第6話〜手合わせ?〜
公爵家での夜に関しては、省略しました。特に何もなかったので。
このお話も長いようですが、夢としては30分ほどの内容になります。 でも、話の後半で登場する騎士たちは、今後重要な存在になってくるので、気をつけてご覧になってください。
次の日の朝、公爵邸にて…
僕は、アルベルト公爵と廊下を歩きながら陛下にお会いするにあたって相談をしていた。
「それで、陛下はどのようなものが好みなのでしょうか?」
「なぜだ?」
「いえ、公爵様に個人的に銃をお売りいたしましたが、陛下がお持ちになっていないのも階級世界である貴族社会で気持ちが悪いものがありまして。」
「ふむ…。確かに一理あるかもしれん。陛下は、昔から武闘派であられた。しかし、銃より剣のほうがいいかもしれんな。騎士道に厚いお方であられる。…ん。そうだ!君が使っていたあの剣はどうだ?」
「まぁ、他にも在庫は在りますので、構いませんが、銃と比べてしまってはなんですが、地味ではありませんか?。」
「別に使うわけではないから、構わんよ。陛下は収集家であられるのだ。珍しい剣を見つければ、自室に飾っておられるのだ。」
「畏まりました。それではそのように…。」
「私は、少し仕事を済ませなければならん。待っていてくれ。敷地内ならどこを見てもらっても構わん。」
そう言うと、アルベルト公爵様は、自室へと入っていった。…何しよう。暇だし、剣道の型でも練習しよっかな。好きでもないけど、他にやることないし。
「訓練場に行ってみようかな…。」
「バベル…あぁ、頭の上にいたのね。」
僕が到着したとき、既に訓練は終わっており、騎士たちが片付けをしていた。
「邪魔にならないように、隅でやろう…。バベル?ちょっと降りてくれる?」
「くぅ?キャン!」
僕の声に気づいたバベルは、頭の上から飛び降りると、少し離れた場所に丸くなった。あいつまた寝るのか。本当にフェンリルなんだろうか。威厳が1ミリも感じない。まぁ、可愛いからいいけどね。
俺は刀を抜いた。俺の流派は一応、大橋流。大橋流って聞くところによると、るろうに剣心の飛天御剣流だっけ?あれと同じで、多数の相手を想定した剣術みたい。それも戦国時代から続いてきたと言うんだから正直びっくりだ。うちの流派は、体力と筋力と脚力が他の流派の何倍も必要で、門下生もそこまで多くはない。でも、師範代までなった人は簡単には負けることはなく、胴着を着た状態でも俊敏な動きができ、試合では知り合いと同じ流派で当たることばかりだった。
それの影響からか、俺の剣速は異常なもので、同世代というか父さん以外に負けたことがない。正直俺に勝つ父さんは、もう化け物だと思ってるけど。
「グレン殿。手合わせ願えないだろうか?」
俺に話しかけてきたのは、公爵家のお抱え騎士団の騎士団長さんだ。
「構いませんが。失礼ですが、イルシス殿で合っていますか?」
「えぇ。蒼燕騎士団で団長を務めております。イルシス-フォン-カスティーリャといいます。一族であるカスティーリャ伯爵家は、情けなくも王国方につきました。」
「なるほど。得物はどうしますか?」
「これを使いましょう。訓練用の鉄剣です。粗悪なものですが、刃を落としてありますので、ご安心を。」
「では、私はこの刀を使います。」
「それは?」
「逆刃刀といいます。護身用の武器です。殺傷能力はありません。」
「なんと…面白い。街の警備兵に持たせれば…いや、訓練用に?それは、どこで売っているのですか?」
「ご入用でしたら、後ほどお売りいたしますよ。」
「それは、有り難い。では、始めようか。構えられよ。」
僕は、刀を仕舞うと姿勢を低くし、構えた。別に抜刀術であるわけではないのだけど、アレのほうが一撃目の剣速上がるから好きなんだよね。アニメとか漫画とかでも使われてるしね。
「こちらは、準備できましたよ。イルシス殿!」
「では、参るぞ!ウォーー!!!」
イルシス様は、明らかに重そうな剣を両手に握ると掲げ、こちらへ突進してきた。僕は目を閉じた。大橋流の真髄は精神統一の末に本領を発揮することができる。
そして、
この流派には絶対支配領域ってもんがある。それは、すぐにわかる。光が見える。一点だけ。そこを狙う。そここそ、この戦闘を一撃で終わらせる場所。俺は、低い姿勢のまま、大きく踏み出すと、刀を走らせ、その光の場所で止めた。
目を開けてみると、僕の刀は彼の首元で止められていた。そして彼の剣は、振り上げたまま。絶対領域っていうのは、そこに入ったやつの次の動きを予測するもんなんだけど、実力が僕以上のやつには効かないんだよね。親父とかさ。良かったよ。騎士団長レベルなら問題はないみたいだ。
