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間者

 なにいっ、と身構えた時太郎の頭上から「ばさばさばさ」という羽音が聞こえてきた。


 振り仰ぐと、空から数人の天狗が羽根を広げて降りてくる所である。

 天狗たちは「ばさっ!」と大きく羽根をうち広げて速度を落とし、すとんと一本歯の下駄で降り立った。


 みな、そっくり同じ顔をしている。


 高々と隆起した鼻。ぐいっと持ち上げられた濃い眉。食い縛った大口。一様に、顔色は真っ赤である。


 その一人が口を開いた。

「どうした、何を揉めておる?」

 最初に出てきた天狗が答える。

「この者ども、苦楽魔に入国したいそうなのだが、通行手形と査証を、持っていないそうなのじゃ!」


「なにいっ!」

「通行手形と査証を」

「持っておらぬだと?」


 次々に口に出して、驚愕の表情になる。べちゃべちゃと口騒がしく顔を突き合わせ言い合う。

「驚くべきことだ! かつて、このような事態があろうか?」

「ないない! まさか、通行手形と査証を持たずに入国しようとする不届き者がいようとは、想像すらできぬわ!」

「これは、重大なことじゃな?」

「うむ、もしかしたらこやつら、わが苦楽魔を攻め寄せようとする人間どもらが寄越した間者スパイかもしれぬな!」

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