第7話
アリアは学園で全く相手にされなくなった。これまで一緒に行動していたフラリア侯爵令嬢でさえ、アリアが側に寄るのを嫌がった。
「近寄らないでくれる?貧乏臭が移ってしまうわ、ああ嫌だ」
対してトピアにはピノナノ様より十分すぎるほどの物資による支援もあり、試験の上位常連者となっていた。
「あのね、気の早い話なんだけど聞いてくれるかしら?」
「ピノナノ様の話ならば何なりと」
「騎士科のセイン=ピアーノ伯爵令息と婚約したらどうかな~?なんて思っているのよね。ああ、セイン伯爵令息の為人なら殿下のお墨付きよ。私はね、トピアに私の侍女をしてほしいのよ。教養とかはバッチリなんだけど、どうにも家柄が……」
わかります。あんな破天荒な義姉がいたような家はちょっと……となるのが普通です。
「でもでもっ、トピアがピアーノ伯爵夫人になれば話は変わるのよ!」
私が伯爵夫人?貧乏子爵で細々と暮らしていたというのに、伯爵夫人……。
「私で良ければ、セイン=ピアーノ伯爵令息様が私をどう思うかわかりませんし。私で良ければピノナノ様の侍女をやらせていただきたく思います。あ、このことについても伯爵令息様がどのように考えているのかわかりませんよ?」
「トピアにセイン=ピアーノ伯爵令息を薦めているのって殿下なのよ~。私が後々トピアを侍女にしたいっていうのを考えてくれて。セイン=ピアーノ伯爵令息なら人格に問題がなく推薦できるってトピアにどうだろう?って」
これはつまり……次期国王による王命じゃないですかー?
「とにかくお会いしますね。その後の事はわかりません!」
とりあえず断言をしておいた。
殿下はピノナノ様に甘々でお二人はラブラブだなぁ。
そっかぁ、私は子爵家だもんなぁ。
それを考えると王太子妃の侍女になれるような身分じゃないのか…。そこで、伯爵令息との婚約ってわけか。さすがは殿下。愛するピノナノ様のためだもの考えたわね。
私が‘伯爵夫人’という立場になれば王太子妃の侍女でも不思議はないだろうと。大抵王太子妃の侍女って侯爵家の令嬢だったりするけど……。
―――フラリア様は論外だし。侍女なんかになったら、仕えるどころか逆になんかいろいろ妨害工作しそう。
セイン=ピアーノ伯爵令息と婚約という運びになったとしても、伯爵令息が妻は働かないものだ!って主義の方だったら私は侍女ができないわ。
難しいのねぇ。
噂で聞いた、あのトピアが騎士科のセイン=ピアーノ伯爵令息と婚約するかもってらしい。本当になんで私ばっかり不幸な目に遭わなきゃならないのよ!
騎士科かぁ。うーん、トピアのフリをしてセイン=ピアーノ伯爵令息と対面してしまおうかしら?向こうは私の姿を知らないわけだし、伯爵令息ってちょっと爵位が私の理想よりも低いけど今のところ、何も戦果がないしその手でいきましょう!
トピアちゃんは幸せになりそうな感じですね!アリアは…知りません!




