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10 透明な傷を塞いで④


 よく考えてみれば、召喚されたあの国から隣国の辺境の街まで女の子の二人旅。しかも柚さんは細工師だから、戦闘能力はないと思っていいだろう。

 とすると、必然まどかさんが戦闘向きのスキルだった、ということになるよね。そこまで深く考えなかったけど。

 確かに暗殺者なら、柚さんを守りながらここまで来れるだろう。

 しかし滞在許可的には……どうだろう……。

「許可取りに行く時、一緒に行こうか……?」

 最早確証もなく大丈夫とは言えず、その提案をするので僕には精一杯だった。

「ほんと!?助かる!」

 ぱあっとまどかさんの表情が明るくなる。

 暗殺者として仕事をする気とかがなければ大丈夫じゃないかな、と思いたい。


 くいくい、と服の袖を引っ張られる。

 何だこの可愛い生きものは。アイネだ。

 嬉しそうに口元には笑みを浮かべていて、興奮しているのか頰も赤らんでいる。

「イヅル、魔石のアクセサリーの細工、柚にお願いしたの」

「そうなんだ」

「うん!」

 おお、随分話が進んだな。そしてものすごく嬉しそうでこっちまで嬉しくなる。余程、柚さんの細工が気に入ったみたいだ。

「あのね、ペンダントにしたいって思ってたんだけど落としたら困るって話したら、革紐に落下防止の付与魔法が出来るんだって。柚はすごいのよ」

「い、異世界人のチートでね……大した能力は付与出来ないけど」

 テンション高く褒めちぎるアイネに対して、柚さんは恥ずかしそうに俯いている。けれど恥ずかしいというだけで、嫌ではなさそうだ。

 こんなに純粋にべた褒めされたら、それはもう嬉しいよね。

 でも落下防止の付与魔法がついたペンダントってものすごく良いと思う。紐が切れて失くしたり、そういうことがないわけだ。尚更アイネのように魔石に必要な魔法を入れている場合、落下しないというのは大きな利点だ。

 柚さんは自分が作ったアクセサリーに、他にもちょっとしたお守り機能だとか、ちょっと幸運になる感じとか、そういうささやかな効果を付与出来るらしい。

 すごいし便利だ。




 その後滞在許可証の件を四人で確認に行くと、やっぱり流石に暗殺者のスキル持ちではあっさりと長期滞在許可を出すわけにはいかず、即日領主様と面談になった。

 僕のように大したスキルもないと思われていれば監視付きで自由に、おいおい面談、という形を取れたのだろうけど。

 マルシェの時の数日くらいなら前科持ちでなければわりとスムーズに許可は出るけど、長期の場合は結構しっかりめに調べられるようだ。


 結果、柚さんとまどかさんは辺境の街に滞在の間、領主様邸に住むことになった。

 二人とも領主様と魔法契約を結んで、柚さんは細工師として、まどかさんは使用人として働くことを条件に滞在する。ちなみに使用人というのは、メイドさんの格好をしながら護衛をするやつだ。

 実写版戦うメイドのクラスメイト……なんと申し上げたらいいものか……。

 それに関してはまどかさん本人より、柚さんの方が過剰に反応していたような感じがした。戦うメイドはかっこいいしね。それはわかる。あと領主様邸のメイド服は、クラシカルでとても良い。

 ともかく、領主様は慧眼のスキルがあるから、ひとまず二人は信用されたということだろう。魔法契約といっても、縛りは随分緩いものだった。ざっくり言えば犯罪は駄目だけど、普通に過ごす分にはそこそこ働いてくれれば大丈夫、といった感じかな。もっとちゃんとした文面の契約だったけど。

 暗殺者という物騒なスキルだって、要は使いようだ。使う人によって、スキルの活かされ方は変わる。

 気配の遮断や察知が上手い暗殺者は守ることにも長けているだろうし、僕の持つ錬金術だってやろうと思えば毒も作れる。

 まどかさんは戦闘向きのスキルだったから、勇者や聖女たちと一緒に良い待遇を受けることが出来て、旅立つことも出来たはずなのに、それをしないで柚さんと一緒にいることを選んだ。

 それのみで判断することではないかもしれないけど、暗殺者というスキルを悪いことには使わないんじゃないかなと思う。



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