聖女、ステータスが上昇する
木吉小乃夜
Lv.5
HP:879
MP:901
DP:841
スキル:
【絶対温泉感覚(略して絶対温感)】
【急速疲労回復】
【空腹回復】
【ステータス異常回復】
【源泉探知】
【温泉掘削】
この世界にはステータス値まであるのか――。
私が感心していると、ハイゼンが愕然と呟いた。
「レベル5なのになんというステータス値だ……! 本当にあの湯は一体何なのだ?」
「へへん、凄いでしょ? これが温泉療法だよ」
「温泉療法……?」
ハイゼンが目を点にして言う。
私は得意げに解説した。
「主に温泉の効能は3つ、治療、保養、療養。私のいた国ではこれら3つを温泉で行うことを湯治という」
「湯治」
そう、木吉小乃夜はただの温泉好きではない。
温泉の効能や歴史についても詳しいのだ、凄いだろ。
「長期間宿に泊まって、温泉に浸かりながら療養するの。特に外科や皮膚科は温泉伝いに病院が建てられる場合も多いぐらいよ」
「馬鹿な。湯に浸かるだけで怪我が癒えるはずが――」
「ただの湯じゃない。温泉よ」
私は訂正しながら言った。
「腹痛の時にカイロでお腹を温めたりするでしょう? アレと同じ。血管が拡張することで疲労回復が見込めるし、ストレス発散にもなる。汗もかくから、汗と一緒に老廃物を流して体内から毒素を出すデトックス効果もあるのよ」
そう言うと、ハイゼンが大きく頷いた。
「まぁ確かに、そのような療法はこの世界にもあることはあるな」
「やっぱりね。それを地熱や温泉の熱でやれば同じこと、しかも湯の中の温泉成分もあるから、それより高い効果が期待できるってわけ」
「ふーむ……湯治、とはな。我々の世界には存在しない発想だな」
ハイゼンは感心したように唸った。
コイツ、ただの鬱陶しい男だと思っていたが、見た目通り向学心は高いらしい。
ハイゼンはひとしきり唸った後、私を見て余計なことを言った。
「なるほど、なかなか感心したぞコノヨ。お前、ただの無能な年増女かと思って侮っていたが――そうでもないようだな」
「死ねぇ!」と、私はまたハンドバッグを振り回した。
あだだ! とハイゼンが身を捩った、その時だった。
「お、おい、そこの君たち……」
低い声で私を呼び止める声に、私は第二撃を踏みとどまった。
森の奥から誰かがやってきていた。
「面白そう!」
「続きが気になる!」
「温泉行きたい!」
「しょっぱいナトリウム泉が最高!」
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