聖女、温泉に浸かる
「コノヨ……おっ、おいコノヨどうした!? 感電してるのか!?」
ハイゼンが慌てて振り返り、恍惚の表情で痙攣する私を見た。
「これはヤバイ……さ、最高……!」
二の腕をさすり、すっかりパンパンに張ったふくらはぎを揉み解す。
ぎゅっぎゅっと力を込めるたびに、全身の疲労物質が勢いよく流れていく。
底に厚く溜まった泥を身体にこすりつけると、ガサガサになっていた肌がしっとりと潤されていく。
恍惚の表情を浮かべる私を見て、ハイゼンの顔が驚愕から疑いに変化した。
「お、おいコノヨ、な、何をしてる……?」
「何って、温泉に浸かってるんですけど」
「だからそのオンセンとは一体何なのだ!?」
「入ってみればわかるよ。私みたいに」
そう言うと、ハイゼンがちょっと憮然とした表情で言った。
「ば、馬鹿な! こんな不潔な野水に浸かる!? しかも女とか! ぶっ、文明人のやることではない!」
「あらそう。なら勝手におし。あー気持ちいいなぁ~! 最高だなぁ~! 浸かれない人は可哀想だなぁ~!」
私が言うと、ぐぬぬ……とハイゼンが悔しそうに私を見た。
この男は言っても聞かないだろうからこのように見せびらかすのが一番いい。
それに、ハイゼンが結局温泉に浸かろうと浸かるまいとどうでもいいことだ。
フンフンと私が鼻歌混じりで湯を堪能していると、再び目の前にステータスウインドウが踊り、私はおやと目を見開いた。
《【絶対温感】のスキルにより、HP最大値がアップしました》
《【絶対温感】のスキルにより、MP最大値がアップしました》
《【絶対温感】のスキルにより、DP最大値がアップしました》
《【絶対温感】のスキルにより、温泉から【特殊スキル取得】を獲得しました》
ハイゼンがぎょっとそれを見た。
私たち二人が見ている目の前で、ステータスウインドウは次々と現れた。
《【絶対温感】のスキルにより、温泉から【急速疲労回復】を獲得しました》
《【絶対温感】のスキルにより、温泉から【空腹回復】を獲得しました》
《【絶対温感】のスキルにより、温泉から【ステータス異常回復】を獲得しました》
《【絶対温感】のスキルにより、温泉から【源泉探知】を獲得しました》
《【絶対温感】のスキルにより、温泉から【温泉掘削】を獲得しました》
「源泉探知……? 温泉掘削……?」
なんだか、温泉に関する能力が次々とアップしていってるらしい。
この【絶対温感】のスキルは、温泉に浸かるとステータスがアップするというのか。
「面白そう!」
「続きが気になる!」
「温泉行きたい!」
「風呂の後にガッツリ揉みほぐされたい!」
そう思って頂けましたら【★★★★★】で評価お願いします。
何卒よろしくお願い致します。




