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神官は神に舞を捧げる  作者: 但馬ほずみ
ラウ神官編
70/77

4.4年目

 4年目となると、それまでに結婚した友達が、子どもを生んで洗礼式にやってくるようになっていた。カサネは、にこやかに子供達に祝福を与える。幸せそうな親子を見て、心が温かくなる。

 

 去年一年間、出会いがないことや、神官としてのあり方とか悩んだカサネだったが、いまでは、吹っ切れていた。

 悩んでいたカサネの相談に乗ってくれたのは、文通相手だった。ヒルドレードのニイナや、ゼント公爵夫人、ヤトのミオは年長者としての立場から助言をくれた。ササラ、ハーン、スオウは同じ新米神官としての立場から励ましてくれる。

 特にササラとスオウは都に呼ばれたときにも親身になって、相談に乗ってくれたのだ。時には、カルラやライト、アカネまで先達の務めと言葉をくれた。


 カサネはみんなに感謝していた。


 両親もムリに結婚することは無いと言ってくれてるし、もうこのまま一生一人で神官として生きていこうと思っている。


だから


「もう結婚なんてしないで、神官として一人で生きていこうと思うの」


と、大神殿で、みんなににっこり報告したのだ。


 みんなの反応は様々だった。

 まだ若い、決めつけるなと思いとどめようとするセナとササラ。その横で、青い顔でうろたえるスオウ。

 騒ぎを聞きつけたカルラとライトにも、自分達が結婚したのは、カサネより五歳上だったと諭された。


 その場は、引き下がったカサネだったが、何となくスッキリしない。


 その夜、寝付けないのでお城でもらったチョコレートを口にした。中にほろ苦いフィリングが入っている。

 しばらく大人の味を堪能したが、どうにも眠れそうにないので、クロスに会いにいくことにした。スオウが会いに行くと言っていたから、ちょうどいい。


 上着をはおって、祭壇へと赴いた。案の定、扉は開いている。ふふんと鼻唄まじりにクロスのもとへと進んで行った。


 クロスとスオウがなにやら真剣に話しているところへ、ずかずかと入っていく。


「久しぶり~、クロス!」


 カサネの乱入にスオウがあわてている。


「なんじゃ、えらく陽気じゃのう」


「そお~?それよりねぇ、クロスに報告ぅ。私ね~、もう結婚しないで神官するの~」


「結婚せんのか?」


「そ~う、一人で生きてくの~」


「ちょ、カサネ、酔ってる?!」


「酔ってない~、飲んでないもん」


「じゃ、何食べた?」


「食べたの~?お城のチョコレートぉ」


「うわぁ、お酒入りだよ、あれ!ごめん、クロスまた明日来るよ!」


 あわててスオウはカサネを連れて帰る。カサネの足はどんどんあやしくなっていった。

 ついに、ガクンとよろけたカサネを抱き抱える。


「ひとりでいきてくんだもん」


 ため息混じりのカサネにスオウがささやく。


「一人じゃないよ。僕がいる」


 いつまでたっても反応がないので、恐る恐るカサネをのぞきこむと、それは気持ち良さそうに眠っていた。スオウは、大きな大きなため息をついた。


 こうして、スオウの人生初の告白は、聞いてもらうことなく終わったのだった。







ちなみにクロウは耳がいいので、スオウの幻の告白聞こえちゃってます。

「不憫よのう」byクロス

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