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隣国の残虐皇帝がこんなに可愛いとか聞いてない

隣国の残虐皇帝がこんなに可愛いとか聞いてない

作者: 蒼城 春
掲載日:2026/08/12

いろいろ最強たらし庶民王女(かっけぇ)✕不器用強面キューアグ初心残虐皇帝(かわいい)の溺愛系ラブコメ。

性癖詰め込んじゃった。



「───……貴様がエルドラドの第三王女だという、シアン・エルドラドか。」


 吹雪が吹き荒れるアイゼンガルド帝国の謁見の間にて。

 目の前で睨むのは、巷で『残虐皇帝』と恐れられているシアンの夫、アルフレート・アイゼンガルドだ。


 真夜中の闇のような黒髪、猛禽類のように鋭い金色の瞳。右頬には深い傷跡が刻まれている。


 貴族令嬢、ましてや王族のお姫様なら腰を抜かして命乞いをしたくなるような、凄まじい威圧感だが……。


(ッあ〜〜〜、めちゃくちゃ顔が良い。どタイプ。傷跡がもう超絶セクシー。結婚して良かったぁ〜)


 荒くれ者がゴロゴロいるエルドラドの下町で育ったシアンにとって、こんな脅しなど、子犬に吠えられているようなものだった。

 むしろ顔の良さに感謝している。


 シアン・エルドラドは、「捨てられた第三王女」だ。


 王家から捨てられ、庶民と同じように育ったシアンが何故、政略結婚をさせられているのか。それは十日ほど前に遡る……──。




     ◇     ◇     ◇     ◇




「あのクズどもがァ!うちの大事なシアを、隣国の皇帝に差し出せって!?しかも出立は明後日だァ!?」

「同盟の期限が迫ってて、王宮の姫たちが全員拒否したからって、シアンに丸投げかよ!ざっけんなやぁ!」


 エルドラド王国の国境近くにある下町。

 そこで私──シアン・エルドラドが営む便利屋の事務所は、いまや国境の荒くれ者(全員私の家族みたいなもの)たちで超満員、暴動寸前の熱気に包まれていた。


 事の発端は、私を赤ん坊の頃に捨てたくせに、存在を思い出して連絡してきたクズ王家からの『隣国の残虐皇帝に嫁げ』という一方的な命令だ。


 なんでも、私たちの暮らす国──エルドラド王国、通称「鉱物の国」が、隣国アイゼンガルド帝国、通称「銀雪の国」と結んだ同盟で、エルドラドの王族の血を引く女性がアイゼンガルド帝国の皇帝と婚姻を結ばねばならないそうだ。


 だが、王宮に住まう二人の王女──第二王女と第四王女は、この政略結婚を拒否したと。

 ちなみに第一王女はもう他国へ嫁いでいるらしい。


 シアンの姉妹にあたる二人が拒否した理由は、その皇帝の噂が原因にあるそうだ。


 『残虐皇帝』アルフレート・アイゼンガルド。

 アイゼンガルド帝国は帝位継承権争いが激しいという。皇族同士で殺し合い、皇帝の座を狙う。殺られる前に殺らないと殺られる。三年前に即位した現皇帝アルフレートも、苛烈な継承権争いの末に皇帝の椅子に座っている。

 きょうだいを皆殺しにして帝位を手に入れた彼を、人々は畏怖を込めて『残虐皇帝』と呼んでいる。


「みんな落ち着いて!暴動なんて起こしたら、この町が潰されちゃう!」


 私が必死に宥める横で、私を抱えて王宮を飛び出してくれた育ての親──実母の元使用人であるお母さん──エルマが、ふっと鼻で笑った。


「シアン、あのクズ共のことだから、どうせあなたを有能な駒としてこき使うか、政略結婚の道具にする気だったのよ。でも安心なさい。あなたには私がみっちり帝王学と事務処理スキルを叩き込んであるわ。隣国でそいつらの鼻を明かしてやりなさい。あなたが幸せになることが、あのクズどもへの最大の復讐よ」


 お母さんは私の背中をバシッと叩く。流石は元王妃専属使用人、いつだって堂々としている。



 私の家庭環境はかなり特殊だ。

 私はこのエルドラド王国の第三王女。現国王と第二王妃の間に生まれた。

 私の産みの母である第二王妃、ヴァイオレットは、私を産んだ際に命を落としたという。彼女は旅の吟遊詩人だったそうで、その美しさと巧みな話術で、王に見初められたそうだ。


