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4.1 そうだ、王都へ行こう


 虎と馬のキメラを討伐してから早くも3週間が経とうとしている。俺達は依頼をこなしながらカレンに魔法を教えてくれそうな人を探す生活をしていた。


 ポイントの方は着実に溜まっていき、ちょうど昨日1000ポイントを超えて階級が1つ上がり第3階級の橙階級になった。ちなみに第4階級の黄階級は10000ポイントで昇格なので第4階級へはまだ程遠い。


 そんな生活を送っている中である不都合が発生した。


 このヤポンの街のギルドにカレンが使えない魔法を使える人がいなくなってしまったのだ。


 そこで俺達は王都のギルドに行ってカレンが使えない魔法を使える人探すことにした。俺達がいるヤポンは「エーシャア王国」の東端に位置する街で海に面している。一方、王都の「プカン」は国の中央にある。王都はヤポンからはほぼ真西の方角にあるため気候はヤポンと変わらないらしい。


 そして、王都に行くついでに王都に物を運ぶような依頼を受けようという話なった。


 そのため、今俺はギルドの掲示板の前にいる。


 さてさて、ちょうど良い依頼はあるか?


 少し探してみると面白そうな依頼があった。ヤポンからプカンへの道中を護衛する依頼だ。実に俺達の要望に沿う依頼だ。


 王都に向かうような依頼は他にもあったのだが、依頼書の「階級不問・面接あり」と言う普段見ない表記と多い報酬が俺の興味を煽ったのだ。


 依頼主の名前は「ギル・イージス」。相当な金持ちなんだろうか?


 依頼書にはその他諸々の詳細は一切書いていない。その辺は多少怖いが この依頼で良いだろう。


―――


 と言うわけで、俺は近くで昼食を食べていたカレンを呼んできて、ギルドの受付に向かった。


「こちらの依頼は依頼主の認可が下りてから受注可能な依頼ですので、今から指定する住所に向かってください。依頼主から認可の印が押された紙を受け取ってから、この受付に来ていただければ依頼を受注できます」


 受付の女性はすぐ近くにある屋敷の住所を書いた紙を俺に手渡した。早速向かうとしよう。


―――


 屋敷には数分で着いた。なかなか大きく立派な屋敷だ、いったいどんな金持ちが住んでいるのだろうか。


 中に入ろうと門番に事情を話すと、門を開けてくれた。少し不用心じゃなかろうか。


 敷地内に入り案内されるがまま進むと、そこは道場だった。道場の造りは和風、ここに来て日本を感じることになろうとは。俺が感傷に浸っていると、案内してくれた人にここで待つように言われた。


―――


 言われた通りしばらく待っていると初老の老人がやってきた。


 初老の老人は執事のような髪形や服装をしていたが、筋骨隆々で武人のようであった。その辺にいる並の冒険者よりは比べるまでもなく強いだろう。


「ようこそおいでくださいました。私はギル・イージスと申す者でございます。早速ではありますが面接に入らせていただきます。まずはギルドカードをお見せいただけますか?」


 俺達はギルさんにギルドカードを渡す。


「ほう、御二方共 橙階級の冒険者でいらっしゃいましたか。概ね求めていた通の人材ですかな。では次に実力を見せていただきたいので私との手合わせをお願いいたしします」


 それで道場か完全に理解した。


「2つほど質問しても良いですか?」


「はい、どうぞ何なりとお聞きくださいませ」


「武器の使用ってどうすればいいのですか?」


「自前の武器を使用していただいて構いません。普段の戦い方で全力を出してください」


「ありがとうございます。彼女は後衛の魔法使いなのですが、彼女も戦うのでしょうか?」


「はい、もちろんです。この道場の事は気にせず魔法を使用してください」


「わかりました。では、俺から行かせて貰います」


「いえいえ、2人で同時に戦ってください。それが普段の戦い方なのでしょう?」


「わ、わかりました」


「そうですね…、私に血を流すような傷を付けることを合格の条件といたしましょう」


 強そうな人ではあるが俺達の事をなめてるな。全力で叩き潰す。


 まあ、でも俺も馬鹿ではない。ギルさんの構えの隙の無さを見ただけで相当強いことはわかる。俺の見立てでは、ギルさんはギルドの冒険者で言うと第7階級、藍階級の冒険者と同等の実力を持っているだろう。


