21話〜戦車?〜
血統スキル発動『闇市場』
朝行ってから、10時間位経過しているから、3日過ぎたくらいか…ここまでで、建築開始から8日経ったがどのくらい進んでるだろうか…。元々、3ヶ月必要だからな。少なくともあと9日はかかる訳だ。とりあえずは、材料買うか…。
霧が晴れると奴の家のすぐ横に道場が建てられていた。おそらくどころかほぼ確実にケビンのためだろう。
「マスター!お久しぶりです。」
足音で気づいたのか、道場から声がかけられた。
「ケビン!イールイは、いるか?」
「ええ!リビングにいますよ。用事が終わったら、修練に付き合ってもらえますか?」
「あぁ。」
俺は、彼に一旦別れを告げ、母屋に向かった。俺が玄関の扉に手をかけようとした時…
「パパ!グレンさんはいつ来るの?」
「いつだろうな…?いつも突然来るからパパにもわからんよ。」
「悪かったな。突然来て。」
不意に俺が現れたことに彼ら親子は、驚きを隠せないようだった。この子は確か、前来たときにお小遣い貰ってた子だよな…。
「いやいや、いいところに来た。マンションの事で相談があったんだ。」
「あぁ…。その後でいいから俺の相談にも乗ってくれよ。」
「ああ。分かった。」
「パパ!私も!」
「イールイ、誰だその子。」
「俺の娘のクロエだ。」
「はじめまして、グレンさん。クロエです!」
「これは、元気なことで…はじめまして。それで?イールイ。相談ってなんだ?」
「私の話はまだ終わってません。」
「俺は、終わった。嬢ちゃんと喋ってる時間はない。」
俺が通り過ぎようとすると、後頭部に気配を感じた。咄嗟に後ろ回し蹴りで応戦した。手応えがあった位置を見ると、俺の後頭部があった位置に上段蹴りを繰り出していた嬢ちゃんの顔があった。勢いを咄嗟に緩めたが、直撃は免れなかった。見事に側頭部にクリーンヒットした嬢ちゃんは、軽く吹き飛んだ。
「い…痛い…。いった〜い!!」
「クロエ!大丈夫か…。グレン。」
「こいつが悪い。後ろから蹴りを入れるなんて、非常識な…。何なんだ?こいつ…。」
「ケビンに懐いていてな。武道を嗜んでいるんだ。どうだった?」
「蹴り自体は悪くなかったが、殺気がだだ漏れだな。あれじゃあ、そこらのチンピラには勝てても、武道をやってるやつとかには到底勝てないだろうな。潜在能力はありそうだな。」
「本当!」
「嬉しそうだな。」
「ケビン兄みたいに強くなれる?」
「あいつみたい?何を目指してるんだ?」
「総合格闘技のチャンピオン!」
「UFCとかか。俺には関係ないな。」
「そうでもないよ。さっきの蹴り。相当重かった。」
「俺は剣道しか知らん。だが、刀が使えないときもある。そういうときに、戦えないことがないようにある程度は鍛えてある。教えることはできない。トレーニングなんて適当だったからな。」
「ケビン兄にも教えるんでしょ?私にも教えてよ。」
「そんなようだったのか?」
「お金ねだろうと思ったけど、強者に会ったら弟子入りしたかったから、変更したんだ!」
「イールイ。この子も教えるなら指導料は高くつくぞ。」
「ああ。構わん。元々、相談ごとの一つだったから問題ない。もう一つも話したいから、クロエ。今度こそ、どいてくれ。」
「いいよ。ケビン兄のとこにいればいい?」
「それでいいかい?グレン。」
「勝手にしろ。」
「分かった。じゃあ、後でね。師匠!」
「…。それで?相談事って?」
「いきなりですまんが、在庫処理を手伝ってくれんか?」
「構わないが、今回はなんだ?」
「俺が君に頼んでるとは露にも知らない、軍人共は俺に眠ってたガラクタを押し付けてくるんだ。それも安値でな。」
「もったいぶるなよ。何を押し付けられたんだ?」
「M60"パットン"だよ。それも50台もだ。展示品として数台残したらしいが、残りがホコリを被っていたそうだ。俺が処理をこなしていると誰から聞いたんだか、押し付けてきやがったんだ。」
「へぇ〜。湾岸戦争まで使われてたやつだろ。今でも使ってる国もあるのか…。」
「ああ。パットンシリーズの最終型だ。良いものなのは確かだが、今の戦車には到底及ばん。」