 がしかし、貴族至上主義の他の妃たちは、異国の庶民の生まれである母と、その子である私が憎かったようだ。

 生まれたばかりの私を、王宮の外へ追い出した。

 母の専属使用人だったエルマは、少しのお金と私を連れて、この下町で暮らすようになった──。



「さあ、もう時間がないわ。シアン、荷物をまとめるわよ!わたしがあげた帝王学の教本と帳簿のつけ方の資料、持っていきなさい。ヴァイオレット様の形見のネックレスも。」


 お母さんは素早く行動し始める。私もお母さんと一緒に慌ただしく旅支度をしていると、よく知る三人の男たちが私の目の前にやってきた。

 私を鍛えてくれた、戦いの師匠たちだ。


「いいかい、シアン。向こうの護衛をアテにするなよぉ。俺が教えた気配遮断と一撃必殺を忘れないでねぇ」


 と、元暗殺者だったというアレン兄さん。ほんわかとした口調に油断してはならない。暗殺術の訓練で何度地獄を見たか。

 すごく鋭利な短剣を手に握らせてきた。持ってけってことか。


「お前なら大丈夫だ。鍛えた体術があれば、大抵の男は投げ飛ばせる。シアンは強い!」


 と、東の島国から来たという武術家のタクゾウさん。カラテやジュウドウという体術を教えてくれた。私がこんなにしたたかに育ったのはタクゾウさんのおかげだよ、ありがとう。


「俺からの餞別だ、持っていけ! 毎日素振り千回を欠かさなかったお前なら、この鉄剣も軽々と振れるはずだ!」


 と、国境の関所の警備騎士のギルバートおじさん。ニカッと笑いながら大きな鉄剣を手渡す。物理的に重い。ありがたく貰う。


「アレン兄さん、タクゾウさん、ギルおじさん……!ありがとう!私がこんなに強くなれたのは、三人のおかげだよ!」


 そう言って笑いかけると、三人とも目頭を押さえた。え、泣いてる?


 おいおいと咽ぶ師匠たちを退けて、妖艶な黒髪の美女がこちらへ歩いてくる。「シア」と私の愛称を呼ぶと、そっと私の手を取った。

 ふわりと上品な花の香りが鼻腔を擽る。


「出立の日の朝、あたしがシアを綺麗にするわ。王家の従者やアイゼンガルドの人にも会うんでしょう?うちのシアは世界一美人なのよって分からせてあげないと、ね。」


 下町を牛耳るボス的存在、高級娼婦のアリシア姐さん。

 姐さんは私が小さな頃から、私にスキンケアやヘアケアを教えてくれた。

 そして『自分を一番魅力的に魅せる方法』をみっちり叩き込んでくれた、私の美の師匠でもある。


『シア、いい? 舐められないためには美貌も立派な武器よ。男の視線をどう誘導するか、自分のどの角度が一番美しく見えるか、骨の髄まで叩き込んであげるからね』


 まだ物心ついて間もない頃、姐さんは私を膝に座らせてそう説いた。そんな姐さんの教育のおかげで、私は自分の魅せ方を熟知している。


「姐さんに綺麗にしてもらえるなんて、私は幸せ者だなぁ。ありがとう、アリシア姐さん。」

「ふふ、可愛いシアのためだもの。任せといて」


 姐さんはくらっとくるほど色っぽいウインクをした。




 ───……そして、出立当日。


 姐さんに美しく着飾ってもらった私は、愛する下町のみんなに見送られながら、王家の馬車に乗ってアイゼンガルド帝国へ向かった───。




     ◇     ◇     ◇     ◇




 ───そして今に至る。


「………おい、聞いているのか。」


 何も反応がないからか、アルフレートがさらに低い声で、凄むように問い掛ける。

 が、シアンは、アルフレートの金の瞳がわずかに揺れるのを見逃さなかった。お、ちょっと心配してる?


「あ、すみません。陛下があまりにもどタイプ、ゲホン、美男子なので、見惚れておりました。」

「………はぁっ!?!」


 大真面目に褒め称えると、アルフレートは大きく顔を仰け反らせた。

 目を大きく見開いたかと思うと、みるみるうちに耳が赤く染まっていく。「残虐皇帝」の仮面が、音を立てて崩れ落ちていくようだ。


 可愛い。可愛いが過ぎるんじゃないのか、「残虐皇帝」よ。


「貴様っ、なにをふざけたことを言っている?!自分の置かれている状況を考えてみろ!」

「ああ、分かっていますよ。私が本当にエルドラド王国の王女なのか疑われていることくらい。」


 そう言うと、吹雪を凌ぐためのローブを脱ぎ、ドレスの背面のチャックを下ろす。背中に刻まれている王族の証を見えやすいように、丁寧に結われた銀髪も前に退ける。


「ほら。背中にある王族の証。本物ですよ。入れ墨とか焼き印とかじゃなくて、生まれつきのものです。」

「……っ、確かにその紋様、エルドラド王家の血を引く者にのみ現れるものだ。偽物や間諜ではないか。………いや、もうわかったから。服をちゃんと着てくれ………。」


 そう言われて振り返ると、アルフレートは片手で顔を覆っていた。が、耳が赤くなっているのがバレバレだ。


 え?背中見せただけでこんな赤面するの?ピュアか?残虐皇帝はどこへ?


