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何も残らない部屋

作者: 紅・ロエム

こんにちは!

初めてホラー系を書きました。

やっぱりサイコパスは難しいです。

 あれは十年ほど前の話だ。

 私と朝日七海、中本優希。 この三人は小中高と同じで家が近所という縁もありとても仲良くしていた。

 平日も休日飽きず、毎日のように夜遅くまで通話して仲良く遅刻した事も多々あった。

 この三人は仲良しだ。

…だが、高校入学のその日、私は一目惚れをした。

 それは陸上推薦でこの高校に入学したイケメン運動部系男子だったのだ。

 私は入学してから数日間、完全にあのイケメンに心を奪われていた。

 ぼーっとしていて勉強に身が入らずに小テストなどで過去最低点数を取るようにもなってきていた。



―――悩んでいた時、ついに私は七海と優希にあのイケメンに一目惚れしたということを話すことにしたのだ。「…あのさ、私…好きな人が居るんだ…」というと二人の食いつきはすごかった。 それもそのはず、夜の通話ではいつものように恋バナをしていたのだから。 二人から「誰なの!?」や「イケメン!?」と質問攻めがすごかったが、一旦落ち着いて、というとムズムズした笑みで黙った。

そして私は顔を真っ赤にしながら「陸上部の優也君!!」と大声で言う。

すると優希はキャーッと叫び、気分が最高潮になっていた。そして七海は「そうなんだぁ…」となにか残念そうな顔をしていた。

 私はその時、「彼は七海にとってイケメンじゃないのかな…?」とだけとしか思っていなかった。



―――そして次の日、私は学校に行くと七海から嫌がらせ受けていた。

 スリッパに大量の画鋲が詰められ、机の中にもテープで貼られた画鋲が仕掛けられていた。

 七海の犯行は朝練終わりで教室に向かっていた同じクラスの男子が見ていたらしい。

 朝練がない七海が何も言わずに先に行くのはおかしいと思っていたがまさかそんなに理由だったとは。

 私は悲しかった。

 私は疑問を抱いた。

 私は不安に感じた。

 私は憎しみを覚えた。


 私と七海、優希の仲良しグループは解散された。




 それから数ヶ月後、七海からの嫌がらせは完全に無くなった。 というか七海は学校から姿を消した。

「夢乃さん。帰りましょうぜ」

「なによその口調は…ふふっ…」

 優希は相変わらずおもしろい人だ。

「あ、コンビニ寄っていい?」

 今日もまた漫画を買っていくのだろう。

「相変わらず漫画を好きなのね」

 そんな日常会話が続いていた時、最悪は起きた。

「死ねぇぇぇっっ!!」

「うっ…!?」

「夢乃!? ……七海!?」

 私の腰からはなんとも表現の難しい痛みが走り、暖かい液体が下半身に流れる。

「おい! 何やってんだよ!!」

 優希は血相を変えて七海を投げ飛ばし、刺さっているナイフを私の腰からは抜いた。

「あぁ…! ち、血が…!!」

 焦って雑に抜いたせいで傷口がさらに広がり、血が地面を染めている。

「だ、誰か…!!」

 優希は助けを求めるために叫んでいると、倒れていた七海は起き上がり、ポッケの中から小型のナイフを取り出した。

「痛い…痛い…痛い痛い痛い…」

 私の声はだんだんと小さくなっていった。

「今度こそっっ…!」

「何してるんだ朝日!!」

 駆けつけてくれた先生が七海を押し倒し、乗りかかり取り押さえてくれた。

「くっ…! 死ねぇぇ!!」

「うっ…!?」

 私の太ももにまた大きな激痛が走る。

「何してるんだ!」

 焦った先生は七海の手を完全に押さえて身動きの取れないようにする。

「お前が悪いんだ! お前が優也くんを好きって言うから…! 私には勝ち目がないのに…!!」

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い…」

