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18話〜初日の売上は?〜

「カーエル様。先程、教皇猊下にお誓いになったと仰られていたけど、どういう意味です?」


「意味?そのままだが。」


「カーエル。グレン殿は、我々の概念とは異なる社会的概念を持っている。聖皇国も知らないだろう?グレン殿。」


「ええ。教皇猊下は、どの程度の地位なんですか?」


「この大陸に生きる人間は、女神アリーデル様を創造主とするアリーデル教を信仰している。猊下はその頂点にいる。あの方に破門にされれば、この大陸では生きてはいけない。」


「やはりですか…。それ、使えますね。」


「使えるとは?」


「王国を社会的に抹殺することにですよ。そうなれば、急いで同盟を結ぶ必要はありません。」


「そう簡単に行くだろうか…。」


「カーエル様。猊下に会うにはどうすればいいですか?猊下のお好きなものは?」


「グレン殿…。落ち着きなさい。猊下には、普通のものなら会うことはできん。だが、君には恩を感じている。私から話しておこう。」


「?話しておくとは?」


「猊下は、私の祖父だ。」


「ということは…先程お話にあった勇者…ですか?」


「ああ。」


「なるほど。お祖父様のお名前を伺っても?」


「カズヤ-ブレイブズだ。」


「では、お祖父様が勇者として召喚されたこととか、お好きなものなどを聞いても?」


「そうだなぁ…」


聞いてみると、少し時系列的におかしなものを感じた。そうではないか?この世界の1日は、地球では8日経過する。カズヤさんは、今78だそうだが、この世界に来たときは14だったそうだ。64年経過している。つまり、地球では、500年経過しているということだ。にもかかわらず、カズヤさんは、学生服で召喚されたそうだ。聞きたいことができた。これは、どうやっても会う必要がある。


では、ちょっくら献上品を探してこよう。

血統スキル発動『闇市場』!!ってこれ闇であら必要あんのか…。


「パパ〜♡お小遣いちょうだい!」


「ああ…。ほら遅くなってはいかんよ。」


「うん!」


小学生くらいだろうか。可愛らしい女の子がてくてくと俺の横を歩いて行った。娘か…。


「む?なんだ、忘れ物か?」


「いや、用意してほしいものがある。」


「なんだ?」


「PSP本体とソフト10本、充電MAXの蓄電池10、コード、イヤホン。」


「向こうでゲームすんのか?」


「勇者に会うことになった。日本人みたいだからお近づきになるためにな。」


「なるほど…。まぁ、用意させよう。一時間もかからんよ。」


「紙と封筒もらえるか?手紙を書かねばならんのでな。」


「ほ〜。ほらよ。ゆっくり書けや。時間はある。」

「ありがと。木箱に詰めてくれるか?幾らだ?」


「…ほらよ。金はいらん。」


「は?」


「その代わりに、次回来るときに在庫処理を手伝ってくれ。それと向こうの騎士が身につけている鎧があったら持ってきてくれ。金は払う。」


「また、お願いされたか?」


「ああ。頼めるか?」


「ああ。新品がいいのか?」


「いや、中古のほうが雰囲気が出る。」


「分かった。ではな。」

「カーエル様。この木箱を猊下にお渡し頂けますか?」


「これは?」


「猊下ならばお喜びになるかと思います。ご安心を。危険物や毒物などは入れておりません。確実に猊下が私に興味を持つと思われるものが入っています。この手紙と一緒にお渡しください。なるべく早めに。」


「ならば、今から贈ろう。」


彼は、部屋の窓を開けると一言二言つぶやいた。そうすると、窓のが輝きグリフォンが現れた。


「この子は、俺が幼少期から契約しているのだ。この荷物をお祖父様に届けてくれ。重要なものだ。至急頼むぞ。」


「キュイ!」


そう一鳴きすると荷物を持って飛び立っていった。

(これ…バベルにやらせればよかったかも…。猊下に会いに行くついでに迎えに行こうか…。)