 内心びっくりしながらも言われた通りにドレスを着直す。

 ここすごく寒いな、と思っていたら、くしゅんっとくしゃみが出てしまった。


「あの、すみません、エルドラド育ちの私には、この謁見の間すっごく寒くて……。温かいスープをくださいませんか……?できればあったかいお部屋も」

「っ、ああ、そうだったな。すまない。……おい、ニコラス、案内してやれ」


 ニコラスと呼ばれた灰色の髪の若い執事は、私に向けてにこりと笑いかけると、「シアン殿下のお部屋へ案内致します」と先を歩いた。


 そっかぁ……私、シアン殿下って呼ばれるんだぁ……。呼ばれ慣れない呼称に、むずむずとした気持ちになる。


 ……まずは、あの不器用そうで初心な旦那様を、下町スキルで堕としてやるんだから。


 そうほくそ笑みながら、私はニコラスの後ろをついていった。




     ◇     ◇     ◇     ◇




「美味しい……!!何これ食べたことない……。お肉を木の実で煮込んだのかな?身体があったまる〜……。エルドラドじゃ使わないスパイスも入ってるのかな?」


 食事を給仕してくれたメイドさんは「エルドラド王国のワガママ王女」を想像していたようで、ガチガチに警戒していた。

 けれど、私が下町育ちの健啖ぶりであっという間に食事を平らげ「ごちそうさまでした!運んできてくれてありがとうね」と満面の笑みでお礼を言うと、「は、はい!何か御用がありましたら、いつでもお声がけください!」と笑ってくれた。かわいい。


「名前はなんていうの?」

「リリアと申します。これからシアン様の専属メイドとしてお仕えします。よろしくお願いします!」

「リリア!よろしくね!分からないことだらけだから、色々と教えてくれると嬉しいな」

「もちろんでございます!お役に立てるのなら、なんだって致します!」


 よっしゃ、メイドさん一人味方にゲット。


 ちなみに、正式な婚姻の儀は二ヶ月後。

 それまではお互いを知るための「お試し期間」ということで、残虐皇帝とのドキドキ初夜はなし。


 まあ、あのウブな旦那様じゃ、今夜襲いかかってきても返り討ち……ゲホン、私のほうが余裕で勝てただろうし、ちょうどいい。


 可愛い旦那様を籠絡すべく、まずは味方集めだ!




     ◇     ◇     ◇     ◇




 それから数日。

 私への扱いは「軟禁に近い客分」だったけれど、見知らぬ環境でじっとなんてしていられない私は、城の人間と世間話をしながら、この国の情報を仕入れていた。


 すると聞こえてくるのは、アイゼンガルド帝国の深刻な人材不足問題。

 特に、信頼できる優秀な文官が足りず、アルフレートは毎日夜遅くまで一人で政務に追われているらしい。


「よし、便利屋シアン、夜間出張といきますか」


 深夜。

 私は給仕長にお願いして厨房に立たせてもらい、アイゼンガルド特産の根菜をたっぷり使った温かいスープを盆に乗せ、執務室のドアを叩いた。


「失礼しまーす」

「……お前、なぜこんな時間に」


 机の上に山積みの書類に囲まれたアルフレートが、酷く疲れた顔で金眼を細める。

 相変わらず顔の傷のせいで凶悪な顔つきだけれど、目の下に薄くクマを作っていて心配になってしまう。


「差し入れです!根菜のポタージュ、あったか生姜仕立て。疲れたときにはこれが一番!さぁ、冷めないうちにどうぞ」

「……毒など入っていないだろうな」

「入れるわけないでしょう、私は陛下にベタ惚れなんだから。一応、銀の器によそいましたけどね」

「べっ!?お前はまた、なんてことを……!」


 アルフレートは耳を真っ赤にして怒るが、観念したようにスープを口に運んだ。

 「……美味い」と小さく呟いた彼の顔が、じんわりと綻ぶ。


 スープを飲むアルの横で、私は机の端にある書類の山に目をやった。

 エルドラド王国の国家予算、鉱山資源の輸出入データ、そして帝国の物流経路の稟議書……。


「陛下、このエルドラドの輸出データ、こことここの数字がズレてますよ。たぶんあっちの役人が中抜きしてます。あと、この帝国の物流の書類、こっちのルートに変えたら馬車の維持費が二割削れます」

「……は?」


 アルがスープのスプーンを止めて、信じられないものを見る目で私を見た。


 私を育ててくれたお母さん、エルマは、めちゃくちゃ先見の明がある人だった。


『あのクズ王家のことだから、あんたが大きくなったら「王族の責務を果たせ」って面倒な政務を押し付けてくるに決まってるわ。やり方を叩き込んであげるから、覚えなさい』


 そう言って仕込まれた帝王学と事務処理スキル。

 結局、実家は私をこき使う前に存在を忘れて追放したわけだけど……まさか、こんなところで役立つなんて。


「私、下町で便利屋をやっていたもので。計算と書類整理は得意なんです。クズ王家への備えあれば憂いなし、ってね……。……というわけで、陛下。私も手伝っていいですか?」


