4.4年目
4年目となると、それまでに結婚した友達が、子どもを生んで洗礼式にやってくるようになっていた。カサネは、にこやかに子供達に祝福を与える。幸せそうな親子を見て、心が温かくなる。
去年一年間、出会いがないことや、神官としてのあり方とか悩んだカサネだったが、いまでは、吹っ切れていた。
悩んでいたカサネの相談に乗ってくれたのは、文通相手だった。ヒルドレードのニイナや、ゼント公爵夫人、ヤトのミオは年長者としての立場から助言をくれた。ササラ、ハーン、スオウは同じ新米神官としての立場から励ましてくれる。
特にササラとスオウは都に呼ばれたときにも親身になって、相談に乗ってくれたのだ。時には、カルラやライト、アカネまで先達の務めと言葉をくれた。
カサネはみんなに感謝していた。
両親もムリに結婚することは無いと言ってくれてるし、もうこのまま一生一人で神官として生きていこうと思っている。
だから
「もう結婚なんてしないで、神官として一人で生きていこうと思うの」
と、大神殿で、みんなににっこり報告したのだ。
みんなの反応は様々だった。
まだ若い、決めつけるなと思いとどめようとするセナとササラ。その横で、青い顔でうろたえるスオウ。
騒ぎを聞きつけたカルラとライトにも、自分達が結婚したのは、カサネより五歳上だったと諭された。
その場は、引き下がったカサネだったが、何となくスッキリしない。
その夜、寝付けないのでお城でもらったチョコレートを口にした。中にほろ苦いフィリングが入っている。
しばらく大人の味を堪能したが、どうにも眠れそうにないので、クロスに会いにいくことにした。スオウが会いに行くと言っていたから、ちょうどいい。
上着をはおって、祭壇へと赴いた。案の定、扉は開いている。ふふんと鼻唄まじりにクロスのもとへと進んで行った。
クロスとスオウがなにやら真剣に話しているところへ、ずかずかと入っていく。
「久しぶり~、クロス!」
カサネの乱入にスオウがあわてている。
「なんじゃ、えらく陽気じゃのう」
「そお~?それよりねぇ、クロスに報告ぅ。私ね~、もう結婚しないで神官するの~」
「結婚せんのか?」
「そ~う、一人で生きてくの~」
「ちょ、カサネ、酔ってる?!」
「酔ってない~、飲んでないもん」
「じゃ、何食べた?」
「食べたの~?お城のチョコレートぉ」
「うわぁ、お酒入りだよ、あれ!ごめん、クロスまた明日来るよ!」
あわててスオウはカサネを連れて帰る。カサネの足はどんどんあやしくなっていった。
ついに、ガクンとよろけたカサネを抱き抱える。
「ひとりでいきてくんだもん」
ため息混じりのカサネにスオウがささやく。
「一人じゃないよ。僕がいる」
いつまでたっても反応がないので、恐る恐るカサネをのぞきこむと、それは気持ち良さそうに眠っていた。スオウは、大きな大きなため息をついた。
こうして、スオウの人生初の告白は、聞いてもらうことなく終わったのだった。
ちなみにクロウは耳がいいので、スオウの幻の告白聞こえちゃってます。
「不憫よのう」byクロス