 七海の涙ながらの訴えは私の耳に少しだけ入ってきていた。だがはっきりと聞く余裕はない。

「お前の…! お前のせいだ!!」

 そうして七海は駆けつけた警察に連行されていった。



――数日後、七海は退学処分を受けて…死んだ。

発見は隣アパートに住んでいた住人が異臭に気づいて通報をしたらしい。

 死亡日の十月十六日には一晩中七海の部屋からなにか騒がしい声が聞こえていたらしい。

 そしてその死因はなんとも残酷なものだった。

 親が海外出張中で一人暮らしをしていた七海は強盗に入られて…殺されたと警察が話していた。

 綺麗な爪は全て剥がれて髪の毛も全て引き抜かれていた。 そして腹には数十箇所の刺傷があり、指には火傷の跡が痛々しくあった。

…七海に刺された私は命に別状はなくとも多少の障害が残った。

 足が痺れで動かなくなり日常生活が不便なものになった。

 でも数ヶ月経つと優希との日常は回復していた。




―――十年後

「七海…」

 時計の針が零時を過ぎた頃、私は七海の住んでいたアパートの前に立っていた。

「お邪魔します…」

 アパートには鍵がかかっていなかったらしく、普通に入ることが出来た。 やっていることは不法侵入で犯罪だがバレなければいいだろう。

「…今日で十年だね…七海…」

 私はそう言って部屋の隅に黄色の薔薇を添えた。

 添えた場所は去年も同じで真っ黒な薔薇の花びらがシワシワになって散っていた。

「…人ってすぐに死んでしまうんだね…。 もう少し遊びたかったよ…」

 私はそう言いながら薔薇を眺めていた。

 この部屋にいると不思議と七海の声、顔、綺麗な髪の毛の一本一本が鮮明に思い出される。

「あの時は楽しかったな〜…」

 そうぽつりの呟いていると一部だけ不自然に変色した壁が目に入った。

「なんだろう…」

 そう言って壁をコンコンっと叩いてみるとバラバラっと壊れた。

「これって…」

 この壁の中には何かがあると察した私は暗闇に包まれた穴に手を突っ込む。 そして手探りに動かしていると指先に何かが当たった。 それを掴み外に出すと現したのはボイスレコーダーだった。

「これは確か…三人で十年後に聞こうって言って隠しておいたタイムカプセルみたいなのだっけ…?」

 だんだんと思い出される。 このボイスレコーダーは起動するだろうか。

 三人で聞こうと約束したのに一人で聞いてしまうのは少し気が引けるが今は好奇心だ。

 私は服を全て脱いで再生ボタンを押す。

 少し再生処理に時間がかかったが、少し経つと音が聞こえるようになった。

「やめてっっ!! 痛い痛いっっ! もう嫌ァァ!!」

「親指の爪もいこっか?」

「ひぃぃぃっっ!!」

 そんな苦痛と最悪を感じさせる録音データ。

「ふひっっ…」

 私は録音データを再生しながら暴走しだした性欲を処理し始めた。

「やっぱり悲鳴って最っっ高…!!」

 指が止まらない止まらない止まらない。でも足りない。声だけじゃ物足りない。

「血が欲しい…」

 そんな事を呟きながら畳を汚していると誰も来ないはずの部屋の扉が開かれる。

 夢乃は録音データに夢中で誰かが入ってきた事に気づいていない。

「…この音は…録音データ? ……まさか…!!」

「あぁぁっ! やばい…気持ちいい……?…何の音かし…ら…」

 足音が聞こえて振り返ると私の意識は頭の激痛と共に消えていった。




「2009年 十月十六日に起こったアパート女子高生強盗事件の犯人が十年の時を経てようやく見つかり逮捕されました。 犯人の名前は中本優希、前川夢乃の二人です。なお前川被疑者は十月十六日に服を全て剥がれたまま死体の状態で発見され…」

読んでくださりありがとうございます!

これからも頑張っていきます!!

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