 アルフレートはしばし呆然としたあと、ふっ、と小さく、そして初めて、本当に優しく笑った。


「……ああ。よろしく頼む、シアン。」


 貴様やお前ではなく、初めて名前で呼ばれた。

 低くて、少し照れくさそうなその声に、私の心臓はドドドドッと早鐘を打つ。


 待って。今の笑顔、反則じゃん……!!


 こうして、私たちが背中を合わせて夜通し書類を片付ける姿を見て、翌朝、顔を青くして突撃してきた側近たちは、「あのエルドラドの王女が、陛下の命の危機を救うレベルで仕事を終わらせた……!?」と、腰を抜かすことになるのだった。




     ◇     ◇     ◇     ◇




 深夜の政務手伝いをきっかけに、私の評価は「怪しい間諜」から「有能すぎる救世主」へと爆発的に跳ね上がった。

 側近たちは私を「シアン様!」と崇め奉り、アルフレートとの距離も、一緒にご飯を食べるくらいには縮まっていた。


 そんな、ある日の昼食時に事件は起きる──。


「……うん。今日のスープも美味しいね……と言いたいところだけど」

「……だけど?」


 アルフレートは小首を傾げて続きを促す。可愛い。


「これ毒入ってない?ん〜、この痺れ具合、独特の臭み……、ウェルド蜘蛛だ!めっちゃ猛毒かましてくるね〜」


 アルフレートはガタッと椅子を蹴立てて立ち上がった。その金の瞳が、恐怖と怒りの色に塗れていた。


「シアン、今すぐ吐き出せ!!医者を呼べ!早くしろ!犯人も探せ!」

「あああアルフレート、落ち着いて、私、毒に耐性、ある、から」


 大パニックに陥る食堂。アルフレートは私の肩を掴み、本気で泣きそうな顔で揺さぶる。

 ……本当に大丈夫なのだ。


 なぜ毒に耐性があるのかというと、下町にいた謎の薬師のおかげだった。そしてその人は、とにかくぶっ飛んでる人だった。


『シアン……あなた一応王族だから……、いつか毒殺とかされちゃうかもよ……?毒に耐性つけておけば……その危険性も低い……。よし……今のうちに慣らすか……』


 そう言われ、十歳の頃から弱い痺れ薬から始まり、最終的には一滴で牛が即死するレベルの毒まで、数年かけてじわじわと完全耐性をつけさせられた。

 あの地獄の特訓に比べれば、このスープの毒なんてちょっと舌がピリピリする程度。


「……は?耐性?あのウェルド蜘蛛の毒だぞ!?数滴で牛を殺せるという猛毒に耐えられるのか!?」

「まぁ、流石にこのスープ全部飲んだら危ないけど、大抵の毒は大丈夫です!」


 呆然と立ち尽くすアルフレート。

 そこへ、犯人捜索の命を受けた近衛騎士たちが、一人の貴族の男を連行してきた。


「陛下! 皇妃殿下の食事に毒を紛れ込ませた犯人を捕らえました! エルドラドとの同盟に猛反対していた、反皇妃派の閣僚です!」

「貴様ァ! そのエルドラドの小娘は我が国を乗っ取りにきた妖女だ! 陛下、騙されてはなりませぬ、そいつを殺せ───」


 捕まった貴族が狂ったように叫ぶ。

 しかし、アルフレートは彼の言葉など耳障りで仕方ないという様子で、冷徹極まりない、まさに『残虐皇帝』の瞳でその貴族を見据えた。

 周囲の空気が一瞬で氷点下に凍りついたような錯覚に陥る。


「───よくもシアンに、毒なんて盛ってくれたな」

「ひっ……!」

「我が国を乗っ取る? 違うな。シアンは、私が泥をすすってでもこの城に繋ぎ止めねばならない、最愛の伴侶(ひと)だ。……彼女を屠ろうとした罪、万死に値する。連れて行け。二度と日の光を拝ませるな」


 ひぇ……今のアルフレート、めちゃくちゃ格好いい……! ん!?でも今『最愛』って言わなかった!?