「これでいいだろう。今夜には、届くはずだ。」


「ありがとうございます。アルベルト様。至急陛下にお伝えください。ドワーフとの同盟はお待ちいただくようにと。」


「分かった。では、二人とも失礼する。」


「では、私も失礼しよう。」


「猊下からのお返事にお気をつけください。」


「ああ。来たら知らせよう。それと、今夜の教練だが、私も参加してよいだろうか?」


「構いませんが…」


「騎士団長に勝ったという君の実力を見ておきたいのでな。」


「では、動ける格好で起こしください。」


「ああ。それでは。」

公爵一行が帰ってからは特に何事もなかった。我が商店【紅蓮】は、初日を終えた。いまは、各自に売り上げを確認させているところだ。売上によっては、こいつ等の月収を決めんといかん。そういえば…お金の話をするのは初めてだった。冒険者稼業と違って俺たちの世界と一緒で月収らしい。この世界の騎士の月収は、金貨6枚程度。つまり年収600万ってところだ。安そうだけど、光熱費とかないから問題ないのだろう。但し、俺の騎士団はそんな常識にとらわれるような部隊ではない。売上があるようなら、金貨10枚程度にはするつもりだ。階級が上がれば、上乗せしていく。勿論、ボーナスもある。この国、いや…その大陸において、最も夢のある就職先にしてみせる。(その分辛いけど…)そのためにも売上げは、重要だ。プラマイゼロになったらやめるかも…。

「将軍!失礼します!」


ノックして俺の返答を聞かずに入ってきたこの礼儀知らずのやつは、男爵家の三男坊でダジールという。騎士としての実力は、抜きん出ているものの、礼儀作法が抜けているため、問題児扱いされていたらしい。別に俺としては、真面目に働いて、訓練をこなしてくれるならそれ以上は求めない。多少、無礼な騎士がいてもそれが個性と考えればいいだろう。

だが…将軍?


「ダジール…。将軍というのは?」


「嫌ですか?店長よりも厳つくて格好良いと思ったんすけど。」


「ならば、店外ではそれで頼もうか。ありがとう。ダジール。」


「わかりました!」


本当にコイツは馬鹿がつくほど、いいやつだ。礼儀作法は知らなくても、相手の望むことを的確に見抜き、行動に移す能力がある。まあ、それに気づいてダージルは、ゴーセルとともに男性棟一階の武器コーナーを任せたわけだが…。


「それで?ダージル。武器コーナーの売上はどうだった?」


「それが…」


「なんだ?売れなかったのか?」


これはまずい。売れないという選択肢はない。


「売れたんですけど…。」


「なんだ?問題があるのか?」


「そこからは、私が言いますよ。」


開きっぱなしになっていた扉をノックしたのは、ゴーセルだった。彼が言うには、武器コーナーは、冒険者組合や傭兵達の注目を集め、早々に売り切れたそうだ。それも、ゴーセルが勝手に売値を釣り上げたため、結構な売上になったらしい。因みに仕入れ値は、総額で金貨70枚(7000万円だ。)


「それで?いくらになったんだ?」


「総額で白金貨7枚です。」


10倍!?ってことは…儲けは7億…。こいつ等の月収が軽く払える。これで、1フロア分?そうなると、他のフロアってどうなってくるんだ?


「ほう…。随分ふっかけたんだな。それで?何が問題なんだ?」


「規模を拡大してほしいとのことです。」


「それは誰に言われた?」


「客全員からです。武器だけの店舗を持てば、もっと高品質で、更には種類も多くのものを扱えるのではないかと。」


「まあ、そうなのだがな。当分は難しいかもしれんな。資金が集まらないことには何もできん。とりあえずは、他のフロアからの報告を受けてから考えよう。」


「…了解しました。」


これ案外行けるかも…。店舗拡大か…。随分先になると思ってたが、この店を倉庫兼自宅として使えば、他の店でこいつ等に働かせれば、問題ないのか…。就業/終業時間を決めておけば、問題も発生しない。考えおかないとな。

総資産

3億7770万円⇒10億7770万円


これ、一日で稼げる額じゃないよな?ゴーセルのやつ随分ふっかけたんだな。意外と図太いやつ…。

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