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女神と始めるJKライフ! ~卒業式で死んだら美少女にされました~  作者: 橋本 泪
第二章 青浜高校には女神がいます
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第十六話[1] タガタメ

仙徳さんの頼みを聞いて、高校生らしい思い出を作るため奮闘(?)した俺たちだったが、レビの的外れなアイデアに振り回され、むしろ仙徳さんから自信を奪ってしまった。


彼女が無理して作った笑顔を見て俺は決意した。


『お友達を幸せにする』ために転生したんだ。


ここで「力になれなくてごめんね」なんて言ってるようじゃダメなんだ。


もうそんな顔はさせない。


「青春を、探しに行こう」


「くっさ」


「え?」


レビは片方の手で鼻をつまみ、片方の手で手をパタパタさせている。


「くっさくっさくっさー、何ですかそのセリフ。今時漫画でも言いませんよそんなこと。ただひたすらにキモい、ちょっとカッコつけていった当たりがさらにキモい。そしてそのセリフをかっこつけて言おうと決めた思考回路システムがキモい」


おいやめろ!


別にかっこいいと思ってないから!


ちょっと比喩ひゆ的に言っただけだから!


「完全に鳥肌北京ダックですよ、どうしてくれるんですか」


「い、いや、なんていうかその、ちょぴっと前世の回想とか入ったからカッコつけるならここかなって……」


「やっぱりかっこつけたんですね」


あ、バレた。


「笑ってますけどあなたもですよ、ホーニングさん」


「仙徳です。わ、私も?」


困惑する仙徳さん。


彼女なんかしてたっけな。


つーか建築金物呼び間違えしつけーな。


「あきらめるの早すぎますよ。相談してきといて何すぐ諦めてるんですか、まだ告白作戦しかやってませんから、一個だけですから」


「す、すいません!」


かわいそうに。


なんで怒られてんのかよくわかんないだろ。


一つ目の案で仙徳さんの信頼を失った俺らのミスだよ。


「それになんですか? 『そういう何気ない関係にあこがれてただけなのかも』って。意味不明なんですけど。何気ないって何ですか? あなたもポエマーですか、オウシキタイプですか。 ていうか私たちの何を知ってるんですか、今日初めて喋ったのに」


あーあーあーあー、言い方きついよ。


ほら、仙徳さん恥ずかしくて顔真っ赤だし、知ったかすんなみたいなことまで言うから涙目だし。


気にするタイプなんだから絶対。


……。


誰がポエマーだ!


「まあ待て、とにかく俺が言いたかったのはまだあきらめるのには早いという事だ」


「それ今私が言いましたけど」


「すいません」


「……あんなこと言うんですから、それなりの案があるんですよね」


「あ、ああ、そうそう」


高校生らしいことといえばやっぱりあれだろう。


「部活見学に行こう」


「部活?」


「ああ。同じものを愛する人たちが一つの場所に集い、同じ目的をもって懸命に努力し、時に衝突し、反省し、そしてより強固な絆を手に入れる。どうだ、ザ・青春だろう」


「……オウシキにしては悪くない意見ですね」


「経験者だからね」


高校生活の。


部活なんてやったことないけどね。


「仙徳さん、中学は部活入ってた?」


「うん、書道部だったよ」


気が付いたら仙徳さんはため口になっていた。


あーいいね、この感じ。


高校生っぽい、友達っぽい。


「書道続けないの?」


「せっかくの高校生活だし、違うこともやってみようかなって」


書道はいいものだ。


生涯活かせるスキルが身に着けるし、単純に芸事として素晴らしい。


だがまあ、青春目的で入る部活としてはちょっと違う気もする。


「そうと決まれば、早速行ってみましょう!」






「おーー! 女神ちゃん、かえで! それに仙徳さんも!」


そう言えば杏子はバスケ部だったな。


練習着、ふぅ。


「よおイリヤマ! 体験入部に来ましたよ!」


「マジ!? 一緒にバスケやろーよ!」


「うぇーーーーーい!」


「うぇーーーーーい!」


「杏子ちゃん、その子たち知り合い?」


「はい、友達です」


とも……だち。


あれ、おかしいな。


まだ何もしてないのに汗で前が。


「じゃあいろいろ教えてあげて!」


「はい! よし、じゃあまずストレッチから」






「そっち! 七番マーク!」


リバウンドを拾い、そのままドリブル。


目の前にはディフェンダー。


クロスオーバーからロールターン。


鮮やかなテクニックで相手を置き去りに。


味方は両サイドに一人ずつ。


ディフェンダーも同じ。


……そのまま正面突破だ。


いや。


「スリーだ! チェックしろ!」


ディフェンスが手を上げながら距離を詰める。


悪いな、フェイクだ。


「ドリブルしながらシュートフェイク! ヘジテーションだ!」


残るディフェンスは二枚。


ここは強引に行く。


「突っ込んだ!」


「無茶だ! 叩き落とされる!」


高いな。


だが甘い。


「ボールを……、下げた!?」


「かわしたぞ! ダブルクラッチだ!」


「すげぇ、だがスペースがない。シュートは打てないぞ」


ああ、でもこんだけひきつけりゃ十分だ。


「な!? ボールを背中から!? ビハインドパス!」


フリーになっていた味方がしっかりとシュートを沈めた。


ワァーーーーー!


湧く会場、沈む対戦相手、盛り上がるチームメイト。


そんな彼女らとハイタッチを交わす。




レビがね。


「すごいよレビちゃん! レビちゃんがいれば全国だって行けるかも!」


「いやー、まあそれほどでも……ありますね!あっははは!」


まーた調子乗ってやがる。


つーかそういうのって俺のポジションじゃないの?


無双してワーキャー言われるのって転生者のポジションじゃないの?


なんでお前がチート無双してんの?


「まさか……、一年生にズタボロにされるなんて」


「すごいよ女神ちゃん! これならスタメン間違いなし!」


「まあ私のゴッデスアイにかかればこんなもんです」


ゴッデスアイって。


それただの女神の目じゃんか。


上からコート見ちゃってんじゃんか。


反則じゃんか。


「す、すごいねー鈴木さん」


「あ、ああ。で、どう? バスケ部は? 入ってみたい?」


「うーん付き合ってもらったのに悪いんだけど、やっぱり私に運動部はきつすぎるかな」


「そ、そっか。全然気にしなくていいよ、きついよねー」


無理して始めて続かなかったら意味ないし。


かといってやめたいのにやめられないなんて状況になったら精神衛生上もよくないしな。


あとバリバリの文化系にいきなりバスケはきつい。


縦にも横にも動き続けてダッシュしたりストップしたり、尋常じゃなくきつい。


「お気に召しませんでしたか?」


「申し訳ないけど……」


「じゃあ明日は違うとこにしましょう」


でも仙徳さんが言う青春って、分かりやすい青春のことだろ?


運動部がきついなら何部にすれば……。


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