 貴族が引きずられていく中、アルフレートは大きなため息をつき、私の前に膝をついた。

 そして、私の両手をそっと包み込む。その手は、少しだけ震えていた。


「シアン。お前に毒が効かないとしても、私の心臓が止まるかと思った。……頼むから、もっと自分を大切にしてくれ。もう二度と、私を怖がらせないでくれ……。」


 耳を赤く染めながら、縋るように私を見上げてくるアルフレート。

 不器用で、冷酷なフリをしていて、でも誰よりも私の身を案じてくれている旦那様。


 あぁ、ダメだ。私、この人に完全に堕ちたわ。

 私は敗北を悟る。


「……わかった。これからは、毒が入ってたらちゃんとアルフレートに報告しますね」

「違う、食べるなと言っているんだ!」


 怒られちゃった………。




     ◇     ◇     ◇     ◇




 その夜。私が自室のベランダで夜空を眺めていると、コンコンとノックの音がした。


「はい、どうぞ」

「……シアン、少し話したいことがある。いいか?」


 アルフレートは弱々しく扉から顔を覗かせる。


「もちろん。珍しいね、部屋に来るなんて」


 私はふかふかのソファに腰掛け、隣を叩いて「さ、座って」と勧める。

 アルフレートは大人しく腰を下ろすと、私の手をギュッと握りしめた。


「……本当に、どこも痛まないのか?」


 金の瞳が、酷く弱々しく揺れている。

 昼間の『残虐皇帝』の威厳はどこへやら、今の彼は、まるで行方不明になりかけた飼い主を見つけた大型犬のようだ。


「本当に大丈夫だよ。ほら、熱もないし、脈も正常。むしろアルフレートの手、めちゃくちゃ冷たいよ?」

「……きみが平然としているのがおかしいんだ。……私は、本当に、頭がおかしくなりそうだった」


 アルフレートは私の手を自分の額に押し当てて、消え入りそうな声で呟いた。


 そして、ぽつり、ぽつりと、彼が今まで誰にも話さなかった過去を零し始める。


「私の母は、私が幼い頃に毒殺された」

「……え」

「異母兄弟たちによる、帝位争いだ。母だけではない。私の周囲にいた信用できる家臣も、忠実な騎士も、みんな食事に毒を盛られたり、暗殺されて死んだ。……この顔の傷も、暗殺者に襲われたときのものだ」


 アルフレートの低い声が、二人だけの部屋に響く。

 彼の言葉から、アイゼンガルド帝国がなぜ慢性的な人材不足に陥っているのか。

 そしてなぜ彼が誰も信用せず『残虐皇帝』として冷酷に周囲をねじ伏せてきたのか、その理由がすべて繋がった。


「誰も信じられなかった。食べるものも、周囲にいる人間も、すべて疑わなければ生き残れなかった。だから……昼間、きみのスープにウェルド蜘蛛の毒が入っていると聞いた瞬間、目の前が真っ暗になった」


 アルフレートが、私の手を握る力をぐっと強める。


「きみは、この冷たい国にやってきて、私のために動いてくれた。私の不器用さを笑わず、隣に居てくれた。……また、私のせいで大切な人が死ぬのかと、恐ろしくてたまらなかった。きみを失うくらいなら、代わりに私が命を落とすことも厭わない。」


 切なそうに視線を彷徨わせるアルフレート。

 『血も涙もない残虐皇帝』と噂されている。でも、その正体は、誰よりも優しくて、傷つきやすくて、孤独に震えていた一人の弱い人間だった。


 私が、護らなきゃ。この愛しい人の、心も、身体も。


 愛おしさが限界突破した私は、握られていた手をそっと抜き、代わりにアルフレートの頬へ伸ばした。


 暗殺者に刻まれたという、彼の右頬の深い傷跡。

 周囲から恐れられている原因ともいえるその傷を、指の腹で優しく撫でる。


「アルフレート。いえ………、アル」

「……シアン?」

「私の育てのお母さんは、元王宮勤務なんです。だから『王族のクズどもはすぐ毒を盛るから耐性をつけろ』って、下町の謎の薬師に頼んで私を鍛えさせたんですよ」

「な、なぜ今その話を……」

「つまり、私は絶対に毒なんかじゃ死にません。アルがどれだけ暗殺者に狙われようと、エルドラドのクズどもがどんな陰謀を企てようと、私はアルの隣で、毎日美味しくご飯を食べ続けます。」


 アルが息を呑み、金眼を丸くする。

 私は姐さん直伝の、一番綺麗に微笑める角度で、彼の瞳をまっすぐに見つめた。


「もうあなたは独りじゃない。これからは、私がアルのことを護るわ。アルの心も、安全も。一生アルの隣で笑うから。下町の便利屋シアン、一度受けた依頼は絶対に投げ出しません!」


