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第3話〜初取引〜

今回は短めです。

「それで、グレン殿…。貴殿が販売する武器はどのようなものがあるか少し見せてもらえるかね?」


「えぇ、構いませんよ。そこでお聞きしたいのですが、銃って知っておられますか?」 


「銃?コレのことかい?」


アルベルト公爵は、僕にフリントロックピストルを見せてきた。なるほど…銃という概念は存在するようだ。だが、技術レベルは中世程度と考えられる。なら、これは革命的になるだろう。ならば、スキル発動!『闇市場』


スキルが発動すると目の前に、古い店構えの建造物が現れた。中に入ると少し臭う店内の奥のカウンターにずんぐりむっくりした男がいた。


「誰や?」


「あなたのご先祖様と契約していた者です。今回、私はあなたと契約するように言われております。これが、証拠です。親父殿はご存命のはず確認していただいても構いませんよ。」


「ちょっと待ってろ。」


そう言うと男は、俺の渡した手紙を持って奥へとかけていった。なかなか戻ってこないので、周りを見渡してみるとカウンターの横に両替機があった。なるほど!これで向こうの金をこっちの金に直すのか…。

俺は、試しに銀貨を50枚入れてみた。すると、米ドル札で50万円分、100ドル札が500枚出てきた。なるほどそれで隣のこっちの機械に通すと戻せるのか。なるほどなるほど。


そうこう、15分ほど両替の仕組みを満喫していると奥の方から先程の男が車椅子を引きながら戻ってきた。おそらく、車椅子に乗っているのが、父親なのだろう。


「お待たせしてしまって申し訳ない。私がこいつの父親でケインという。こいつはイールイという。今後とも宜しく頼みます。」


「こちらこそ。いきなりなのですが、用意していただきたい銃があるのですが。」


「何でも仰って下さい。用意しましょう。」


「コルト・ガバメントM1911を3丁用意して頂けますか?弾は、200発ほど。」


「それですと、800ドルほどになりますな。それならどうです?1丁は、Glock 19にしてみては?お考え頂けるのでしたらこちらも勉強させていただいて、合計で1000ドルほどでご用意させて戴きます。」


Glock 19は、アメリカでも5万円近くする銃。

それが、4万弱で買えるならお得だ。人気の高い拳銃ならデザートイーグルとかベレッタとかもほしいけど、見せるのはまだ早いだろう。とりあえず、この3丁で今回は良しとしよう。あと、札はアイテムボックスで保管する。

戻すのめんどくさいし。


「それでお願いいたします。近いうちにまた来ますので、ベレッタやデザートイーグル、ウージー、トンプソンとかも保管しといて頂けると有り難いです。」


「かしこまりました。確かに1000ドルいただきました。こちらが商品となります。その他の商品につきましても、ご用意しておきましょう。おい!イールイ聞いたな。ブツを見てこい!またのお越しをお待ちしております。」


俺は、銃をアイテムボックスにしまいながら、店を出ると霧に包まれた。気がつくと先程までいた馬車の中にいた。なるほど、スキル使用時は、本当にこちらの時間は止まるのか。これは有り難いな。


「公爵様。こちらが私が販売するつもりであります、俗に拳銃と呼ばれる銃でございまして、コルトと呼ばれております。先程見せていただいたものと比べ、射程距離も殺傷能力も高いものとなっております。」


僕は、コルトを1丁、公爵様に手渡した。受け取った公爵様は物珍しそうに触ったり眺めたりしている。


「これは、打つことはできるのか?」


「こちらが弾薬になります。」


僕は、弾倉に8発装填して手渡した。どうすればいいのか困っていたので、弾倉への弾の込め方と弾倉を銃へ入れる工程も説明した。打つまでの行程も。


「あとは、引き金を引けば打てますので。」


「そうか…。おい!イルシス!馬車を止めろ!」


公爵様は騎士に馬車止めさせると銃を持って外へ出た。騎士の中でも最も年老いた人が馬車の扉を開けた。あの人イルシスって名前なんだ。


アルベルトさんは、馬車の後ろに積んでいた俺が殺した盗賊たちが身につけていた鎧を離れたところに置かせた。まあ、鎧っていっても騎士の鎧じゃないから板金甲冑で、旧式拳銃でも凹むんだけど。


『そもそも…取っといたのかよ。』


そこへ発砲した。


8発打ち終え、鎧を確認した公爵様は、顔色を変えてこちらへと走ってきた。なにがそんなに驚いたのかね?


