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神官は神に舞を捧げる  作者: 但馬ほずみ
番外編その2
73/77

セナとササラ

カサネの兄セナと、親友ササラのお話

 セナがササラに初めて会ったのは、神官になってすぐのことだった。


 入れ替わりに神官学校に入ってきた妹のカサネの同部屋になったのが、ササラだったのだ。にぎやかで、ちょっとぬけてる妹に比べて、控えめで大人びた瞳。本当に同い年なのかと、見比べたほどだ。


 しかも、つい一月前までの教師であったアカネに聞けば、その代の首席だという。これは、学問の話ができるかもと、密かに期待したセナであった。



 ササラのセナに対する第一印象は、真面目な人であった。同部屋のカサネの兄で、神官学校卒業後そのまま神殿の神官になったという優秀な人物である。会う前に、カサネから横暴だとか優しくないとか聞いていたが、実際に会ってみると、そうは思えなかった。

 兄と妹だから、そうなるのかなと、弟しかいないササラは、想像するにとどまった。実際その想像はあたっていたのだが。


 いざ、授業が始まると、セナとの接点はあまり無い。片や見習い神官、片や新人神官。朝から晩までしなければならないことは、山のようにある。一年目は、すれ違いに挨拶するくらいだった。


 二年目になると、少し余裕が出てきた。セナは、主に図書館の担当となったのだ。司書である老神官の手伝いではあるが、もともと本を読むことの好きなセナにとって、幸運であった。

 また、ササラも優秀なために、午後の当番の時は、カウンターでなく、セナの補佐についた。本来なら、見習いが閉架図書を扱うことは無いのだが、ササラは許されたのだ。

 こうして、セナとササラは、もっぱら学術的な話題だったが会話をかわすようになる。


 晴れて、ササラが神官になりそのまま神殿残ることになった後も、二人の間柄は、変わらなかった。話題は、もっぱら学術的なこと。たまに、カサネからきた手紙の内容が加わるくらいだ。


 変化があったのは、三年目のこと。


 女王陛下に呼び出されたカサネが珍しくへこんでいた。セナに代わって実家の神官を継ぐために神官になったのに、都にしょっちゅう呼び出される。そのせいで男性から恋愛対象に見てもらえないし、何のために神官になったのかと、落ち込んだのだ。


 この時は、セナとササラ、同じく呼び出されてたスオウでなぐさめ、持ち上げ、事なきを得たが、ササラは実家に帰るカサネを見送った後も心配だった。

 そうセナに言うと、話があると言われ、神殿の小応接室で、カサネとスオウの話を聞かされた。


「まあ、カサネとスオウがですか」


 さすがのササラも目を丸くした。こうすると、年相応の顔になるな、若く見える。と思いながら、セナはゆっくりうなずいた。


「両陛下も公認でね。今は、異動まちなんだ」


「そうですか。でも、あの二人なら納得できます。カサネは自分の気持ち、考えないようにしてるみたいだけど」


「鋭いね。あ、あと見合いが来ないのは陛下の指示、一般男性が近づかないよう僕の友達にも頼んでる。」


「あら、それもですか?カサネ悩んでたのに」


「変のに引っ掛かったら大変でしょ。カサネはもう只の神官じゃない」


「…確かに。では、私もご協力すればいいですね?」


「ああ、お願いする」


 セナがほっとしたのか、笑みをもらした。はじめて見たセナの心からの笑顔に、ササラは見とれてしまった。


「ササラ?」


 セナの声に我に返ったササラは、動揺を隠しつつ、話に戻るのだった。



長くなったので、分けます。

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