 アルはしばらく、魂が抜けたように私を見ていたけれど。

 やがて、顔の傷ごと、耳まで真っ赤に染まった。


「きみは本当に……。調子が狂う………」


 そう言って、アルは私の肩に、すとん、と自分の額を預けてきた。

 大きな身体を小さく丸めて、私を壊れ物みたいに優しく、でも絶対に離さないという強さで抱きしめてくる。


「……私の負けだ、シアン。生涯、きみだけを妻とする。きみ以外の誰も、私の隣には立たせない」


 耳元で囁かれた低くて甘い声に、今度は私の心臓が、馬鹿みたいな音を立てて跳ね上がったのだった。




     ◇     ◇     ◇     ◇




 結論から言おう。私の妻は、あまりにも規格外で、そして凶悪なまでに可愛い。


 朝の瑞々しい光が差し込む城の裏庭。

 息抜きを兼ねて通りかかった私は、茂みの陰で立ち尽くし、ただ呆然と眼前の光景に見惚れていた。


 そこにいたのは、エルドラド王家が生贄として寄こしたはずの第三王女、シアンだ。

 彼女は「足捌きが悪い」とドレスを早々に脱ぎ捨て、今日も仕立ての良いズボン姿。


 銀髪を高い位置で一つに結び、額に汗を浮かべながら、故郷から持ってきたという重い鉄剣を恐ろしい速度で素振りしていた。

 前方を鋭く見据える青空のような碧眼は、今日も宝石より眩く輝いている。


 ヒュッ、ヒュッと、容赦なく空気を切り裂く鋭い音。

 ブレない体幹。無駄のない軌道。

 それは我が国の並の近衛騎士を遥かに凌駕する、洗練された剣技だった。


 剣を置いたかと思えば、流れるような動作で地面に手を突き、腕立て伏せを始めた。

 さらには未知の東の島国の武術だという、重心移動の完璧な型の訓練へと移っていく。


 見るだけで分かる。彼女の真の強さ。私と互角か、はたまたそれ以上か。


 かつて私は孤独のあまり誰も信じられず、己の強さだけを信じて死地をくぐり抜けてきた。

 そんな私にとって、彼女のその鍛え上げられた強さは、どんな美しい宝石よりも眩しく、尊いものに見えた。


 だが、それどころではない。

 シャツが、汗で肌に張り付いているのだ……!


 薄手のシャツの向こう、少女らしい細い腰のくびれや、躍動する肢体のラインが、動くたびに露わになる。

 初心だ、不埒だと自分を責めるが、瞳がどうしても彼女の姿を吸い付けられたように追ってしまう。


 ひとしきり動き終えたシアンが息を整えながら、結んでいた銀髪をハラリと解いた。その瞬間だった。


 首筋に流れる汗を、白い指先でそっと拭う。碧眼を少し潤ませて、ふっと艶やかに息を吐き出す。

 その一連の動作が、先ほどまでの猛者の空気とは一転して、心臓が跳ね上がるほどの色香を放っていた。


 脳裏に、かつてシアンが言っていた言葉が過る。『下町の高級娼婦の姐さんに、男の転がし方と魅せる角度をみっちり叩き込まれたんです!』


 これか……! これのことか……!!


 研ぎ澄まされた武術を繰り出す少女から一瞬にして極上の美女へと変貌した彼女の破壊力に、私の理性は粉々に粉砕された。


 あんなもの、至近距離で見たら正気でいられるわけがない。

 暗殺者の刃を前にしても微動だにしなかったこの私が、17歳の少女の首筋の汗ひとつに、命の危機を感じるほど動転していた。


「……っ!」


 耐えきれなくなった私は、シアンに声をかけることすら忘れ、大慌てでその場から逃げ出した。


 背後で、私の慌てた足音に気づいたらしい彼女が、鈴を転がすような声で「あはは、アルったら可愛いなぁ」と呟くのが聞こえて、さらに心臓が跳ねる。


 可愛いのはお前のほうだ、馬鹿者が。


 執務室へと逃げ帰り、激しく上下する呼吸を整えながら、私は両手で顔を覆った。

 あの凛とした強さも、男を狂わせる色気も、深夜にスープを差し入れる優しさも、すべて愛おしくて頭がおかしくなりそうだ。


 『残虐皇帝』と恐れられている自覚はあったが、シアンの前では、ただの寂しがり屋の犬のように手懐けられてしまう我が身を呪った。

 そしてそれ以上に、愛おしさに身を焦がす朝だった。




     ◇     ◇     ◇     ◇




 そしてその夜。アルフレートに朝の鍛錬を目撃され、さきほど政務の差し入れとして夜食を届けた私は、自室のベッドに倒れこんで枕に顔を埋めていた。


「何あの可愛い生き物!!!メロすぎてしんどい!!!」


 周囲に防音魔法をかけると、私は言葉が溢れるままに思いの丈を叫ぶ。

 ちなみに、魔法は下町にいた魔法使いに教えてもらった。下町に暮らす人が多種多様にも程があると思う。


「超絶クールなビジュのくせに、中身が初心な大型犬って属性盛りすぎでしょ!!あぁーーもぉぉーー!!アリシア姐さんに『惚れた男は手のひらで転がせ』って教わったのに、転がされてんのは私の方じゃんんー!!目が合ってふにゃって笑うの反則でしょ!はぁあ??可愛いが??理性も心臓も爆発するわ!!ほんっと好き!大好き!!早く結婚してぇー!!」


