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女神と始めるJKライフ! ~卒業式で死んだら美少女にされました~  作者: 橋本 泪
第二章 青浜高校には女神がいます
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第十三話 反復横跳びのルールがいまだにわからない

「ほあぁぁぁぁーーーーーーさんじゅうぅなーなぁ!」


「あっははははは!」


今日、我々一年一組は新体力テストを行っている。


何が新なのかよくわからないが、とにかく新体力テストである。


「さはぁっはんじゅうはちぃー!」


「あっははははは!」


今俺はレビの足を抑えている。


測定のため二人組を組むことになっているのだが、なぜか当然のように彼女とペアになっている。


まあ正直助かっているのだが。


二人一組って呪いだからね。


えげつない数の人々にトラウマを与えた呪いの言葉。


「さっはあはははぁぁーーーー!」


ピピ―!


「あっははははは! しゅう、あはぁ、終了だって! 女神ちゃん! は、あはぁ!」


流れで入山さ……杏子、そのペアの鶴井さんと一緒に回っている。


「どうだ、はぁ、三十九回! 余裕の十点ですよね!」


「余裕の十点! でも三十八回ね」


どうも杏子はレビの全力上体起こしがツボだったらしい。


「もー、やめてよー。笑っちゃってできないじゃーん」


「つるちゃんは十七回ね。五点だって、はは、ざこーい」


容赦ないな杏子。


何となくレビの系譜な気がするな、この子。


一方の鶴井さん。


ひどーい、と言いながらもニコニコ笑っている。


冗談はしっかり冗談としてとらえてくれるタイプの様だ。


「よし、残りは反復だけだ!」


そう、体育館での測定はすでに大詰め。


残すは反復横跳びのみ。


握力、長座、立幅はすでに計り終えた。


ちなみにレビはすべて並外れた数字をたたき出しており、陸上部顧問の体育教師に勧誘されていた。


杏子もレビほどではないが、高い運動能力を発揮していた。


バスケ部という事もあり、握力が意外と高くて怖かった。


急に大学生の彼氏が心配になった。


うん、あれが握りつぶされないかとかね。


俺と鶴井さんはいい勝負をしていたが、長座の差で俺が負けている。


まあ?


レビが俺を転生するときにデバフでもかけたんだろう。


身体能力弱体化的な?


え? 能力は変えてないって言ってた?


気のせい気のせい。


「はーい、次反復やる人ならんで―」


明るい女性体育教師が呼びかける。


おお!


若い女性教師いたのか、この学校!


結構かわいいし。


ポニーテールが良く似合う。


隠し切れない元ヤン感も、いいスパイスだ。


「おい、アンコ。ここはひとつ賭けをしないか」


「なんだい女神ちゃん、やろうってのかい?」


彼女たちは腕を組みながらにらみ合っている。


なんだよ、なんか仲よさそうだな。


アンコってなに?


杏子のあだ名?


その関係性羨ましすぎるんですけど。


つーかお前らで組めや。


「内容は?」


「当然、反復の回数です」


「悪いけど負け試合に乗るほど馬鹿じゃないよ」


杏子は白旗を振るジェスチャーをして見せた。


レビは顎に手をやってから腰をくねくねさせて挑発……、挑発なの?


気持ち悪いんだけど、その動き。


「バスケ部ですよね? 反復横跳びなんて得意中の得意じゃないですか?」


確かにバスケのディフェンスと反復横跳びの動きは似ている。


それゆえバスケ部は反復横跳びと立幅の結果にはプライドがある。


多分。


レビのあおりは続く。


「お? 怖いんか? お? ビビってんのか?」


うっわー、腹立つ表情。


プロだよ、煽りのプロ。


「バスケ部のくせに? もしかしてあれ? オフェンス専門ですか? オフェンス専門は大成しないですよー。大成したとしても見てください、ヘイデンを。あいつ攻撃ばっかやってっから全然優勝できねーの。つーか髭が汚い」


私情じゃねーか。


つーか髭が嫌いなだけじゃねーか。


「やんよやんよ、やってやんよ!」


あーあ、のせられちゃったよ。


「でもヘイデンって誰だ、しらんやつの話しやがって」


そうだよな、なんで知ってる前提で話してんだあいつ。


「ちなみに五十三回以上が十点だってよ」


「余裕」


返事はいきぴったりなのね。


「皆準備できたー? じゃあ行きまーす!」


先生がストップウォッチに手をかける。


構えるレビと杏子。


杏子ちゃん、構え低すぎない?


ディフェンスじゃないからこれ。


レビは何それ?


一ミリも腰落としてないけど。


棒立ちだけど。


よく見たら瞼ピクピクしてるし。


女神がしていい顔じゃないでしょそれ、白目見えてるよ。


ピ―!


笛が鳴る。


反復横跳びスタートの合図。


一斉に動き出す一同。


しかし二人のスピードは群を抜いている。


速い!


速すぎる!


これなら最高評価は間違いない。


五十三回なんて本当に余裕で超すだろ。


何なら世界記録とか行けるんじゃないかこれ。


均衡状態がしばらく続いたものの、やはり少しずつ差が出始めた。


「くっ!」


ここまで何とか食らいついていた杏子だったが、徐々に遅れ始めていた。


もちろん杏子が遅いわけではない。


むしろとんでもなく速いはずだ。


それを置き去りにするレビのスピード、異次元だ。


足元の動きが速すぎて目でとらえられない。


つーか速すぎてほこり舞ってるからちょっとヤダ。


っていうかなんか足浮いてね?


「3、2、1、しゅーりょー」


終了の合図とともに一同、そして二人も足を止めた。


「はぁ……、はぁ……」


膝をつき、頭を垂れて床にへたり込む杏子。


息が弾んではいるが涼しい顔してそれを見下すレビ。


回数なんて見なくても結果は一目瞭然だ。


でも両方ともすごい記録……。


回数? 記録?


「で、何回ですか?」


やっべーーーーー。


かんっぜんに数え忘れてた。


いやでも、君たちが素晴らしかったからこそのミスというか。


あなた方の神速に目を奪われたっていうか。


どうせどっちも十点だからよくない? なーんて。


冷や汗たらたらで横を向くとそこにはニコニコしながら二人を見つめる鶴井さんが。


そうだ、もう一人いた。


助かった。


彼女が数えた杏子の回数を少し水増ししてレビの記録にすればいい。


「鶴井さん、どうだった?」


「はぁ……、ぐっ、はぁ、何回、私」


流れる沈黙。


ニコニコ笑顔。


そして彼女は口を開いた。


「ひゃっかい!」


ぜーーったい嘘!


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