 俺はカレンに耳打ちをして作戦を伝えてから剣を抜いて構えた。


 俺はギルさんに斬りかかるが、全ていなされてしまう。


(ふむ、このケンという冒険者の剣の腕は並以下と言ったところですかな。後ろにいるカレンという冒険者は常に前衛の陰に隠れるようにしているようですが、何を意図しているのでしょうね。確かに陰に隠れれば私に魔法の発動や軌道がわかりにくくなりますが、それは貴方も同じですよ。その立ち位置では私に魔法は当てられないでしょう)


「《ウインドナイフ》」


 俺が近距離で魔法を放つもギルさんには避けられてしまった。不意打ちの見えない刃を初見でかわすのか この人。


(なるほど、魔法剣士でしたか。しかも「詠唱短縮」をお使いになられるのですか。しかし、この程度では私に傷を付けることはできませんよ)


「《突き刺す光速の槍――》」


(火属性高位攻撃魔法、「ライトスピア」ですか。確かに避けるのは難しいですが、狙いがわかれば不可能ではありませんね)


「「《ライトスピア》」」


(なんですと!?まさか「詠唱共有」までお使いになられるとは!)


 ギルさんは後方へと跳び上がり俺が放った魔法をかわした。


「合格ですかね?」


 俺の口の端から血が流れる。


「はい、お見事です。まさか そのような手段を取られるとは」


 ギルさんのふくらはぎにはかすり傷が付き、わずかに血が流れていた。


 ギルさんはやはり強い。至近距離で放った俺のライトスピアは、光の速度にも関わらず間一髪で避けられてしまった。しかし、カレンの放ったライトスピアは俺の腹を貫通して跳び上がったギルさんの足にかすり傷を付けたのだ。


 ここまでして、ようやくかすり傷か。割に合わないな。


「《大河の如き時の流れよ 暫しの遡行を与えよ 大いなる神の猶予 タイムバックワード》」


 俺の傷は地面に流れた血の一滴までも全てが元に戻っていった。時間遡行、良い魔術だな。いくつかの制約があり最長で30分くらいしか戻せないが それでも充分に強い魔術だ。ただ、魔術だから「詠唱短縮」の効果が適応されずに毎回詠唱しなければならないのがつらいな。


「なるほど、そのような魔術を切り札として持っていたのですね」


「はい、できればこの魔術を使うような作戦は使いたくなかったですけど」


「いやはや、その手段は予想できませんでしたよ。ケンさんの陰になるように跳んで避けても、そのケンさんを貫くような攻撃ではあたってしまいますからな」


 先程ギルさんが言った通り今回の作戦の肝は俺の魔術によるダメージの回復だ。今回の作戦においては「詠唱共有」による不意打ちすらも単なる捨て石に過ぎなかったのだ。そして、その作戦は上手くいった。ギルさんが致命傷を負わなかった事を除けば、だが。


 カレンに伝えた作戦の内容は「カレンが使える最速の魔法で俺の腹を貫いて攻撃してくれ」と言うものでカレンは俺の要求に答えてくれた。


 それにしても「詠唱共有」ってイントロクイズみたいだよな。まあ、だいたいは簡単な英単語で構成されてるから一度でも目を通しておけば思い出すのは難しくないがな。


「では、こちらの紙を今日中にギルドの受付の方にお渡しして依頼を受注しておいてください。出発は明日ですので、明日の朝に この屋敷に再びお越しください」


「わかりました。今日のところは失礼します」


 俺達は屋敷を出てギルドへと向かい依頼を受注し、宿屋へと帰った。

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