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女神と始めるJKライフ! ~卒業式で死んだら美少女にされました~  作者: 橋本 泪
第二章 青浜高校には女神がいます
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第十二話[1] 陰と陽の差ありすぎて耳キーンなる

二度目の高校入学初日。


街中ですれ違えばだれもが振り返るような絶世の美女。


しかし、所詮は童貞根暗ボッチの魂。


クラスメイトの熱い視線が集まる中、俺は初対面の男子に口から水をぶちまけた。


聞いただけで鳥肌が立ち、その子の高校三年間の行く末が容易に想像できる鬼畜の所業。


入学から一週間、俺はすでにボッチ生活に逆戻り。


ではなく。


「どうする? せっかく仲良くなったことだし〜、カラオケとか行っちゃう!?」


「イイねーー!」


バリバリの一軍になっていた。





一軍いちぐんとはプロ野球などのスポーツについて使われる言葉であり、チーム内で各ポジションの最も有力な選手によって組み合わされた組織。


トップチーム(英: Top Team)とも呼ばれる。


参照 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/一軍


学校における一軍とは、スクールカーストにおいて上位に位置し、なんかキラキラした青春!って感じの高校生活を送る人々のことである。


説明が曖昧?


元三軍、いや、カーストにすら入れていなかった俺に一軍の説明など荷が重すぎる。


ゆるせ小僧!


「何ぶつぶつ言ってるんですか。せっかくクラスのトップグループと仲良くなれそうなのに」


「あー、せっかくのお誘いで悪いんだけど、今日はちょっと」


むりむり。


カラオケとかむりむり。


あれって1人で行くもんじゃないの?


出だしの音程失敗して「へへっ、これっ、キー高いわっ! へっ」って独り言いうんじゃないの?


人前で歌うなんてむりむり。


俺の答えにレビは納得いかないのか、顔をしかめている。


「せっかくのお誘いですよ? メンバーもはしゃぎバカだらけで、今後の高校生活の中心になりそうな子たちだし」


陽キャをはしゃぎバカっていうな。


意外と頭いいやつ多くてショック受けるんだぞ。


なんだあいつら、遊んで部活して青春して、なんで勉強できるんだよ。


死ねよ。


……おっといけない。


「今日ガンナーズの試合……」


「おっと、もうこんな時間か」


彼女は自分の腕を指す。


腕時計してないだろ。


いや、してるじゃん。


また高そうなの買ってるじゃん。


やめろって。


俺にもくれよ。






なんとか陽キャをまき、家の近くのファストフード店に逃げ込んだ。


ハンバーガーとポテトを頼み、奥の方の席にレビと2人で腰掛けた。


「大チャンスだったのに何してるんですか。インキャぼっちさせるために転生させたわけじゃありませんよ」


ほんと申し訳ない。


でもな、まず大前提としてレビは一つ間違っている。


「転生はなんだかんだいってありがたい。本来俺はもうこの世界にはいないわけだから」


「そうですね」


「美少女にしてくれたのだって感謝してる。もし前世の姿でもう一度生きろと言われたら、俺は無限地獄を選んでいたかもしれない」


「……世の中見た目だけではないですよ」


え、俺レビに気を使われてんの?


このクズに?


おいやめろ、そんな目で見るな。


じゃなくて。


「この容姿なら工夫次第では思い描くどんな青春も、現実のものにできるだろう」


「私が課した使命に使ってくださいよ」


「まあそれは置いといて」


「置いとくんですね」


「レビは俺が陽キャになりたいと思っているようだな」


「え、違うんですか?」


彼女はジュースを飲みながらこちらを見た。


「ちがぁーーーう!」


店内の視線が俺に集まる。


すいません、つい興奮してしまいました。


「レビは漫画とかラノベとか読んだことあるか?」


ふふんと息を巻き、胸を張るレビ。


自信ありげだな。


「当然です。女神ですから。幅広いジャンルに精通しています」


女神ですから?


「へぇー、ちなみにオススメとかあるの?」


「多すぎて迷いますけど、とりあえず嵐の山にナルシカですね。まるで映画原作のように思われていますが、あれは漫画原作であり、圧倒的に原作の方が……」


だるいだるいだるい。


やめろやめろ。


原作厨はどうしてこう……。


ガンナーズといい、レビは好きなものへの愛の向け方が怖い。


「話が逸れたが漫画やラノベの主人公ってどうだ。特に前世の俺みたいなやつが読みそうな青年漫画」


レビは人差し指を唇に当てて思案する。


「痛いですね」


「そうじゃ、うん、そうだけどそうじゃなくてね」


それは言わないお約束じゃないかしら。


昔のドラ○もんみたいな喋り方になっちゃったよ。


「教室の隅っこで静かに1人みたいなやつ多いだろ」


「正解じゃないですか」


「ちがいますー。あれは一匹狼なんですー。クラスの中心になれる能力がありながらそうしない、そういうカッコ良さがあるんですー」


彼女は少し考えてから言った。


「コミュ障ですか?」


違うわ!


なぜだ、なぜ伝わらないんだこの感覚。


「で、今日カラオケ断ったのとなんの関係があるんですか?」


「入学1週間でカラオケなんて陽キャ中の陽キャだろ? 俺は別に陽キャになりたいわけじゃない。ただ普通にしているだけなのにクラスメイトが寄ってきてしまい、めんどくさそうにしながらもいざという時はやる。そんなキャラになりたい」


「生意気ですね」

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