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女神と始めるJKライフ! ~卒業式で死んだら美少女にされました~  作者: 橋本 泪
第二章 青浜高校には女神がいます
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第三十五話[1] 八方美人って聞くと八宝菜が思い浮かぶ

「えっ!? 外出した時駅とかで入ってくる謎のWi-FiがだるくてWi-Fiを切っておいたのを家に帰って動画見てた時に気付いて絶望した!?」


「レビさん違うよ?」


何言ってんの急に。


前回の最後でシリアスムーブしてただろ。


なんで急にあるあるネタぶち込んでんだよ。


てか自動でWi-Fi接続してくれる機能あったような。


「えっ!? ジンジャーエールのこと執拗にジンジャエールっていう奴がウザすぎて困ってる!?」


「違うよ?」


困ってないよ?


言わせといてやれよ。


どっちでも伝わるだろ。


確かジンジャーが正式だった気がするけどね。


知らんけど。


大阪の人ってすごい知らんけどって言わない?


知らんけど。


「えっ!? ソフトパンク強すぎ!?」


「違う」


全然違うけどそれはそうよ?


だめだよあんな強いの。


ここ数年で何回優勝してんのよ。


今年なんてバレンタインもってきちゃったんだから。


一から九番までクリーンナップにしたいの?


ほら杏子も鶴井さんも苦笑いだから。


ここ最近おとなしかった分、暴れすぎだから。


……。


おとなしくなかったわ。


強引にでも俺が話を戻すしかない。


レビの顔を見る限り、次のえっ!?の準備してるし。


「私たちに音楽祭のまとめ役をやってほしいってことでいいのかな?」


鶴瀬さんはこくりと頷く。


「まとめ役が厳しかったらちょっと注意してくれるだけでも全然いいの。うちのクラスって露骨に不真面目だったりふざけて練習を妨害してきたりはしないけど、練習を適当に流してまじめにやったって顔する人多いじゃん?」


確かにその通りだ。


現に俺がそうだし、それが悪いともあまり思わない。


「いっそ男子がふざけまくって女子がキレるみたいな、分かりやすい衝突があれば前に進めると思うんだけどそうもいかない。先生もノータッチだし」


松原先生すいちょくはそうだろうな。


顔からあふれ出る放任主義感。


ていうか普通に行事だるいとか思ってそう。


「ピアノの韮崎君も指揮者のも優ちゃんもそういうタイプじゃないし、音楽祭実行委員も……」


「ツルイが言えばいいんじゃないですか?」


あーあ。


「……私にそんな影響力ないから、あはは。三人はクラスでも目立つタイプだし」


俺も?


は? そんなことねーし?


は? 嬉しくねーし?


ほんとに目立ってないけどね。


隣の女がうるさいだけで。


「ツルイはオウシキと違ってコミュ力もありますし、オウシキと違って人脈も広いじゃないですよね」


「俺をサゲる必要あった?」


事実陳列罪でブタ箱にぶち込むぞ。


「で、でも」


「いいですよ。嫌われ役はやりたくないと言ってくれれば」


「め、女神ちゃん、そんな言い方は……」


「うん? 違うんですか?」


「いや、その……」


さすがの鶴井さんもこれにはたじたじだ。


彼女はレビに八方美人と揶揄されるほどにはコミュニケーションに優れているのだが、ここまで素直な言い方で攻撃されるとは思わなかったのだろう。


「あ、責められてると思ってます? 違いますよ。入学式でも言ったように私たちは困った人を放っておいたりはしません」


私たち……、だと……?


「嫌われたくないというのも人間の一般的感情です。当然ですよ、敵意を向けられるより好かれた方が単純に気持ちがいい。ツルイはそういう風に生きてきたのだろうし、それも間違いではありませんから。何なら立派な生き方ですよ」


その通りだよ。


俺の前世見る?


泣くよ?


「しかしあなたからはそんな性格を変えたいというオーラがユンユン出ているのです」


そんなパンダみたいな擬音ある?


「でも、そんな簡単には……」


「別に今回失敗しても大丈夫です。あなたは今まで通り生きていけばいいですから。さっき言ったようにツルイの今の生き方は別に間違いじゃないのです。友人もいますよね」


「う、うん」


「異性の友達も」


「うん」


「好きな子なんかもいちゃったりですか?」


「へへ、気になるくらいなら」


さっきまで沈んでいた鶴井さんの表情が一気に明るくなった。


さすがに女神、この辺はお手の物なのかもしれない。


「オウシキを見てください! この顔面、このスタイルで友人は私とイリヤマだけ! まともに話せる男子はアズマリアンだけ! 浮いた話はゼロ! 何こいつ!」


「わざとだから。孤高の美女気取ってんだよ、こっちは!」


気取ってるって言っちゃったよ。


嘘バレ乙myself。


「ふふっ」


鶴井おい、なにわろてんねん。


「つーかレビも同じようなもんだろ」


「私は顔も広いし友達も多いです」


「浮いた話はどうした」


「はい浮きました」


「やめろ。物理的に浮くな」


「うわっ、女神ちゃんそれどうやってんの」


「すごーい!」


当たり前のように力を見せていくスタイル。


マジックかなんかだと思われているのだろう。


俺でもそう思う。


「そうですね。せっかくおいしい状況が目の前にあるのだから、ツルイがはっきりモノを言えるように練習に使ってやりましょう」


そういって彼女はにやりと笑った。


その顔は女神というより完全に悪魔。


一体何をするのかわからないが、俺を巻き込むのはやめておくれ。


「これが台本です」


当たり前のように秒で台本を出すな。


当然のように四人に配るな。


……杏子もやるの?


「じゃあ各自セリフ覚えてくるよーに! 今日は解散!」


俺は台本をぺらぺらとめくる。


……なんだこれ、マジでやるのか?


女優・黄色楓の初舞台。カミングドーン。






……カミングスーン。


二人だけの秘密だよ?


なんつって。


……。


ごめんて。


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