「燃料をまけてくれるんなら、50台買ってやってもいいぞ。」
「まじか?」
「ああ。今は、懐が十分あついからな。弾薬も忘れんなよ。」
「ああ。有り難い。だが、まだあるんだ。」
「次は?」
「食料品だよ。在庫が余っているんだ。」
「何人分だ?」
「十人分くらいか?」
「なら、それももらおう。良かった。俺の相談事が一つ解決した。」
「そりゃ良かった。他の相談事は?」
「マンションの建設は順調に進んでるか?」
「ああ。予想より早いペースで進んでいる。だが、あと一ヶ月は見といてくれ。」
「それと、鎧を手に入れたんだが、どうすりゃいい?」
「おお!見せてくれ。」
「ほらよ。」
俺は近くのテーブルにフルプレートの鎧一式を揃えた。あんま確認しなかったけど、中々のものだ。
「良かった…。明日来るんだ。間に合ってよかったよ。お代は、食料品代でいいか?」
「ああ。それで戦車はいくらだ?」
「1台500万で総計で250万ドルってとこか。弾薬と燃料と修理用部品を激戦10回分追加して、300万ってところか。だが、今回のケビンとクロエの訓練費用を差し引いて200でいい。」
「分かった。200な。よっこいしょ…。ホラよ。」
「よし、じゃあ、ちょっとついてこい。」
俺は、イールイに連れられて、大きな倉庫へと向かった。中に入ると新型の車輛から武器、弾薬がならんでいた。階段で地下へと向かうとそこには、50台よりはるかに多い数の戦車が並んでいた。
「おい…。50台なんてレベルじゃねぇぞ。」
「こいつは、新型車両なんだが、欠陥があってな。廃棄されるところをもらい受けて家で修理したんだ。」
「ほぇ〜。エイブラムスにチャレンジャー、レオパルド、メルカバまであんのか…。」
「よく知ってるな。まぁ、家の取引先は世界各国に広がってるからな。他の分野で繋がっている場合が多いが、相談事を受ける頻度は多い。」
「それで?何台あるんだ?」
「まぁ、さっきのも含めるなら100台くらいか?あと4億出すなら譲ってやってもいいぞ。どうせ俺は乗らんしな。」
「悪徳商法め。」
「なんとでも言え。これこそ俺流だ。」
「ああ。だそう。アウディのセキュリティ車とかないのか?」
「なんだ?誰かに狙われてんのか?」
「いや…。今後そういう方を守らなければならない可能性があるんでな。」
「悪いな。アウディは、取り扱ってない。」
「なら、新車でも構わんからロールスロイスは、どうだ?」
「それなら別の倉庫にある。装備は?」
「何がある?防弾ガラス、強化タイヤ以外で」
「ヘッドに機関銃を隠した形で取り付けるのと、運転席と助手席にデザートイーグルとP90を積んでる。席のヘッド外せば、弾倉が出てくる仕組みだ。」
「へぇ…。結構だ。」
「100台買うならそれにm60追加で載っけてやる。」
「豪気なことで。」
「得は、大いにあるんでな。」
「なら買おう。追加で400だな。それとこの際だ。ブローニングM2、AK-47、デザートイーグルの追加弾薬も頼む。弾倉10個1セットで100セットくらい。」
「上に揃ってるが、バレットはいらんの?」
「戦車があんのにいるか?」
「まあ、いらんわな。RPGとかねぇだろ?」
「こっちは、殆ど中世の世界だぞ?」
「それなら、戦車でも過剰戦力だわな。なら、合わせて500ってところか。弾薬はほぼサービスだ。在庫処理ありがとよ。」
「いいさ。戦車がこんだけありゃ、攻城戦にもってこいだ。」
「なら、また映像頼むかな。期限は指定しないけど、取れそうな雰囲気になったら事前に教えてくれ。前に合わせたあいつに連絡せにゃならん。」
「おう。」
「じゃあ、あいつらのとこに行ってくれ。終わりそうな頃合いになったら倉庫の前に購入品を揃えておく。」
「分かった。」
総資産
19億130万円⇒11億5130万
減り方はやばいのに、全然減らない。それも戦車は、アイテムボックスへ入れれば、100倍。1万台?大隊どころか機甲師団が誕生するのではないだろうか…。魔法がどんなもんか知らないけど、1万台の同時攻撃を防げるのだろうか。攻城戦といったけど一方的な蹂躙になりそうで恐ろしい。戦闘機とかは、流石に出せないな…。