「な…なんだと…騎士団長が…ま…負けた…。それも、一撃も加えられるず…あっさりと。」
「キャ~ン!!」
いつの間にか騎士団の騎士ほぼ全員が観戦していた。団長との会話に夢中で周りに気を回していなかった。度肝を抜かれた騎士とは対象的にバベルは、当たり前とばかりに僕に飛びついてきた。お前…さっきまで寝てただろうに。調子の良いやつ…。俺が、この子を撫でていると団長が気を持ち直して近づいてきた。
「グレン殿…。感服いたした。まさか、一撃で決められるとは…。商人であると油断していたことは否めないが…。それでもこれほどの力量の持ち主とは…。」
「団長の迫力も恐ろしかったですよ。ただ不用意に私の絶対領域に入ったのが悪かったですね。」
「絶対領域?」
「ええ、ある程度の距離ならば、僕は相手の次の動きを先読みできるんです。団長は、私が留まったことで隙があるとそこに入り込んでしまった。それだけです。」
「それは、相当な修練がに必要なはず…。」
「えぇ。7年間殆どこの修練だけに捧げてきました。」
「7年間…。それほどまで…。」
うん!嘘入ってないよ。小学1年生〜中学2年生まで続けてたからね。修練だけに捧げてはいないけど。ほとんど遊んでた。サバゲーとネトゲーで。それでも大会では勝ってたよ。どれだけ剣道の才能に助けられたか。
「できる時で構いませんので、うちの騎士たちにも教えて頂けないだろうか。」
「まぁ、教えることがあるならば。時間があるときに。」
「よろしく頼む!そういえば、刀というのは、何振りほどあるのだ?」
「逆刃刀でよろしいですか?」
「ああ。」
「畏まりました。確認しますので、お待ちください。…血統スキル発動!『アイテムコピー:対象⇒逆刃刀』」
スキルが無事に発動すると先程まで何もなかった欄に100振りが追加された。便利だ。このスキルは、金になる。しかも、この動作を頭の中でできるってのが、考えているように見えてGOOD!
「100程ならすぐに用意できます。」
「十分だ!だが、今後も頼むかもしれんが、大丈夫か?」
「ご安心を。ですが、ご入用の場合は、早めに伝えて頂けると助かります。では、とってまいりますので、少々お待ち下さい。」
俺は、昨日の倉庫に向かうと近くにあった大きな木箱にアイテムボックスから逆刃刀100本を収めた。俺では運べないので騎士の方々に外まで運んでもらった。
「おお!ありがとう。それで?いくらになる?」
どうしよう。逆刃刀って言ってしまえば、聞こえはいいけど、要するに護身用だからな。反ってない方に刃があると相当な練度ないと切れないんだよな。因みに僕も無理。
勿論、彼らも無理。となると模造刀と大して変わんないんだよな。それでも、さっき使ってた練習用の剣よりは強いんだよなぁ…。さっき彼らの練習用の剣もらって、刀で叩いたら簡単に割れたもんな。模造刀って大体1万円位が妥当な値段だからな。まぁ、真剣でも45〜55万位だからな…。
元値が零だから、正直いくらでもいいけど、安くしとくと今後が面倒臭いから、50くらいにしとくか。因みに簡単に割れる鉄剣は、さっき聞いたら10万。そう考えると、ぼったくってないな。
「金貨で50枚になります。」
「金貨50枚!そんなに安いのか?アルベルト様のときのように安くしてはおらんか?」
「いえいえ、全く。」
「分かった。それなら今でも払える。」
彼は、副官らしき人に声をかけると、彼は騎士団棟に走っていった。戻って来た彼の手には、金貨の入った袋が握られていた。
「ほら、これで…。」
「確かに…頂きました。」
「いきなりなのだが、少し我々に手解きしてくれぬか?」
「えぇ。公爵様が呼びに来るまででしたら。」
「あぁ。それまでで構わない。おい!お前たち、そんなとこで見てないでここに集まれ!」
彼の一声で騎士たちがゾロゾロと集まってきた。総勢、15名。
「彼らは、部隊の隊長達だ。とりあえずは、彼らに教えてくれ。後はこいつらなりに自分の剣術に取り入れて、下の連中に教えるだろうからな。」
「畏まりました。」
それから僕は、アルベルト公爵の迎えが来るまで、簡単な型を教えることとなった。門下生の方たちと親父の関係を見ていたから教えることに違和感はなかった。でも、流石に騎士なだけある。彼らは飲み込みが異常に早かった。
公爵が来るまで1時間ほどしかなかったが、それまでに振り回さずに剣とは違うこと、型とともに抜刀術も簡単に教授してみせた。流石に抜刀術は、うまくいかなかったけど。
なんか、異世界で剣道教えるのも悪くないかもしれない…。お金にはなんないけど
なんか、騎士たちにそんな触れなかったね。それでも今後登場するから。