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女神と始めるJKライフ! ~卒業式で死んだら美少女にされました~  作者: 橋本 泪
第一章 入学準備はお早めに
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第三話 ショッピングモールの本屋を七階に作るのやめろ

「これもいいなぁ。あ、これもいいですね。あ、こっちのやつもいいですね。確かセーターって言うんですよね、これ!」


現在、俺と女神さまは駅周辺のショッピングモールを散策しています。


(おそらく)初めての人間界、(おそらく)初めてのショッピング。


テンション上がりまくりの女神さまはうっきうきでショッピングを楽しんでいるわけです。


女神さまはおっとり系美人みたいな風貌をしており、はしゃいでいる様子を見ていると今までの暴言が嘘のように無邪気でかわいらしいのです。


でもね、女神様。


「女神様女神様」


「なんですか?」


「その服、一着で一万五千円とかしますよ。高校生じゃまず買えませんよ、せめて大学生になってからですよ」


「大丈夫ですよ、お金はいくらでもありますから」


「いや、それはそうっすけど……」


一体どうやっているのかは知らないが、、彼女は女神パワーで無限に金を生み出せるっぽい。


ある意味異世界無双である。


しかし、まずなぜ高校生になるための第一歩がブランド服買い漁りなんだ。


こんな服着ないと思うよ高校生。


というか俺ら年齢的にはまだ中三だよね、卒業式終わってないよね。


そんなガキンチョがこんな高い服着てたらいろいろと疑われちゃうよ。


「ほら、オウシキも見てみてくださいよ。これなんかどうですか、うわぁ、似合う似合う!」


「あ、ああ、うん、ありがと」


しかし彼女のキラキラした顔を見ると文句は言いづらい。


金は自分で出してるわけだし。


今度は隣の店のバッグに目を付けたようだ。


「じゃじゃーん、どうですこれ! 似合ってます?」


「あー、いいんじゃ」


「ですよね、知ってます」


なんで聞いたんだよ。


つーかそれさっきの服の八倍ぐらいすんぞ。


……はぁ、仕方ない。


「あの、言いづらいんですけど……」


彼女は首を傾げ、こちらに耳を近づける。


俺は耳に顔を近づけささやいた。


「そんな高いもん持ってたらよからぬことを疑われますよ、その……援交とか」


「援交?」


さらに小さい声で俺は続けた。


「若い女性が体を差し出してお金を得ることです」


ん?


んん?


女神様フリーズ。


目の前で手を振ってみても、肩をつんつんしてみても動かない。


「おーい」


顔を覗き込むと、彼女は真っ赤になっていた。


「そ、そ、そ、そういうことは先に行ってください!」


彼女は大きな声で怒鳴り、つかつかとどこかに行ってしまった。


普段は人間をごみとしか思っていないムスカ系クズのくせにエロはだめなのか。


かわいいとこあるんだな。


でもどうしよっかな。


一人で放置されちゃったよ。


あいついないと何も買えないし。


本屋でも行くか。






「あー、これだよこれ。山のような本、紙のにおい、そして誰もが他人を気にせず探し物に没頭する空間。最高だよ」


入り口には雑誌や新刊が並び、奥には漫画や学術書が並んでいる。


前者は客を中まで引き込むため、後者はニッチ産業で購買層が少ないためと、真逆の理由で似た配置場所になっているのが面白い。


試しにサッカー雑誌を手に取ってみる。


へ―、この選手移籍したのか。


ボッチのくせにスポーツ? と思ったかもしれない。


否! ボッチだからスポーツなのである!


インターネットが発達した今、スポーツは家で見れる時代になった。


WAOWAOしかりDEZNしかり。


深夜に一人でヤジを飛ばしながらユルネバを歌う、それが令和時代のスポーツ観戦である。


異論は許さない。


皆でスタジアム観戦とか許さない。


スポーツバーで代表ユニ着ながらなんて絶対に許さない。


しかしなんだろう。


やけに視線を感じるな。


チビデブがスポーツ雑誌読んでるのがそんなにおかしいか、あぁん?


つーかなんか視線がねっとりしてるな、気持ちわりぃ。


「あ、あのすいません。それ読み終わりました?」


「へ? ああ、どうぞ」


「ありがとうございます。珍しいですね、女子でサッカーお好きなんですね」


「えっ、あ、あーあ!」


そうだ。


今の俺は女の子なんだ。


しかも超絶美少女。


そりゃあ視線も集まるわけだ。


改めて顔面偏差値が高いというのはどういうことか理解させられた。


それに今、俺は女だってことをもっとしっかり意識しないと。


すぐにボロが出そうだ。


ボロが出ちゃいけない理由がよくわからんが、いちゃもんつけられて無間地獄行になったらシャレにならない。


……しかし、本屋でこんなに見られるとなるといったいどこに行けば。


ああ、一人になりたい。


早足で本屋を抜け出し近くにあったベンチに座り込んだ。


「ったく、あのバカ女神どこ行ったんだよ。もう帰りたいよ。ショッピングなんか向いてないよ」


スマホがないから連絡は取れない。


お金もないから帰れない。


これ、いきなりピンチじゃね?


その時、店内アナウンスが流れた。


ピンポンパンポーン。


『オウシキ カエデ様、オウシキ カエデ様、お連れの、くっ、ふっ、ふふっ、女神様がお待ちですぅ、ふふっ。至急二階サービスカウンターまで、おっ、お越しください』

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