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女神と始めるJKライフ! ~卒業式で死んだら美少女にされました~  作者: 橋本 泪
第一章 入学準備はお早めに
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第五話[2] ホラー映画は苦手です

数日後……




ここ数日女神は部屋に引きこもっていた。


ちょくちょく出てきては俺がコンビニで買ってきた食い物を食い荒らし、自室でカタカタやっている。


その間俺はブランド服をパジャマに、テレビでジャングルプライムビデオを満喫していた。


「もう十二時か。ザ・心理学者面白すぎるだろ」


アメリカの人気ドラマシリーズ『ザ・心理学者』。


心理学者の主人公が殺された家族の敵を討つため、警察官と協力して事件を解決していく。


シーズン7まであるのだが、俺はこの数日でシーズン4に突入してしまった。


1シーズン24話と考えるととんでもない廃人ぶりである。


心なしか少し腹が出てきた気がする。


いや、気のせいか。


今回も独自の切り口で事件を解決していく主人公。


「ん?」


事件解決の大事なシーン、突如としてテレビの画面に砂嵐が映し出された。


「このご時世に砂嵐? 地デジで?」


コードをつなぎなおしたり、どこかのママよろしく約六十度の角度で殴ってみたりしても変化はなし。


ジジッ、ジジッ。


嫌な音がしたかと思うとテレビ画面には井戸が映し出された。


まじかよ、これまさか。


嫌な予感というのは的中するもので、井戸からゆっくりと髪の長い女が出てきた。


そしてゆーっくりとこちらに向かってくる。


やばいやばいやばい。


死ぬ、俺また死ぬ!


俺はビビりすぎてしりもちをついてしまった。


立ち上がろうにも腰が抜けて動かない。


しょうがないよね、女の子だもん!


そんなことを考えてる間にも女はこちらに迫ってくる。


もうだめだ。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


『テッテレー!』


「……は?」


古臭い効果音がしたかと思うと、テレビの中の女がプラカードを持っていた。


そこには『灵美』の文字が。


「なんじゃこれ?」


「じゃんじゃじゃーん!」


階段の方から女神が僕の前に早足で現れ、両手をいっぱいに広げてにっこりしている。


歯こそ見せていないが、内からあふれ出す喜びは異常な口角の上がり方に現れているが。


あとそのTシャツの着方、下何も履いてなさそうに見えるやつ。


童貞には刺激が強いからやめてくれ。


「どうですどうです、この名前!」


これ名前だったのかよ、ていうか。


「それよりこの演出はなんだ!」


「日本名物髪の長い白い服の女ドッキリです。びっくりし……てますね! あはははは!」


彼女は僕を指さしながら腹を抱えて笑っている。


ちくしょう、ぶん殴りたい。


でも動けません、なぜなら腰が抜けているから。


「これなんて読むんだ? ひみ?」


彼女は前かがみになり、体の前で大きくばってんを作った。


「ぶっぶー。せーかいはレビでしたー!」


ウザったらしい仕草はとりあえず置いといて、思ったよりシンプルな名前だな。


キラキラネームには違いないが。


「灵は神秘的な力を表しています。美は言わずもがな。日本ではなかなかお目にかかれない名前、つまり孤高。唯一無二で神々しく、美しい私にぴったりの名前だと思いませんか、ええそうでしょう!」


なんもいってねーよ。


「この世界の愚民どもが造った空想のキャラクターの名前は使わないって言ってたよな。レビって聖書に出て……」


「関係ありません。それにあれは聖人です。神とはまた違います」


「はいすいません」


自慢げに腕を組み、鼻高々の彼女。


まあ頑張ったみたいだし今回は素直に褒めとくか。


「いいんじゃないか、結構似合ってるぞ」


「そうでしょうそうでしょう。あなたのような俗物にもこの美しさを理解させてしまう私のセンス……。ああ神よ、なぜあなたは私に二物も三物も与え賜うたのですか。あっ、神は私だった! てへぺろりぽっぷ」


何なんだよこいつのウザさは。


天井知らずだよ、天上人だけに。


てへぺろぼこっぷ。


もううかつに褒めるのやめよう。


「で、苗字はどうするんだ」


「苗字?」


首をかしげる女神、いやレビ。


「知ってるだろ、家系を表す方の名前だよ。日本人だと名前の前につけるんだ。ほら、俺だとオウシキ」


彼女はテーブルに腰かけ、置いてあったポテチを開封して一言。


「じゃあ鈴木で」


えー、飽きてんじゃーん。

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