ピストルは連射できないもんね。連射に驚いてるのかな?それか…威力?甲冑明らかに壊れてるもんね。「1発でも、敵の動きを止められるだけの威力がほしい」っていう軍からの要望で開発された銃だし?


馬車の中に入ると、アルベルトさんは俺の肩を掴んで、熱弁してきた。


「グレン殿!この銃を売ってくれ!言い値で買う!」


何だ…。この威力で満足したのか。まあ、この世界の鎧ならコルトでも十分貫通すると思うけど。でもフルプレートだと貫通しないだろうに。凹むけど。


そんな武器見せられたら貴族なら欲しがって当然か。王族でも持ってない最新の武器だからね。でもいくらで売ろうかな…。元値が2万円分だけど、普通の拳銃なら弾セットで10万くらいするだろうし。希少価値は相当だしな。でも地球じゃあ一応旧式扱いだしな…古いのを考慮して、ボッタクリ価格で倍の20万くらいにしてあげようか。どうせ王侯公爵家なんだから金あるだろ。


「では、銀貨20枚になります。」


ん?何だ?僕の言葉にアルベルト公爵様もソフィア様も固まっている。どうしたのだろうか…。


「そ…そんなに安いのか?これほどの性能で?粗悪な鎧とはいえ、それでも鎧を弾が貫通したんだぞ。それは悪い。そうだな、銀貨50枚だそう。」


あれれ、高くなっちゃった。まぁ、高くなるぶんには全く問題ないけど。でも銃一つで50万か。仕入れ値の25倍…。億万長者には、まずなれるだろうな。


「ありがとうございます。それでしたら、こちらも勉強させて頂きまして、弾薬を50発ほど無料でつけさせていただきます。」 


俺は、50発の弾薬を木製のケースに入れて、公爵へ手渡した。


公爵様は、おそらく現在、この世界最高の技術を自分の物にできていることで、満足なのかもしれない。銃を傾けたり弾倉を抜いたり入れたり、ホクホク顔だ。1丁2万の拳銃が50万になってくると、機関銃とか売り始めたらとんでもないことになるのではないだろうか…。


そんな事を考えていると、ソフィアさんから声をかけられた。本当にこの子かわいい。北欧の美少女のような風貌。


「グレン様は、商人になると仰っていましたが、お売りになるのは武器だけなの?」


「今の情勢ではそうですね」


「今は?」


「ええ。旅をしている中で聞き及んだのですが現在、マーリン公国が隣国との間で戦端が開かれる間近であるとお聴きしました。ですので、今は、武器を売ることが得策と考えまして、武器商人と名乗っております。ただ、戦争が終わったあとは、化粧品や食料品などその他の商品も随時販売していく予定です。」


「化粧品!楽しみですぅ〜!」


「それは、良かったです。」


「それは凄い!これほどの技術を見せておきながら、他にもまだ様々あるというのか?」


「公爵様、先程見せた銃の品質はまだまだ低いものになります。俺はあくまでも個人が身の安全を守るためのもの。これで満足していただいては困りますな。」


「あ…あれ以上があるというのか!?」


「ええ。あれでは戦争には使えませんでしょう?私の方では既に戦争に焦点を当てたモノも取り揃えてありますので。私の商品なら、戦争自体を変えてしまう代物も取り揃えております。ただ取り敢えずは、王都を目指しませんか?」


「そ…そうだな。そうしよう。おい!イルシス。馬車を出せ!」


ようやく馬車が動き出す。始めての取引緊張したけど、これなら楽な人生が送れる可能性が高そうだ!因みにバベルは、その間一度も起きずに僕の膝の上で爆睡をかましていた。

次回ようやく王都に着きます。

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