 ベッドの上で転がりながら、私は思った。

 こんな姿、アルには見せられないな……、と。



     ◆     ◆     ◆     ◆



 時を同じくして、アルフレートの自室にて。

 アルフレートもまた、留まるところを知らないシアンへの想いを、心の中で絶叫していた。


「………っ!!」


(なんなんだあの人は……!!まず、この顔で恐れられたことしかないのに、どタイプとか美男子とか褒めちぎって……!私をどうするつもりだ!さっきだって、持ってきてくれた夜食のミートパイを、た、食べさせてくれた時だって……!なんだあの笑顔!なんだあの眼差し!本当に私が大切、みたいな……!あぁ、思い出すだけで胸が苦しい……!!)


 一瞬、頭を冷やそうと深呼吸を試みる。が、それは失敗に終わった。


「……すぅー、……はぁ〜〜。……いや落ち着けるか!!」


(今朝のあれとかもうっ、なんかっ、ヤバかったぞ!?ズボン姿だから分かる細い腰のくびれ、しなやかな肢体のラインが目に焼き付いて離れない。うがぁぁあ私の愚か者!不埒なことを考えるな!………普通の貴族が見たら眉を顰めるだろうが、私にとっては世界一愛おしい。)


「シアンは国宝だろぉ………。はぁ……、一ヶ月後の婚姻の儀まで待てる気がしない。いや待つが、それまでに手を出さないでいられる自信がない」


 荒ぶる情緒に耐えるべく、奥歯を噛み締めて目を閉じる。


 ベッドにうずくまりながら、アルフレートは思った。

 こんな姿、シアンに見せられない……、と。



     ◆     ◆     ◆     ◆



 翌朝、食堂でアルと顔を合わせたるも、私は微妙に気まずく感じてしまう。

 昨晩ずっとアルのことを考えて萌え転がっていたなんて、口が裂けても言えないからだ。


「……おはよう、シアン。昨夜はよく眠れたか?」

「アル、おはよう……。えー……んー……そうだね、ぐっすり!」

「……嘘だろう。きみは嘘をつくのが下手だ」

「ぐっ、そんな馬鹿な……!」

「どうして嘘をつくんだ。……私は、信用ならないだろうか」


 そんな濡れた子犬みたいな目で見られたら私どうにかなっちゃうよぉぉー!!


「昨日の夜、ずっとアルの可愛さに悶えてたら寝れませんでした……。あっ」

「んなっ、はぁっ!?!」


 しかも自爆したぁぁー!!最悪ぅー!!

 アルはまた顔を真っ赤にして口をパクパクさせる。可愛い。


 そんややり取りを見せられる使用人や家臣の方々の「バカップルどもが……」という生温い視線が突き刺さってますわ………。




     ◇     ◇     ◇     ◇




 振り返ると濃密な日々だったなぁ、と私はしみじみとする。


 エルドラドの下町で便利屋をしていたら王女として隣国に嫁げって言われて、残虐皇帝っていうからどんなやつかと思ったらめっちゃ可愛くて。夜中まで政務に勤しむアルを手伝ったり、毒殺されかけたり、アルが可愛かったり、アルの可愛さに悶絶したり。


 婚姻の儀まで、あと二週間ほど。皇帝が挙げる式なので、すごく豪華になるそうだ。

 式の段取りや、参加貴族の名前を覚えたり、他にもたくさんだ。皇妃となる私の仕事は数え切れないほどあって、毎日目が回るような忙しさだ。


「シア、休憩にしようか。中庭のスイセンが綺麗に咲いているそうだよ」

「ほんと?エルドラドよりも冬が長いから、春っていつ来るんだろうって思ってたんだよね」


 そう話しながら、アルの手に自然に指を絡ませる。アルは途端に顔を真っ赤にして私を見てくるので、上目遣いでそっと微笑んでみせる。これ必殺技ね。


「……っ、きみって人は本当に……」


 よし、キマった。私は内心ガッツポーズで、アルと中庭へ足を運ぶ。

 中庭へと繋がる扉を開けると、冷たいながらも春の匂いがする風が頬を撫でた。ところどころ、真っ白な雪の隙間から緑が覗いている。




 ───背後に気配が……!?



 急に現れた人間の気配を察知したころには、私は暗殺者らしき黒ずくめの男に、喉元にナイフを当てられていた。

 恐らく、転移魔法を使ったのだろう。アレン兄さんに叩き込まれた気配察知能力があるのに、全く反応できなかった。


「動くな、残虐皇帝。貴様の愛するこの女の命が惜しかったら、こちらの要求を呑め。」


 捕まっちゃった〜。こんなヘマをするなんて、アレン兄さんに怒られる〜。

 にしてもなんなんだ、この暗殺者。拘束が甘いし、脅すなら喉元にナイフを押し当てるくらいしないと……。ポンコツか?


