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待ち合わせ
あぁ、面倒だ……。
なんで休みなのに、学校に行かなければいけないんだ。
家から学校が遠い訳じゃない。むしろ、かなり近い。家から学校が見えるくらいだ。
自分で言うのも何だが、私、伊藤悠子は面倒くさがりだ。
休みのは家で過ごしたい。ネットを見たり、ただ、自分の部屋で過ごす。せっかくの休みだからと言って、外出しようと思わない。
そんな私が何で、出掛ける準備をしているかと言うと、愛美と約束をしていて、駅に向かわなければいけないからだ。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
リビングでテレビを見ていた母が、こっちを見ずに答えた。
もう時間が正午に近い。
一通り家事が終わって、休んでいるのだろう。
玄関で靴を履き、扉を開ける。良く晴れていて、いい天気だ。
約束の時間まで余裕がある。急ぐ必要もないので、ゆっくり駅に向おう。
「あぁ、面倒だ……」