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13 作ったら 呼びに行こうね 精霊王(字余り)②


「家族……か」

 アルベールさんを見送った後、リビングのソファーに座ってぼんやりする。

 僕の家族は父と母、それから弟だ。僕を含めて四人で住んでいて、親戚はまた別にいる。

 父は寡黙で真面目な人で、母は朗らかでやさしい人。弟はツンツンしているけど、家族思いのやさしい子だ。

 家族仲は良かったし、親戚間の仲も良い方だと思う。

 僕が学校で友達が出来ないことにも、勿論家族は気付いていた。その上で腫れ物に触るような扱いはしなかったし、学校に何かを言うこともなかった。

 もっとひどい精神的苦痛や、暴力沙汰などになればまた対応は違っていただろうけど、たまに思い出したように何かを言われて、あとはほとんど何もない。それだけのこと、と言ってしまえばそうだろうし、それに騒ぎ立てたら状況は悪化したんじゃないかなとも思う。

 学校のことは僕はどうでもよくなったし、家族とは仲が良かったから、それでいいと思っていた。

 あれだけ良くしてくれた家族に、僕は何も返せていないんだな、と考える。異世界まで来ることになって。こんな僕でも誰かの役に立てたなら、少しでも家族は誇らしく思ってくれるだろうか。

 ……いや。きっと僕が何も出来なくても、当たり前のように受け入れてくれるんだろうな……。


「イヅルー!」


「うわっ!?」

 精霊さんの突進である。

 顔面にびたーんとぶち当たった。地味に痛い。そして心の底からびっくりした。


「あそんでー」

「あそんでくださいな」

「散歩いこー」

「あっでもおやつも捨てがたーい」

「捨てがたし」

「おやつー」


 僕のまわりをぴょんぴょん飛びながらのアピール。精霊さんを見ていると、つい笑顔になる。アピール上手だね。

「ホットケーキでも焼こうか?」


「ほっとけぇき」

「やいてー!」

「たべるー」

「ホットケーキ」

「あまいやつ」

「たべたいよー」


 精霊さんがわちゃわちゃ集まってはしゃぎだす。

 今日もとても元気で可愛いな。

 すぐ出来るおやつ、ということでホットケーキを提案したけど、どうやら精霊さんの琴線に触れたらしい。すごい喜びようだ。


 この異世界にはなんと、ホットケーキミックスが普通に売っている。

 なのであちらの世界と同じく、材料を混ぜて焼くだけの簡単仕様だ。

 ホットケーキはそのまま材料を混ぜて焼いても美味しい。けれど僕は卵を黄身と卵白にわけて、卵白を泡立ててふわふわにした状態で混ぜて作ったホットケーキが一番好きだ。

 卵白を泡立てるのは手間だし、最後に合わせる時も多少のコツは要るけど、出来上がりのホットケーキのふわふわ感は最高だ。腕が疲れても次も卵白は泡立ててから混ぜよう、と毎回思う。

 ある程度ふわふわにするなら、マヨネーズを少しだけ混ぜて焼くとそれでもだいぶふわっとするし、腕に関してはとても楽だけど、最高のふわふわ感を求めるのならやっぱりこちらだ。

 ついでに焼く時は油ではなく、バター派である。カロリーとかは気にしてはいけない。

 表面にぷくぷくと泡が出て、こんがり片面が焼けたらひっくり返してもうしばらく。

 すぐ出来て、美味しい。最高だよね。そして焼きたてはもうそれだけで何よりも美味しい。

「熱いから、気を付けて食べてね。バターはのせる?」

 ほかほかの湯気を出すホットケーキ第一号をお皿に乗せて、精霊さんに問い掛ける。精霊さんたちはきらきらとした目で出来たてのホットケーキを見つめている。


「おいしそう」

「バターいる!」

「のせてー」

「そのままたべるー」

「いただく!いただく!」

「いただきまぁす」


 精霊さんの好みがわかれていらっしゃる。

 次のホットケーキを焼いている間に、焼き上がったホットケーキをさっくりと切って、半分だけバターをのせる。


「あつーい」

「けどうま!」

「ふかふか」

「ほかほかー」

「うまうまです」


 美味しそうな匂いもするし、焼きたての魅力は半端ないよね。わかる。二枚目が焼けたら僕も半分食べよう。

 メープルシロップもあれば尚良かったのかもしれないけど、普段あまり使うことがないから常備していない。

 でもこんなに喜んでホットケーキを食べてくれるなら、今度買ってきておこうかな。



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