聖女、異世界に召喚される
いやホントその節はすみませんでした。
大幅ブラッシュアップしましたのでまたお願いします。
私はその名を木吉小乃夜という。
12月24日深夜生まれの、バリバリのクリスマスっ子の、二十七歳のOLであった。
ある日の仕事帰り、私は「聖女召喚の儀」とかいう儀式で、異世界に呼び出された。
「え? え?」
瞬きしている間に、急に風景が変わった気がした。
私はあたふたと辺りを見回した。
足元を見ると光り輝く魔法陣がある。
そしてその魔法陣を取り囲んでいる、ローブ姿の男たち。
状況を飲み込めず、私は周囲を見渡した途端、男たちがざわっと動いた。
「せ……成功した! 《シジルの聖女》の召喚に成功したぞ!」
わあっ! と異教徒のような格好をした男たちに一斉に騒がれ、私はきょろきょろと辺りを見回した。
どこだここは?
私は目を見開いた。
まず、天井が高い。
巨大な石造りのアーチは、巨大なステンドグラスの光に色とりどりに照らされている。
ここは教会かどこかだろうか。
いつの間につれてこられたんだろうか。
ワイワイと抱き合ったり、握手し合ったりしている男たちに、私は思わず叫んだ。
「なっ……なんですかコレ!? 何のドッキリですか!?」
私が叫ぶと、男たちが顔を見合わせた。
「ちょ……どこのテレビですか!? あの、私あんまりそういうドッキリとかいいんで! 碌なリアクションとかできないんで! あの、帰してもらっていいですか!?」
帰宅途中のスーツにハンドバッグ姿のまま、光り輝く魔法陣の中でキョドりつつ、『ドッキリ』と連呼している私。
思えばそれはとても間抜けな姿だっただろう。
「嗚呼、《シジルの聖女》様、お待ちしておりました! どうぞこちらへ!」
そう言って、一際背の低いローブが私に近づいてきた。
ひぃ、と私が座ったまま後ずさると、ローブの男ははっと何かに気づいたように立ち止まった。
「あ、ああ! このローブのままでは顔が見えませんね。私はこの王国の王宮付き召喚師、ハイゼン・アシュクロフトと申します!」
そう言ってローブを脱いだ男を見て、私ははっと息を呑んだ。
思わず見惚れる、理知的な美貌だった。
ぱらりと切りそろえられた亜麻色の髪。
理知的な眼鏡と、その下の翡翠色の瞳。
わぁ、と声を上げたくなるような美青年だ。
ハイゼン、と名乗ったその美青年は、興奮したように私に歩み寄ってきた。
「戸惑いはもっともでありましょう、シジルの聖女よ! ですが貴方様を召喚したのは他でもございません、どうぞ戦乱と流血に苦しむ我が国を、その聖なる力で――!」
眼鏡の青年が私の手を取った。
その瞬間、はっと、青年が私の顔を見た。
そして――愕然と呟いた。
「――ない」
「はい?」
「え、あ、あなた様、どうして魔力が一滴もないのですか……?」
「面白そう!」
「続きが気になる!」
「温泉行きたい!」
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