、従業員は雇わないが、家を管理する使用人は雇っておかないとな。そうしないと、おちおち観光もできないよ。