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22話〜自分の弱さ〜

今回は少し短めです。

「おお!マスター、お疲れ様です。」


「マスター?ああ!師匠。お疲れ様です!」


剣道を習うために俺に弟子入りしてきた元ミドル級世界ボクシングチャンピオンのケビンとケビンに憧れて武道家を志し、将来総合格闘技で頂点に立つことを夢見るクロエ。イールイから多額の金をもらってるため、嫌とは言えず、教えるとになった。


「まずは、ケビン。お前からだ。その棒切れは捨てて、これを使え。」


俺は、アイテムボックスから逆刃刀を渡した。コピー品だ。刃の部分も落としてあるから実質模造刀と変わらない。それでも、当たりどころによっては、殺人の凶器になりうる。


「頂いていいんですか?」


「ああ。その重さになれんと何もできん。今後、自主トレだけでなく、日常生活でもなるべく身につけておけ。刀が体の一部になれば、剣術は身に付きやすくなる。」


「わかりました。まずは何からやりますか?」


「適当に切りかかってこい。俺は、先程お前が使っていたこの鉄パイプでやろう。好きなところから好きなタイミングで来い。手を抜く必要はない。全力で来るといい。」


「では…行きます!」


ケビンは、刀を頭の位置に構え、半狂乱のように叫びながら向かってきた。おかしくなったわけではない。先程から見ていた限り、ケビンが参考にしているのは、恐らくだが、江戸時代に薩摩藩で広まっていた古流剣術の示現流だと思う。叫んでいる声もよくよく聞けば、チェストと聞こえる。ただ、どれだけ豪剣と呼ばれる示現流も手練が使うからこその剣術である。未熟者が使っても何も怖くない。俺は、不得意の形を取った。勿論、手加減するためだ。俺は、抜刀術でケビンを待ち構えた。あいつが刀を振り下ろすより前に俺は奴の懐へととびこんだ…


「ぐっ…。」


「俺の勝ちだな。」


俺の持ったパイプは、ケビンの喉元1cmで止められた。当然の結果だ。ボクシングなら勝てないと思うが、剣道では負ける気がしない。


「俺だからまだ良かったが、格上の相手に上段で構えるのは失礼に当たる。気をつけたほうがいい。それと、最初は中段に構えたほうがいい。実力がつくまではな。」


「わ…わかりました。」


「とりあえずは、素振りをしろ。剣道に近道はない。どれだけ刀を振ったかだ。それも、型はいくつもある。調べ様々な型を身に着けろ。それが私から出す最初の試練だ。わかったか?」


「わかりました。失礼します。」


「それと、ケビン。このグローブ借りていいか?」


「…どうぞ。」


ケビンは、道場の方へ走っていった。ちなみにここは、道場の外にある広場。と言っても、広さは、学校のグランウンド位ある敷地の一角。


「やっぱり…すごいね師匠は。」


「あ?」


「ケビン兄があんなに嬉しそうな顔してるの初めてみたよ。自分よりも強い人に会えて嬉しいんだと思うんだ。それで?私は何をするの?」


「まずは、基礎トレーニングからだ。メニューをまとめてみた。これをこれから毎日やるように。積み重ねて習慣化しろ。」


「うげぇ…。こんなに?」


「これは、基礎だ。俺は、そんな頻繁には来ないからな。来てる今日は別のことをする。」


「何?」


「俺が手加減して攻撃するからきみが知りうるあらゆる手段で避けるんだ。」


「分かった。」


「なら行くぞ。」


俺は、鉄パイプを投げ捨てると彼女の顎めがけて拳を振り抜いた。一瞬の出来事に回避のタイミングを逃した彼女は、頭を腕で守るしかなかった。俺は、それを見た瞬間に回し蹴りへと切り替え、彼女の脇腹に一撃を加え…ようとした。勿論、寸前で止めたが…。


「油断していたな。君は自分自身の能力を過大評価しすぎている。まずは、その概念を払拭する必要がある。君より強い武闘家など数えきれんほどいる。そいつらと同じステージに立つには、自分が弱いことを認め、基礎から学び直す必要がある。」


「…はい。」


「自分で自分を変えられたと自信を持って言えるようになったら、私の前に来るといい。それまでは、自主トレに励むといい。」


「…わかりました。」


「ケビンと一緒に特訓するといい。君たちは、お互いにかけているものがある。互いに導き出せば、互いの成長につながる。」


俺の言葉を聞いたクロエは、ケビンと同じように出ていった。騎士と比べてプライドに凝り固まっていないから教えやすくていい。


さてと、イールイから商品を受け取るか…。


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