「こいつはエルドラドを裏切り、アイゼンガルドに寝返った反逆者だ!残虐皇帝、貴様の愛するこの女を無事に返してほしくば、我が国の鉱物を今後十年間、相場の三倍の値段で一定量必ず買い取れ!」


 そんで何言ってんだこいつ。


 あ、待って、アルがブチギレてるよ?そりゃそうよね、十年間毎年相場の三倍なんて、国家予算を大幅に毟り取られちゃうもんね。


「貴様……!アイゼンガルドの国財を逼迫させるだけでなく、エルドラドだけが私腹を肥やすつもりか……!」

「そうだよ!そんなことしたらエルドラドの商人や王族だけが大儲けして、アイゼンガルドの経済が赤字になっちゃうじゃん!絶対ダメだよ!あと、アルを脅す材料に私を使うなー!」


 素早く拘束から抜け出すと、暗殺者の襟と袖を掴み、タクゾウさんから教わった『背負投げ』なる体術を繰り出す。瞬殺。


「ふぅ、交渉決裂。バーカバーカ!」


 エルドラドやべー……。政治のやり方も、アイゼンガルドへの態度も終わってんな……。

 実家へは怒りを通り越して呆れる。


 アルは鬼気迫る形相で私の肩を掴むと、「大丈夫かシアン!?怪我はないか!?」と全身を観察する。両肩に掴まれた手が震えている。


 ……また不安にさせちゃったな。反省。

 私はアルを抱き締めると、安心してもらえるように優しい声で話す。


「私は大丈夫、かすり傷ひとつないよ。……ごめんね、また不安にさせちゃったね。クズな実家が、本当にごめん。」

「……そんな、謝らないでくれ。悪いのはきみじゃない」


 かすれた声で「……無事でよかった」と、私を強く抱き締め返してくれた。その力は痛いくらいに確かで、私は嬉しくなった。




     ◇     ◇     ◇     ◇




 そして、婚姻の儀当日。

 私は入場直前、会場の扉の前に立ち、アルをそっと見上げた。


 新郎のスーツ姿が眩しい……!後光が差してる……!


「アル、かっこいいね。大好きだよ」

「……シアンも、すごく綺麗だ。その衣装も似合ってる、きみらしいな」


 ウェディングドレスを決める際、私はあるワガママを言ったのだ。「ドレスは動きにくいし、あまり好きじゃない。パンツスタイルにできない?」と。

 そんな融通に応えてくれた仕立て屋さんが作ってくれた衣装が、私が着ているズボンドレスだ。


 気品溢れる純白のロングトレーンが後ろに美しく広がりつつ、前はしなやかに脚のラインを際立たせてくれる、新しい形のウェディングドレスを仕立ててくれた。すごくお気に入り。


 重厚な音を立てて扉が開き、溢れんばかりの拍手が鳴り響く。

 喜びに満ちた表情でこちらを見つめる、アイゼンガルドの国民たち。私が招待した、下町のみんなも笑っている。


「さあ、私の愛しの人よ。貴方をエスコートする栄誉を、私に与えてくださいませんか?」

「ええ、よろしくね。」


 ───誓いの言葉も述べ終え、いよいよ誓いのキス。


 アルは、表情だけは平然としているが耳が真っ赤だ。私たちはまだキスをしたことがないから、緊張しているのかな。それは私だって同じだ。


 アルは私の顔の横に手を添える。

 私は、姐さん直伝の「男を狂わせる完璧な上目遣い」を実行してみる。……そんないたずら心が疼いてしまったのが、私の運の尽きだったといえる。


 アルの理性の糸がプチッと切れた。金の瞳がギラリと野性的に輝く。


 ちゅ、という短いキス……かと思いきや、アルは私の腰をグッと引き寄せ、長くて深いキスを交わしてきた。

 これは想定外ぃー!!みんな目のやり場に困ってるよぉー!!


 ようやく唇が離れ、息も絶え絶えになりながら私は赤面する。

 アルは耳元で、私にしか聞こえない小さな声で囁く。


「シアンがそんな顔するのが悪いんだよ?早く披露宴を終わらせて、二人きりになりたいなぁ。………夜になったら、覚悟しておいてね?」


 アルをこんなにえっちにしたの誰ー!?まさか独学!?無自覚!?反則ーー!!!


「………はぃ」




 隣国の残虐皇帝がこんなに可愛いとか聞いてない……!!




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打って変わって好評価となった皇帝陛下の横で、「私が育てました」とドヤ顔しているシアンと、それを遠くから腕組みで頷きながら眺めている下町の皆さん、という絵が読了後の脳内に浮かびました。 素敵なお話をあり…
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